悪夢症候群

緋色刹那

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ミッドナイトアパート 第五話『一生の償い』

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 高岡とは、夢花が小学四年生の時に同じクラスのクラスメイトだった女子、高岡利緒リオのことである。
 当時、夢花をいじめていたクラスメイト達を陰から操っていた存在で、仲間のクラスメイト達は危険に晒されても、自分だけは常に安全圏にいるような人物だった。
 夢花が悪夢を見せてからは距離を置くようになったものの、偶然同じ私立中学を受験し、入学した。夢花が能力を使ってまでクラスメイト達を調整していたのは、彼女と同じクラスにならないためでもあった。
 別々のクラスになったとはいえ、この二年間全く会わないということはなかった。廊下ですれ違ったり、トイレの前でバッタリ会ったり、同じ授業をクラス合同で受けたり……しかし決して話しかけようちはせず、互いに互いを無視し、干渉し合わないようにしていた。
 おかげで夢花はこの二年間、平穏に送ることが出来たが、一方で利緒が何も仕掛けて来ないことをずっと疑問に思っていた。
(……そっかぁ。利緒ちゃんは東大に行きたいから、目立たないようにしてたんだぁ)
 その疑問が温子の言葉で解消し、夢花はニヤリと密かに笑みを浮かべた。
(馬鹿な子! 今さらいい子ぶったって、遅いのに! 私の心に与えた傷の分、一生を賭けて償わせてやる!)

 それから夢花は数ヶ月の時を待った後、利緒に悪夢を見せた。
 人生で一番大切なその日を……利緒にとって人生最悪の日に変えるために。
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