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第六章 神に行き会いし少年は世界を変える
161. 精霊
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10日目―――6
「主が……放逐されるだと!?」
目を大きく見開き、そのまま絶句してしまった『彼女』を他所に、銀色のドラゴンが僕に視線を向けてきた。
『カケルよ、汝の世界にあの女神はいたか?』
僕は首を横に振った。
少なくとも僕の知る範囲内では、実体を伴った創造神に言及している人は誰もいなかった。
銀色のドラゴンが、『彼女』に視線を戻した。
『つまりやがてあの女神は、この世界から放逐される運命にある』
「……そんな与太話を信じろと?」
『しかし現実に、カケルの世界には、あの女神はおらぬという。これを何と説明する?』
「それは……」
『彼女』の顔に少しの間、戸惑いの表情が現れた。
しかしすぐにそれは消え、『彼女』は銀色のドラゴンを睨みつけた。
「お前の言う、カケルが時の流れの彼方から来た、という前提がおかしいのだ」
『我等は遥かなる時の流れの彼方に、ある条件に合う存在を探した。女神によって創造されておらず、女神と同等の霊力を使用する事が可能で、しかも我が竜気を受けし者。それがそこのカケルだ』
「たまたまお前達が、その世界でカケルを見出し、ここへ拉致してきたのだとしても、その世界がこの世界の延長線上にある等……」
『信じられぬか? ならばなぜカケルは、女神しか持ちえないはずの霊力を操れる? 汝の持つものと全く同じ腕輪を持っている? カケルから、元の世界で、汝と全く同じ姿形を持つ存在と邂逅した、とは聞かなかったか?』
『彼女』の顔に驚愕の表情が浮かんだ。
「なぜそれを、お前が知っている!?」
『この世界は元々我等精霊のもの。簒奪者では知るべくもない世界の理を、我等ならば知る事が出来る。そして簒奪者であるからこそ、あの女神は、わざわざこの世界に留まるため、“実体化”せねばならなかった。“実体化”した事で、この世界の理に縛られ、あの女神の能力は著しく制限を受けておる。故に、やがて放逐されるその運命にも抗う事が出来ぬのだ』
とうとう返す言葉を失ってしまったらしい『彼女』は、そのまま絶句した。
銀色のドラゴンは苦しそうに息を吐くと、再度僕の方に視線を向けてきた。
『この肉体の命数は、間も無く尽きる。その前に、竜気について説明しておこう。どうせ、時の流れの彼方の我は、汝に詳しく説明する間も無く、汝をこの世界へと送り出したのであろう?』
僕はその言葉に違和感を抱いた。
今、命尽きようとしている存在が、どうやって未来の世界で、僕に竜気を与える事が出来るのだろうか?
『我は精霊である、と申したであろう。精霊は本来不滅の存在。仮初の肉体が滅んでも、核さえ用意しておけば再生するのじゃ。我の核は、既に汝の召喚者に……託して……ゴブッ』
銀色のドラゴンが大きく吐血した。
見ると、その身体が徐々に崩れ、光の粒子へと変わり始めていた。
「ドラゴンさん!?」
銀色のドラゴンは、自身の身体に生じている異変を無視するかの如く、念話を継いだ、
『カケルよ、目を閉じよ。そして霊力を展開することなく、ただ静かに周囲の“声”に耳を傾けよ。竜気が彼等の“声”を届けてくれるはずじゃ……』
僕は言われた通り、目を閉じ、じっと耳を澄ませてみた。
銀色のドラゴンの荒い息遣い。
絶句したまま固まっている『彼女』の息遣い。
小石がどこかで転がる音。
しかし特別な“声”らしきものは、何も聞こえてこない。
『あまりに多くの“声”に耳を傾けても、聞こえはしない……自身の……中に……竜気を巡らし……』
銀色のドラゴンの肉体の崩壊が急速に進んでいく。
僕は再度目を閉じて、自身の中にあるはずの竜気を探した。
霊力とは明らかに異なる何かが身体を駆け巡った。
突如、“声”が聞こえてきた。
クスクス笑う声、
ヒソヒソ話す声、
楽し気に歌う声……
目を開けると、周囲に金色に輝く何かが渦巻いていた。
「こ、これは?」
『大地の精霊……カケルよ……精霊に語り掛けよ……汝なら……きっと……』
銀色のドラゴンの肉体は完全に光の粒子となり、消滅した。
―――しばしの……別れじゃ……
やや呆然としてしまった僕に、『彼女』が声を掛けてきた。
「獣め、消滅したか。カケル、戻ろう」
「う、うん。でも、これ……」
僕は周囲で、舞い踊るように渦巻く金色に輝く何かを指さした。
「ん? 何かあるのか?」
『彼女』は、僕の指さす方向に視線を向けて不思議そうな顔をした。
どうやら『彼女』の目には、何も見えていないらしい。
この金色に渦巻く何かが、“声”の正体であろうか?
