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第120話 防空壕の向こう側とイカ料理
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ぬらりひょんに腕を引っ張られながら走り続けて、息がやや切れかけて来た。
「はあ……はあ……」
出口からの光が大分大きくなって来た。あと少しと言い聞かせながら、ぬらりひょんについていく。
「出口だ!」
ようやく出口に到着し周囲を見渡してみると、やはり海沿いの道に通じていた。
「海見て!」
ぬらりひょんが海を指さしている。その方向には一瞬だけ海深く潜るクジラの尾が見えた。
「なんか、葉っぱみたいな形」
言われてみれば、クジラの尾の形は芽吹いたばかりの双葉状態の植物の形に見えなくもないか。
「クジラいるんだね」
そういえばクジラで思い出した。今年のクジラ漁は一体どうなるのだろうか。
「ぬらりひょんごめん、もっかい漁港行ってもいい?」
「いいけど」
ぬらりひょんを連れて漁港まで引き返し、漁師に今年のクジラ漁はどうなるのかを聞いた。
「今年もあるよ」
「そうなんですね。対象はヒゲクジラ類です?」
「そうだなあ。今年は去年よりも取るみたいだな。食糧事情もあるから仕方ないが」
「そうなんですね。教えて頂きありがとうございます」
漁師に礼を言って漁港を後にする。
ぐーー。
ここで、私とぬらりひょんのお腹が空いた。
「ぬらりひょん、帰ろっか」
「そうだね」
別荘に帰ると、沼霧さんと母親が台所でお昼ごはんの準備をしていた。私とぬらりひょんは流しで手を洗い、準備を手伝う。
「今日のお昼は何?」
「実は……」
まな板を見ると、イカがぐったりと横になっているのが目に飛び込んで来た。しかも3つある。
「光さんから貰ったんです」
「そうなんだ……」
「なので炒め物や煮物にしようかなと考えてはいます」
「なるほど。じゃあ、野菜と炒める?」
お昼はこのイカを使って、ささっと炒め物を作る事になった。アスパラガスがあったので、それをイカと一緒に炒める。
イカはさばいて一口大に切る。アスパラガスも同じように一口大に切ると、アスパラガスから先に火にかけ熱を通していく。アスパラガスに焦げ目がついてきたところで、イカを入れて火にかけ、しょうゆを少し注いだら完成となる。
「出来たぁ」
台拭きで拭いた食卓の上に、炒め物が入った大皿と麦ごはんの入ったお茶碗にお箸を置くと、ようやく昼食の時間となる。
「いただきます」
手を合わせて挨拶をして、炒め物からつまんでいく。
「イカどんな感じかな」
火が通って紫色になった輪状のイカを箸でつまみ、口の中に入れる。
「!」
むしゃっとした食感からは、歯ごたえが感じられる。
「はあ……はあ……」
出口からの光が大分大きくなって来た。あと少しと言い聞かせながら、ぬらりひょんについていく。
「出口だ!」
ようやく出口に到着し周囲を見渡してみると、やはり海沿いの道に通じていた。
「海見て!」
ぬらりひょんが海を指さしている。その方向には一瞬だけ海深く潜るクジラの尾が見えた。
「なんか、葉っぱみたいな形」
言われてみれば、クジラの尾の形は芽吹いたばかりの双葉状態の植物の形に見えなくもないか。
「クジラいるんだね」
そういえばクジラで思い出した。今年のクジラ漁は一体どうなるのだろうか。
「ぬらりひょんごめん、もっかい漁港行ってもいい?」
「いいけど」
ぬらりひょんを連れて漁港まで引き返し、漁師に今年のクジラ漁はどうなるのかを聞いた。
「今年もあるよ」
「そうなんですね。対象はヒゲクジラ類です?」
「そうだなあ。今年は去年よりも取るみたいだな。食糧事情もあるから仕方ないが」
「そうなんですね。教えて頂きありがとうございます」
漁師に礼を言って漁港を後にする。
ぐーー。
ここで、私とぬらりひょんのお腹が空いた。
「ぬらりひょん、帰ろっか」
「そうだね」
別荘に帰ると、沼霧さんと母親が台所でお昼ごはんの準備をしていた。私とぬらりひょんは流しで手を洗い、準備を手伝う。
「今日のお昼は何?」
「実は……」
まな板を見ると、イカがぐったりと横になっているのが目に飛び込んで来た。しかも3つある。
「光さんから貰ったんです」
「そうなんだ……」
「なので炒め物や煮物にしようかなと考えてはいます」
「なるほど。じゃあ、野菜と炒める?」
お昼はこのイカを使って、ささっと炒め物を作る事になった。アスパラガスがあったので、それをイカと一緒に炒める。
イカはさばいて一口大に切る。アスパラガスも同じように一口大に切ると、アスパラガスから先に火にかけ熱を通していく。アスパラガスに焦げ目がついてきたところで、イカを入れて火にかけ、しょうゆを少し注いだら完成となる。
「出来たぁ」
台拭きで拭いた食卓の上に、炒め物が入った大皿と麦ごはんの入ったお茶碗にお箸を置くと、ようやく昼食の時間となる。
「いただきます」
手を合わせて挨拶をして、炒め物からつまんでいく。
「イカどんな感じかな」
火が通って紫色になった輪状のイカを箸でつまみ、口の中に入れる。
「!」
むしゃっとした食感からは、歯ごたえが感じられる。
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