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第42話 あやかしについて

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(私の両親があやかしに殺されたという事はあまり言いたくはないな。むむ、なんて言おう……)

 桃玉の曇りゆく表情を見た龍環はごめんね。と彼女に謝った。

「桃玉、無理はしなくて良いよ」
「陛下……大丈夫です。私は……人に仇なす悪しきあやかしはいなくなるべきだと考えています」
「それが君の意見だね?」
「はい、陛下」
「なるほど、君らしい意見だ」

 桃玉の後は佳淑妃達をはじめ妃達から様々な意見が飛び交った。佳淑妃はあやかしにつけこまれないように強くあらねばならない。と告げ、佳賢妃はあやかしを見てみたいという子どものような意見をあげた。

「あやかしを見てどうするんだ?」
「観察して触ってみようかなって」
「まあ……らしいな」

 佳賢妃のようにあやかしを見てみたいという意見は最も多く挙げられた意見になったのである。

(皆、あやかしに興味があるんだ……)

 だが、商徳妃の順番が巡って来た時だった。

「商徳妃はどう思う?」
「私はあやかしは許されないものであると考えています」

 商徳妃の顔には怒りの表情が現れ始める。

「私が後宮入りする前、友人があやかしに食べられているのが見えたのです。あれは、あやかしが取り憑いた人間だったかもしれませんが……」
「商徳妃。どのような見た目だった?」
「暗がりだったのと身を隠すので精一杯だったのではっきりとはわかりませんが、白い長髪だった事は覚えています。そして食われた友人は、胸に穴が空いておりました」
(あ、もしかして……両親と同じ……)

 桃玉の脳裏には、両親が死んでいるのを見つけた時の様子がはっきりと映る。

(そうだ。あの時の両親は胸に穴が空いていた……)
「桃玉?」
「陛下。いや、なんでもありません」

 桃玉は龍環に嘘をつきながら作り笑いを見せる。

「そうか。なら良い。……この話はこれでおしまいにしようか。すまないな、商徳妃」
「いえ、お気遣いなく」

 その後は楽しい時間が流れ、あっという間にお茶会はお開きとなる。桃玉は龍環や妃達に別れを告げると、自室へと戻ったのだった。

「桃玉様。お茶碗いかがでしたか?」

 女官の1人から質問されると、桃玉は楽しかったです。と答えた。

「良かったです……! さぞや豪華なお茶会だった事でしょう」
「はい。食べ物も美味しかったです」
「ああ、私も行ってみたかった……!」

 ははは……。と朗らかな笑い声が部屋の中でこだました。
 
 夜。寝間着に着替えた桃玉が椅子に腰掛けてお茶を飲んでいると女官が慌ただしく桃玉の元へと駆けつけて来た。

「皇帝陛下が体調を崩されたようで……こちらを桃玉様に渡してほしいと」

 女官は桃玉に短冊状に折り畳まれた文を渡す。
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