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夏編②『梅雨空しとしと、ラムネ色』
第五話「水溜りに沈む」⑷
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「……どうしてそうまでして、玉蟲匣を買い取ろうとしているの?」
由良は先日渡来屋と会った時には聞き出せなかった疑問をぶつけた。
渡来屋は「玉蟲匣じゃない、懐虫電燈だ」と訂正し、答えた。
「それが俺の使命の一つだからさ。未来永劫、懐虫電燈を存続させ、守り続ける……そのためには、アレが人間の手に渡ったままだと不都合なんだよ。人間はどんなに大切なものでも、不要になれば簡単に手放し、壊し、忘れるからな」
「使命って、誰に頼まれたの? それとも自分で決めたの?」
すると、渡来屋は素っ気なく返した。
「お前には教えない」
由良は負けじと、別の質問を投げかける。
「使命の一つってことは、他にもやらなくちゃいけない仕事があるってことなの?」
「秘密」
「もしかして貴方、懐虫電燈の関係者? やたら、店名を言い直してるし。当時のお客さんとか、従業員だったとか」
「内緒」
「分かった、洋燈商店街の古い建物を保存する会の人でしょ」
「全然違う」
いくら由良が尋ねても、渡来屋はそれ以上素性を明かしてはくれなかった。
そうこうしているうちに、二人は水溜りの出口へと辿り着いた。
由良が引き込まれた従業員用通用口の前の水溜りとは別の場所にある水溜りらしく、出口の周りは薄暗かった。
「少し座標がズレたが、まぁいいだろう。次からは気をつけろよ、由良」
渡来屋は水溜りの出口に着くなり、由良の手を思い切り引っ張り、出口に向かって放り投げた。
「うぉあっ?!」
由良は水溜りから飛び出し、アスファルトの地面へと転がる。
水溜りの先に繋がっていたのは、LAMPの前の歩道だった。雨は由良が水溜りに沈んでいる間に上がっており、ところどころ雲が残る夜空には美しい天の川が架かっていた。
「あいたた……ったく、もう少し優しく帰せなかったわけ?」
由良は悪態を吐きつつ、立ち上がる。
しかし歩道にいるのは由良だけで、周囲には誰もいなかった。渡来屋もいない。
「渡来屋?」
由良が歩道の水溜りを覗き込むと、渡来屋はまだ水溜りの中にいた。
「アンタは出ないの?」
「俺はまだ仕事があるからな」
「仕事って……他人のものを盗んで、売りつけるんでしょ?」
「人聞きの悪い。じゃあな」
渡来屋はニヤニヤと笑いながら由良に手を振ると、新たな短冊を求めて去っていった。
水溜りの中でカンテラの薄荷色の光が遠ざかり、やがて闇に紛れた。
あれだけ水に浸かっていながら、由良の服は少しも濡れていなかった。
ただ、水溜りから出たはずみに歩道を転がったせいか、ところどころ泥で汚れてしまっていた。
「ハァ……どうせズレるなら、服が汚れないような場所にして欲しかったわ。明日も雨の予報なのに、乾くかしら?」
由良は泥をティッシュで落としつつ、悪態を吐く。
ふと、渡来屋が自分を水溜りの中から放り投げる前に口にした言葉を思い出し、手を止めた。
「……あいつ、何で私の名前知ってるの? 教えてないはずなのに」
「あれ? 由良、今帰り?」
ますます渡来屋の素性が分からなくなったところへ、仕事帰りの日向子が通りかかった。
仕事用の鞄と、畳んだひまわり柄の傘を持っている。雨が上がってしばらく経つのか、日向子の傘は濡れていなかった。
「天の川の観測会、中止になったんでしょ? とっくに帰ってたと思ってたのに」
「日向子こそ、今日はずいぶん遅かったのね」
「記事がまとまらなくてさぁ……悩んでるうちに、日付変わってたわ。ま、帰り道に天の川が見られたんだし、良しとしましょう」
日向子は満足そうに天の川を見上げ、微笑む。仕事の苦労など感じさせない、清々しい笑顔だった。
「……日向子、記者になって幸せ?」
「何よ、突然」
日向子は怪訝な顔をしながらも、答えた。
「幸せ……ではないけど、楽しいわよ。上司や取材相手に気を使うのは苦手だけど」
「なら、良かった」
由良は安心して、水溜りの中で拾った短冊を日向子に見せた。
「貴方、子供の頃はアイドルになりたかったみたいだから、今の仕事に不満があるんじゃないかって心配してたのよ」
「……なっ?!」
日向子は短冊を見て、顔を真っ赤にした。
