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第112話 牡蠣とエビ入り鍋の味わい

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「じゃあ、エビから食べる」

 ぬらりひょんはエビと野菜いくつかをお皿に盛り、冷ましてからエビを箸で掴み半分程かじった。

「むっ……むっ…」
「ぬらりひょん、味どう?」
「……うん、すごく美味しい! 千恵子姉ちゃんも食べてみなよ」

 ぬらりひょんにそう言われ、私もエビと野菜、牡蠣をお皿に入れて冷ましてから頂く。

「むむ……」

 エビはプリプリとした食感に、しょうゆと野菜や牡蠣から染み出ただしが複雑に合わさり美味しい。牡蠣も濃厚な味わいが更に増している。

「うん、美味しい!」
「でしょ?」
「ぬらりひょんの言う通りだよ、美味しい」

 篝先生も絶品であると褒め言葉をかけてくれた。

「ありがとうございます。沼霧さんのおかげですよ」
「いやいや、千恵子さんたら……」
「だって貝とか採ってきたの沼霧さんだし」

 彼女がいてこその絶品である。沼霧さんは謙遜しながらも笑みを浮かべて鍋をつついていった。
 鍋の中身が空になった所で、シメの雑炊の準備に入る。余った麦ごはんを全て鍋の中に入れグツグツと煮立たせる。
 煮立った後は鍋に蓋をして、少し蒸らせば完成だ。

「出来ました!」

 沼霧さんが再び鍋を鍋敷きに置いた。蓋を開けると中からだしの匂いが蒸気と共に溢れ出す。見ただけで美味しそうなのがばっちりと伝わる。

「美味しそう……!」

 おたまですくい、お皿に盛る。冷ましてから沼霧さんが用意してくれた匙で半口程すくって口に入れた。

「うん、美味しい!」

 まろやかでとっても美味しい!まろやかで濃厚で何度でも食べたくなる味だ。

「美味しいっ!」

 ぬらりひょんのその言葉と満足そうな顔が目に入る。篝先生もゆっくりと一口一口味わいながら食べていた。

「篝先生、いかがですか?」
「ええ、料亭で頂くようなお味です。さすがは沼霧さん。素晴らしいです」
「沼霧さんすごいよ、料亭だって」
「あらやだ……お恥ずかしい! でも、ありがとうございます。励みになります」

 雑炊はあっという間に空になる。食後、空になった鍋を台所へ引き上げる沼霧さんに、ぬらりひょんが声をかけた。

「沼霧さん、また貝とか採って!」
「はい、勿論です!」
「やったあ!!」

 ぬらりひょんの嬉しさに満ち溢れた声が、別荘中に響き渡った。

(良かったね、ぬらりひょん)

 今度沼霧さんが素潜り漁に行く時は、ぬらりひょんも連れて行こう。
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