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悪夢極彩色 第五話『魔都』
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「びっくりしたー。ヤヨイさんって、夜宵さんのことだったんだね」
「ふふ、よく言われるわ」
夢花は美大を卒業した後、フリーの画家になった。
野薔薇は「将来苦労する」と言っていたが、歩夢が書いた小説の表紙を毎回担当していることで話題を呼び、絶えず仕事が舞い込んでいた。
「で、今日はどうする?」
野々原は気さくに話しかける。
夢花のことは「高校の時のクラスメイト」としか覚えていないようで、悪夢のことや事件のことは全て忘れていた。
「うーん……前髪と毛先を切り揃えて、全体的に軽くして欲しいかな」
「夜宵さん、髪長いもんねぇ。ずっと伸ばしてるの?」
「うん。子供が出来たら切ろうと思ってるんだけど」
「こ……?」
野々原は夢花が言わんとしていることの意味が分からず、目を白黒させる。夢花は「言ってなかったっけ?」と左手の薬指を見せた。
夢花の左手薬指には小さなアクアマリンとピンクダイヤモンドが埋め込まれている、真新しい銀の指輪がはめられていた。
「この通り、結婚しました」
「け、けっこ……?!」
野々原は思わず、のけぞる。
彼氏なし未婚女の野々原にとって、元クラスメイトの結婚指輪は眩し過ぎた。
「い、いつ?!」
「大学を卒業してすぐ」
「早っ! どんな人?! いつから付き合ってたの?! もしかして池田君?!」
野々原は興奮した様子で、矢継ぎ早に質問してくる。
とりあえず「あいつじゃないから」と否定しておいた。
「相手の都合で詳しくは話せないけど、すごくいい人よ。カッコいいし、優しいし、賢いし。今日もこれからデートなの」
「最高の旦那さんじゃん! いいなぁ……私もそんな人とお付き合いしたいなぁ」
野々原の言葉に、店にいた男性客と男性店員が一斉に振り返る。店長もその一人だった。
(野々原さん、ずいぶん人気者になったのね。不自然なほど気さくだし、何かあったのかしら?)
「ふふ、よく言われるわ」
夢花は美大を卒業した後、フリーの画家になった。
野薔薇は「将来苦労する」と言っていたが、歩夢が書いた小説の表紙を毎回担当していることで話題を呼び、絶えず仕事が舞い込んでいた。
「で、今日はどうする?」
野々原は気さくに話しかける。
夢花のことは「高校の時のクラスメイト」としか覚えていないようで、悪夢のことや事件のことは全て忘れていた。
「うーん……前髪と毛先を切り揃えて、全体的に軽くして欲しいかな」
「夜宵さん、髪長いもんねぇ。ずっと伸ばしてるの?」
「うん。子供が出来たら切ろうと思ってるんだけど」
「こ……?」
野々原は夢花が言わんとしていることの意味が分からず、目を白黒させる。夢花は「言ってなかったっけ?」と左手の薬指を見せた。
夢花の左手薬指には小さなアクアマリンとピンクダイヤモンドが埋め込まれている、真新しい銀の指輪がはめられていた。
「この通り、結婚しました」
「け、けっこ……?!」
野々原は思わず、のけぞる。
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「い、いつ?!」
「大学を卒業してすぐ」
「早っ! どんな人?! いつから付き合ってたの?! もしかして池田君?!」
野々原は興奮した様子で、矢継ぎ早に質問してくる。
とりあえず「あいつじゃないから」と否定しておいた。
「相手の都合で詳しくは話せないけど、すごくいい人よ。カッコいいし、優しいし、賢いし。今日もこれからデートなの」
「最高の旦那さんじゃん! いいなぁ……私もそんな人とお付き合いしたいなぁ」
野々原の言葉に、店にいた男性客と男性店員が一斉に振り返る。店長もその一人だった。
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