そこには「おおきくなったら、アイドルになる! はむらひなこ」と書いてあった。ハートマークやひまわりの絵で、文字の周りをデコってある。正真正銘、日向子が子供の頃に書いた短冊だった。
「何で由良が持ってるのよ?! とっくにお焚き上げされてるはずじゃないの?!」
「たまたま拾ったのよ。私も忘れてたけど、そういえばそんなようなこと言ってたわね」
「かーえーしーてー」
日向子も短冊を見て当時のことを思い出したらしく、慌てて短冊を取り戻そうとする。
由良は短冊をポケットへ仕舞い、「ダメ」と断った。
「捨てないなら返してもいいけど?」
「捨てるに決まってるじゃない、そんな恥ずかしい願い事!」
「じゃあダメ」
「ぬあぁぁ……!」
「……あの、」
そこへ水色のカジュアルスーツを着た、真面目そうな女性が声をかけてきた。
以前会った時とは違い、裸眼で、髪の癖を敢えて生かした茶髪に変わっていたが、梅雨が入った頃に〈探し人〉としてLAMPに居座っていた、雨嫌いの女性だった。
「今日は遅くまでやっていると聞いて、来たんですけど……お店、もう終わっちゃいましたか?」
「……いいえ」
由良は優しく女性に微笑みかけ、LAMPの鍵を開けた。
「これから開けるところですよ。星がよく見える席をご用意しております。ご注文はお決まりですか?」
「えぇ。シャボン玉タピオカライチソーダを」
「私はオムライスセットと、アジサイラムネのラベンダー。あと、私の短冊返して」
どさくさに紛れ、日向子も横から注文する。
由良は営業スマイルを崩し、眉をひそめた。
「オムライスセットはランチメニューなんだけど」
「いいじゃない。まだ夕飯食べてないのよ。それで、私の短冊を隠し持ってたことはチャラにしてあげる」
「そんなに恥ずかしい? 可愛い夢じゃない、アイドル」
「うぎゃぁぁ……! もう言わないでぇぇぇ……!」
その後、由良は二人をLAMPの庭へ招待し、共に塔屋から天の川を観賞した。
短冊は「そんなに言うなら、額に入れて飾ってやるわ!」と日向子が宣言したため、渋々返還した。仮に破棄したとしても、由良が忘れることは二度とないだろう。
七夕を終えた夜が、静かに過ぎていく。照明代わりに並べた電子キャンドルが、暗い塔屋を金色の光で照らしていた。
(夏編②『梅雨空しとしと、ラムネ色』終わり)
(秋編②へ続く)
由良は先日渡来屋と会った時には聞き出せなかった疑問をぶつけた。
渡来屋は「玉蟲匣じゃない、懐虫電燈だ」と訂正し、答えた。
「それが俺の使命の一つだからさ。未来永劫、懐虫電燈を存続させ、守り続ける……そのためには、アレが人間の手に渡ったままだと不都合なんだよ。人間はどんなに大切なものでも、不要になれば簡単に手放し、壊し、忘れるからな」
「使命って、誰に頼まれたの? それとも自分で決めたの?」
すると、渡来屋は素っ気なく返した。
「お前には教えない」
由良は負けじと、別の質問を投げかける。
「使命の一つってことは、他にもやらなくちゃいけない仕事があるってことなの?」
「秘密」
「もしかして貴方、懐虫電燈の関係者? やたら、店名を言い直してるし。当時のお客さんとか、従業員だったとか」
「内緒」
「分かった、洋燈商店街の古い建物を保存する会の人でしょ」
「全然違う」
いくら由良が尋ねても、渡来屋はそれ以上素性を明かしてはくれなかった。
そうこうしているうちに、二人は水溜りの出口へと辿り着いた。
由良が引き込まれた従業員用通用口の前の水溜りとは別の場所にある水溜りらしく、出口の周りは薄暗かった。
「少し座標がズレたが、まぁいいだろう。次からは気をつけろよ、由良」
渡来屋は水溜りの出口に着くなり、由良の手を思い切り引っ張り、出口に向かって放り投げた。
「うぉあっ?!」
由良は水溜りから飛び出し、アスファルトの地面へと転がる。
水溜りの先に繋がっていたのは、LAMPの前の歩道だった。雨は由良が水溜りに沈んでいる間に上がっており、ところどころ雲が残る夜空には美しい天の川が架かっていた。
「あいたた……ったく、もう少し優しく帰せなかったわけ?」
由良は悪態を吐きつつ、立ち上がる。
しかし歩道にいるのは由良だけで、周囲には誰もいなかった。渡来屋もいない。
「渡来屋?」
由良が歩道の水溜りを覗き込むと、渡来屋はまだ水溜りの中にいた。
「アンタは出ないの?」
「俺はまだ仕事があるからな」