僕は目を閉じて、先程同様、竜気を身体に巡らせた。
そして“声”に呼びかけてみた。
「君達は誰?」
「「私達の“声”が聞こえる人に会ったのは、貴方で二人目。私達は大地の精霊。何か御用?」」
大地の精霊?
何か御用?って……何かお願いしたら、手伝ってくれるのだろうか?
「え~と……君達って、どんな事が出来るの?」
「「ふふふ、何が出来るかな? 試しに言ってみて」」
僕はしばし考えた後、ダメもとで頼んでみる事にした。
「君達って、この鉱山、落盤事故起きる前の状態に戻せる?」
突如、鉱山全体が轟音を立てて揺れ始めた。
僕は思わず霊力の盾を展開して、自分自身と『彼女』を守ろうとした。
視界の中、崩落していた土砂や岩石が、逆再生されるかのごとく、壁や天井へと戻っていく。
これは一体……!?
僕と『彼女』は息を飲んで、事態の推移を見守った。
やがて轟音と振動は徐々に弱まっていき、しばらくすると静けさが戻ってきた。
見える範囲内では、坑道から落盤事故の痕跡は、完全に消え去っていた。
大地の精霊の“声”が聞こえた。
「「霊力嫌い。あの女神の力、嫌い」」
「ごめんね」
僕は慌てて霊力の展開を停止した。
「「今回は特別。古き竜王の願いだから特別。でも次からは、私達と話す時は、霊力使わないで……
気付くと、周囲に渦巻いていた金色の何かは消滅していた。
完全に置いてけぼり状態になっていたはずの『彼女』が口を開いた。
「カケル、一体、何が起こっていたのだ?」
「大地の精霊が、手伝ってくれたみたいだ」
「大地のせいれい?」
僕は銀色のドラゴンからの最後の念話と、大地の精霊とのやりとりを『彼女』に説明した。
『彼女』の目が大きく見開かれた。
「なんと不可解な……あの冥府の獣は一体……?」
「あの銀色のドラゴンの話していた内容、本当かどうかは僕も分からない。だけどきっと、あの銀色のドラゴンは、冥府からやってきた獣とかじゃなかったんだと思う」
「ではカケルは、アレは本当に“精霊”であった、と?」
「怒らないで聞いて欲しいんだけど、君の神様、僕の事も冥府の災厄だって言っていたんだよね? もしかしたら、神様にとって都合の悪い事を、全部“冥府の何某”のせいにしてるのかもしれないよ」
『彼女』の顔に、明らかな迷いの表情が浮かび上がっていた。
「主は、全て真実をお伝え下さっているわけではない、という事か……?」
「まあとりあえず、地上に戻ろうか?」
すっかり落ち込んでしまった『彼女』と共に、僕は地上へと転移した。
外は既に夕闇が迫っていたが、集落内は大騒ぎになっていた。
僕達の姿に気付いたらしい集落のドワーフ達が駆け寄って来た。
「大丈夫だったか!?」
「中で何があった!?」
「僕達は大丈夫ですが……どうしたんですか?」
「どうしたも何も、先程、鉱山全体が、揺れだしてな。恐らくまた落盤かと思っていたら、今まで聞いた事無い位の轟音も響いてきて、集落ごと崩壊するかと大騒ぎになっていたのだ」
僕は『彼女』と顔を見合わせてから、ドワーフ達に声を掛けた。
「多分、鉱山、元通りになっていると思うんですよ。誰か鉱山に詳しい方々で、確認してきてもらえないですか?」
「元通り?」
僕の言葉を受けて、すぐにベテランの鉱夫達数人が、坑道内の調査に向かった。
一時間後、彼等は鉱山がすっかり元通りになっている事を確認して戻ってきた。
集落はお祭り騒ぎとなった。
宴は夜遅くまで続いた。
主役は勿論 僕と『彼女』。
僕達はそのまま、今夜はガルフの館の客間に泊めてもらう事になった。
僕達が皆から解放され、客間で床に就いた時、日付は既に変わっていた。
「主が……放逐されるだと!?」
目を大きく見開き、そのまま絶句してしまった『彼女』を他所に、銀色のドラゴンが僕に視線を向けてきた。
『カケルよ、汝の世界にあの女神はいたか?』
僕は首を横に振った。
少なくとも僕の知る範囲内では、実体を伴った創造神に言及している人は誰もいなかった。
銀色のドラゴンが、『彼女』に視線を戻した。
