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第43話 龍環の頭痛
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(どれどれ……)
桃玉は文を広げ、書かれている文字に目を通していく。
『よくある頭痛が今日はひときわ酷いようで今は休んでいる状態だ。あやかしのせいでは無いので安心してほしい』
(そういえば以前頭痛を訴えていた事があったな……)
文を読み終えた桃玉は、女官に頭痛に効く薬か食べ物は無いですか? と質問してみた。
「薬師の方に聞いてみましょうか?」
「あ、お待ちください」
1人の女官が、薬師を呼ぼうとしていた女官を呼び止める。
「薄荷茶《ミントティー》も送ってみるのはいかがでしょうか? 頭痛に効果があります」
「そうなのですか?」
女官が近くにあった戸棚をの扉を開けて、薬に関する本を取り出した。そこには確かに薄荷茶は頭痛に効果があると記されている。
「では、そちら送ってみましょう。あ、文を書きます」
桃玉は文房具一式を取り出し、筆をサラサラと動かして返信を書いた。紙が乾くのを待ってから文を折りたたみ、女官に龍環へ手渡すようにと指示を出す。
「かしこまりました。薄荷茶の素と共に届けてまいります」
「お願いします」
退出していく女官の背中を見送る桃玉は、龍環が早く元気になるようにと心の中で願っていたのだった。
◇ ◇ ◇
次の日の朝。朝食を食べ終え、女官達と共に皇太后への挨拶に向かう桃玉。道中、妃達が龍環が体調を崩していると言う話をしている場面に遭遇した。
「李昭容様。おはようございます。昨日、皇帝陛下が体調を崩されたとお聞きしましたが……」
「それは私も聞きました……」
「早く治ってほしいものです。このまま陛下が亡くなるような事があれば私達はどうなるのか……」
華龍国の場合、皇帝が亡くなると皇太子の母親ではない妃達は基本出家し、皇帝の菩提を弔う生活を送る。大昔には殉死を迫られる事もあったとか。
勿論若い妃にとって出家という行為は今はしたくないものだろう。まだまだ人生を謳歌し皇帝からの寵愛を得て子を産み権力を握りたいと考えるのはごくごく当たり前の事だ。
「大丈夫ですよ、龍環様は元気になると思います」
桃玉が妃達を勇気づけると、妃達は互いにそうよね。李昭容様の言う通りよね。と声を掛け合った。
「ありがとうございます。少し元気が出てきました」
「それなら良かったです」
妃達が元気を取り戻したのを桃玉は見届けてから、朱龍宮の広間に入っていった。
桃玉は文を広げ、書かれている文字に目を通していく。
『よくある頭痛が今日はひときわ酷いようで今は休んでいる状態だ。あやかしのせいでは無いので安心してほしい』
(そういえば以前頭痛を訴えていた事があったな……)
文を読み終えた桃玉は、女官に頭痛に効く薬か食べ物は無いですか? と質問してみた。
「薬師の方に聞いてみましょうか?」
「あ、お待ちください」
1人の女官が、薬師を呼ぼうとしていた女官を呼び止める。
「薄荷茶《ミントティー》も送ってみるのはいかがでしょうか? 頭痛に効果があります」
「そうなのですか?」
女官が近くにあった戸棚をの扉を開けて、薬に関する本を取り出した。そこには確かに薄荷茶は頭痛に効果があると記されている。
「では、そちら送ってみましょう。あ、文を書きます」
桃玉は文房具一式を取り出し、筆をサラサラと動かして返信を書いた。紙が乾くのを待ってから文を折りたたみ、女官に龍環へ手渡すようにと指示を出す。
「かしこまりました。薄荷茶の素と共に届けてまいります」
「お願いします」
退出していく女官の背中を見送る桃玉は、龍環が早く元気になるようにと心の中で願っていたのだった。
◇ ◇ ◇
次の日の朝。朝食を食べ終え、女官達と共に皇太后への挨拶に向かう桃玉。道中、妃達が龍環が体調を崩していると言う話をしている場面に遭遇した。
「李昭容様。おはようございます。昨日、皇帝陛下が体調を崩されたとお聞きしましたが……」
「それは私も聞きました……」
「早く治ってほしいものです。このまま陛下が亡くなるような事があれば私達はどうなるのか……」
華龍国の場合、皇帝が亡くなると皇太子の母親ではない妃達は基本出家し、皇帝の菩提を弔う生活を送る。大昔には殉死を迫られる事もあったとか。
勿論若い妃にとって出家という行為は今はしたくないものだろう。まだまだ人生を謳歌し皇帝からの寵愛を得て子を産み権力を握りたいと考えるのはごくごく当たり前の事だ。
「大丈夫ですよ、龍環様は元気になると思います」
桃玉が妃達を勇気づけると、妃達は互いにそうよね。李昭容様の言う通りよね。と声を掛け合った。
「ありがとうございます。少し元気が出てきました」
「それなら良かったです」
妃達が元気を取り戻したのを桃玉は見届けてから、朱龍宮の広間に入っていった。
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