「仕事って……他人のものを盗んで、売りつけるんでしょ?」
「人聞きの悪い。じゃあな」
渡来屋はニヤニヤと笑いながら由良に手を振ると、新たな短冊を求めて去っていった。
水溜りの中でカンテラの薄荷色の光が遠ざかり、やがて闇に紛れた。
あれだけ水に浸かっていながら、由良の服は少しも濡れていなかった。
ただ、水溜りから出たはずみに歩道を転がったせいか、ところどころ泥で汚れてしまっていた。
「ハァ……どうせズレるなら、服が汚れないような場所にして欲しかったわ。明日も雨の予報なのに、乾くかしら?」
由良は泥をティッシュで落としつつ、悪態を吐く。
ふと、渡来屋が自分を水溜りの中から放り投げる前に口にした言葉を思い出し、手を止めた。
「……あいつ、何で私の名前知ってるの? 教えてないはずなのに」
「あれ? 由良、今帰り?」
ますます渡来屋の素性が分からなくなったところへ、仕事帰りの日向子が通りかかった。
仕事用の鞄と、畳んだひまわり柄の傘を持っている。雨が上がってしばらく経つのか、日向子の傘は濡れていなかった。
「天の川の観測会、中止になったんでしょ? とっくに帰ってたと思ってたのに」
「日向子こそ、今日はずいぶん遅かったのね」
「記事がまとまらなくてさぁ……悩んでるうちに、日付変わってたわ。ま、帰り道に天の川が見られたんだし、良しとしましょう」
日向子は満足そうに天の川を見上げ、微笑む。仕事の苦労など感じさせない、清々しい笑顔だった。
「……日向子、記者になって幸せ?」
「何よ、突然」
日向子は怪訝な顔をしながらも、答えた。
「幸せ……ではないけど、楽しいわよ。上司や取材相手に気を使うのは苦手だけど」
「なら、良かった」
由良は安心して、水溜りの中で拾った短冊を日向子に見せた。
「貴方、子供の頃はアイドルになりたかったみたいだから、今の仕事に不満があるんじゃないかって心配してたのよ」
「……なっ?!」
日向子は短冊を見て、顔を真っ赤にした。
そこには「おおきくなったら、アイドルになる! はむらひなこ」と書いてあった。ハートマークやひまわりの絵で、文字の周りをデコってある。正真正銘、日向子が子供の頃に書いた短冊だった。
「何で由良が持ってるのよ?! とっくにお焚き上げされてるはずじゃないの?!」
「たまたま拾ったのよ。私も忘れてたけど、そういえばそんなようなこと言ってたわね」
「かーえーしーてー」
日向子も短冊を見て当時のことを思い出したらしく、慌てて短冊を取り戻そうとする。
由良は短冊をポケットへ仕舞い、「ダメ」と断った。
「捨てないなら返してもいいけど?」
「捨てるに決まってるじゃない、そんな恥ずかしい願い事!」
「じゃあダメ」
「ぬあぁぁ……!」
「……あの、」
そこへ水色のカジュアルスーツを着た、真面目そうな女性が声をかけてきた。
以前会った時とは違い、裸眼で、髪の癖を敢えて生かした茶髪に変わっていたが、梅雨が入った頃に〈探し人〉としてLAMPに居座っていた、雨嫌いの女性だった。
「今日は遅くまでやっていると聞いて、来たんですけど……お店、もう終わっちゃいましたか?」
「……いいえ」
由良は優しく女性に微笑みかけ、LAMPの鍵を開けた。
「これから開けるところですよ。星がよく見える席をご用意しております。ご注文はお決まりですか?」
「えぇ。シャボン玉タピオカライチソーダを」
「私はオムライスセットと、アジサイラムネのラベンダー。あと、私の短冊返して」
どさくさに紛れ、日向子も横から注文する。
由良は営業スマイルを崩し、眉をひそめた。
「オムライスセットはランチメニューなんだけど」
「いいじゃない。まだ夕飯食べてないのよ。それで、私の短冊を隠し持ってたことはチャラにしてあげる」
「そんなに恥ずかしい? 可愛い夢じゃない、アイドル」
「うぎゃぁぁ……! もう言わないでぇぇぇ……!」
その後、由良は二人をLAMPの庭へ招待し、共に塔屋から天の川を観賞した。
短冊は「そんなに言うなら、額に入れて飾ってやるわ!」と日向子が宣言したため、渋々返還した。仮に破棄したとしても、由良が忘れることは二度とないだろう。
七夕を終えた夜が、静かに過ぎていく。照明代わりに並べた電子キャンドルが、暗い塔屋を金色の光で照らしていた。
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