『つまりやがてあの女神は、この世界から放逐される運命にある』
「……そんな与太話を信じろと?」
『しかし現実に、カケルの世界には、あの女神はおらぬという。これを何と説明する?』
「それは……」
『彼女』の顔に少しの間、戸惑いの表情が現れた。
しかしすぐにそれは消え、『彼女』は銀色のドラゴンを睨みつけた。
「お前の言う、カケルが時の流れの彼方から来た、という前提がおかしいのだ」
『我等は遥かなる時の流れの彼方に、ある条件に合う存在を探した。女神によって創造されておらず、女神と同等の霊力を使用する事が可能で、しかも我が竜気を受けし者。それがそこのカケルだ』
「たまたまお前達が、その世界でカケルを見出し、ここへ拉致してきたのだとしても、その世界がこの世界の延長線上にある等……」
『信じられぬか? ならばなぜカケルは、女神しか持ちえないはずの霊力を操れる? 汝の持つものと全く同じ腕輪を持っている? カケルから、元の世界で、汝と全く同じ姿形を持つ存在と邂逅した、とは聞かなかったか?』
『彼女』の顔に驚愕の表情が浮かんだ。
「なぜそれを、お前が知っている!?」
『この世界は元々我等精霊のもの。簒奪者では知るべくもない世界の理を、我等ならば知る事が出来る。そして簒奪者であるからこそ、あの女神は、わざわざこの世界に留まるため、“実体化”せねばならなかった。“実体化”した事で、この世界の理に縛られ、あの女神の能力は著しく制限を受けておる。故に、やがて放逐されるその運命にも抗う事が出来ぬのだ』
とうとう返す言葉を失ってしまったらしい『彼女』は、そのまま絶句した。
銀色のドラゴンは苦しそうに息を吐くと、再度僕の方に視線を向けてきた。
『この肉体の命数は、間も無く尽きる。その前に、竜気について説明しておこう。どうせ、時の流れの彼方の我は、汝に詳しく説明する間も無く、汝をこの世界へと送り出したのであろう?』
僕はその言葉に違和感を抱いた。
今、命尽きようとしている存在が、どうやって未来の世界で、僕に竜気を与える事が出来るのだろうか?
『我は精霊である、と申したであろう。精霊は本来不滅の存在。仮初の肉体が滅んでも、核さえ用意しておけば再生するのじゃ。我の核は、既に汝の召喚者に……託して……ゴブッ』
銀色のドラゴンが大きく吐血した。
見ると、その身体が徐々に崩れ、光の粒子へと変わり始めていた。
「ドラゴンさん!?」
銀色のドラゴンは、自身の身体に生じている異変を無視するかの如く、念話を継いだ、
『カケルよ、目を閉じよ。そして霊力を展開することなく、ただ静かに周囲の“声”に耳を傾けよ。竜気が彼等の“声”を届けてくれるはずじゃ……』
僕は言われた通り、目を閉じ、じっと耳を澄ませてみた。
銀色のドラゴンの荒い息遣い。
絶句したまま固まっている『彼女』の息遣い。
小石がどこかで転がる音。
しかし特別な“声”らしきものは、何も聞こえてこない。
『あまりに多くの“声”に耳を傾けても、聞こえはしない……自身の……中に……竜気を巡らし……』
銀色のドラゴンの肉体の崩壊が急速に進んでいく。
僕は再度目を閉じて、自身の中にあるはずの竜気を探した。
霊力とは明らかに異なる何かが身体を駆け巡った。
突如、“声”が聞こえてきた。
クスクス笑う声、
ヒソヒソ話す声、
楽し気に歌う声……
目を開けると、周囲に金色に輝く何かが渦巻いていた。
「こ、これは?」
『大地の精霊……カケルよ……精霊に語り掛けよ……汝なら……きっと……』
銀色のドラゴンの肉体は完全に光の粒子となり、消滅した。
―――しばしの……別れじゃ……
やや呆然としてしまった僕に、『彼女』が声を掛けてきた。
「獣め、消滅したか。カケル、戻ろう」
「う、うん。でも、これ……」
僕は周囲で、舞い踊るように渦巻く金色に輝く何かを指さした。
「ん? 何かあるのか?」
『彼女』は、僕の指さす方向に視線を向けて不思議そうな顔をした。
どうやら『彼女』の目には、何も見えていないらしい。
この金色に渦巻く何かが、“声”の正体であろうか?
