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悪夢薔薇色 第三話『こだわりの青』
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青海泥は感情のままに怒り狂った。
「まっず! なんてもん飲ませるんだ! パパに言いつけるぞ!」
しかし美女はいつの間にか消えていた。
周りの学生はジロジロと青海泥を横目で見ながら去っていく。中には笑いながら青海泥にスマホのカメラを向ける者までいた。常に注目されたくて仕方ない青海泥にとっては、これ以上ないほど心地良い視線だ。
「何だ、何だ? やっと俺の素晴らしさが分かったのか?」
青海泥はカメラに向かって微笑み、ポーズを取る。
すると集まった学生達からドッと笑いが起こった。
「何、あいつ! ウケるんだけど?!」
「(生きてる価値)ナイわー」
「全身青って(ダサ)! SNSでバズらせようぜ」
反応とは裏腹に、悪意ある本音が重なって聞こえた。
最初は空耳かと思った。しかしよくよく学生達の顔を確認すると、彼らは言葉通り、青海泥を心の底から馬鹿にした笑みを浮かべていた。
「お、お前ら何なんだよ! 人のこと馬鹿にしやがって! オシャレが分からねーお前らの方が馬鹿なんだからな! 被害者の気持ちも少しは考えろよ!」
青海泥は泣きそうになりながら、その場から逃げ出した。
道中、窓に映った自分の姿を見てギョッとした。
青海泥の体は隅から隅まで青く染まっていた。頭の先から足の先まで。口の中までも青くなっていた。
「な……」
青海泥は豹変した自分の姿に、一瞬言葉を失ったが、
「な、なーんだ! すっげーオシャレになったじゃん! この良さが分からないとか、やっぱアイツら、センス終わってるわー」
と、すぐに立ち直った。
青海泥にとって、青は究極的にオシャレな色。その色で全身染まることは、己がオシャレそのものになることを意味していた。むしろ、なぜ今までこの発想に至らなかったのかと後悔した。
「やっぱあのオネーさん、俺のこと好きなんじゃネ? 俺の思考分かってるとか、運命感じるんだけどぉ」
一転して、青いコーヒーをくれた美女に感謝した。
今の青海泥にとって、彼女は女神だった。
「まっず! なんてもん飲ませるんだ! パパに言いつけるぞ!」
しかし美女はいつの間にか消えていた。
周りの学生はジロジロと青海泥を横目で見ながら去っていく。中には笑いながら青海泥にスマホのカメラを向ける者までいた。常に注目されたくて仕方ない青海泥にとっては、これ以上ないほど心地良い視線だ。
「何だ、何だ? やっと俺の素晴らしさが分かったのか?」
青海泥はカメラに向かって微笑み、ポーズを取る。
すると集まった学生達からドッと笑いが起こった。
「何、あいつ! ウケるんだけど?!」
「(生きてる価値)ナイわー」
「全身青って(ダサ)! SNSでバズらせようぜ」
反応とは裏腹に、悪意ある本音が重なって聞こえた。
最初は空耳かと思った。しかしよくよく学生達の顔を確認すると、彼らは言葉通り、青海泥を心の底から馬鹿にした笑みを浮かべていた。
「お、お前ら何なんだよ! 人のこと馬鹿にしやがって! オシャレが分からねーお前らの方が馬鹿なんだからな! 被害者の気持ちも少しは考えろよ!」
青海泥は泣きそうになりながら、その場から逃げ出した。
道中、窓に映った自分の姿を見てギョッとした。
青海泥の体は隅から隅まで青く染まっていた。頭の先から足の先まで。口の中までも青くなっていた。
「な……」
青海泥は豹変した自分の姿に、一瞬言葉を失ったが、
「な、なーんだ! すっげーオシャレになったじゃん! この良さが分からないとか、やっぱアイツら、センス終わってるわー」
と、すぐに立ち直った。
青海泥にとって、青は究極的にオシャレな色。その色で全身染まることは、己がオシャレそのものになることを意味していた。むしろ、なぜ今までこの発想に至らなかったのかと後悔した。
「やっぱあのオネーさん、俺のこと好きなんじゃネ? 俺の思考分かってるとか、運命感じるんだけどぉ」
一転して、青いコーヒーをくれた美女に感謝した。
今の青海泥にとって、彼女は女神だった。
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