僕は目を閉じて、先程同様、竜気を身体に巡らせた。
そして“声”に呼びかけてみた。
「君達は誰?」
「「私達の“声”が聞こえる人に会ったのは、貴方で二人目。私達は大地の精霊。何か御用?」」
大地の精霊?
何か御用?って……何かお願いしたら、手伝ってくれるのだろうか?
「え~と……君達って、どんな事が出来るの?」
「「ふふふ、何が出来るかな? 試しに言ってみて」」
僕はしばし考えた後、ダメもとで頼んでみる事にした。
「君達って、この鉱山、落盤事故起きる前の状態に戻せる?」
突如、鉱山全体が轟音を立てて揺れ始めた。
僕は思わず霊力の盾を展開して、自分自身と『彼女』を守ろうとした。
視界の中、崩落していた土砂や岩石が、逆再生されるかのごとく、壁や天井へと戻っていく。
これは一体……!?
僕と『彼女』は息を飲んで、事態の推移を見守った。
やがて轟音と振動は徐々に弱まっていき、しばらくすると静けさが戻ってきた。
見える範囲内では、坑道から落盤事故の痕跡は、完全に消え去っていた。
大地の精霊の“声”が聞こえた。
「「霊力嫌い。あの女神の力、嫌い」」
「ごめんね」
僕は慌てて霊力の展開を停止した。
「「今回は特別。古き竜王の願いだから特別。でも次からは、私達と話す時は、霊力使わないで……
気付くと、周囲に渦巻いていた金色の何かは消滅していた。
完全に置いてけぼり状態になっていたはずの『彼女』が口を開いた。
「カケル、一体、何が起こっていたのだ?」
「大地の精霊が、手伝ってくれたみたいだ」
「大地のせいれい?」
僕は銀色のドラゴンからの最後の念話と、大地の精霊とのやりとりを『彼女』に説明した。
『彼女』の目が大きく見開かれた。
「なんと不可解な……あの冥府の獣は一体……?」
「あの銀色のドラゴンの話していた内容、本当かどうかは僕も分からない。だけどきっと、あの銀色のドラゴンは、冥府からやってきた獣とかじゃなかったんだと思う」
「ではカケルは、アレは本当に“精霊”であった、と?」
「怒らないで聞いて欲しいんだけど、君の神様、僕の事も冥府の災厄だって言っていたんだよね? もしかしたら、神様にとって都合の悪い事を、全部“冥府の何某”のせいにしてるのかもしれないよ」
『彼女』の顔に、明らかな迷いの表情が浮かび上がっていた。
「主は、全て真実をお伝え下さっているわけではない、という事か……?」
「まあとりあえず、地上に戻ろうか?」
すっかり落ち込んでしまった『彼女』と共に、僕は地上へと転移した。
外は既に夕闇が迫っていたが、集落内は大騒ぎになっていた。
僕達の姿に気付いたらしい集落のドワーフ達が駆け寄って来た。
「大丈夫だったか!?」
「中で何があった!?」
「僕達は大丈夫ですが……どうしたんですか?」
「どうしたも何も、先程、鉱山全体が、揺れだしてな。恐らくまた落盤かと思っていたら、今まで聞いた事無い位の轟音も響いてきて、集落ごと崩壊するかと大騒ぎになっていたのだ」
僕は『彼女』と顔を見合わせてから、ドワーフ達に声を掛けた。
「多分、鉱山、元通りになっていると思うんですよ。誰か鉱山に詳しい方々で、確認してきてもらえないですか?」
「元通り?」
僕の言葉を受けて、すぐにベテランの鉱夫達数人が、坑道内の調査に向かった。
一時間後、彼等は鉱山がすっかり元通りになっている事を確認して戻ってきた。
集落はお祭り騒ぎとなった。
宴は夜遅くまで続いた。
主役は勿論 僕と『彼女』。
僕達はそのまま、今夜はガルフの館の客間に泊めてもらう事になった。
僕達が皆から解放され、客間で床に就いた時、日付は既に変わっていた。
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