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本編
53)それでは報酬のお支払いを……
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深夜……には少し早い時間。本日の仕事が早く終わり、夕食を終えたグレンは家族との語らいの時間もそこそこに早々に自室へ戻っていた。
というのも、ドーヴィから裏工作の進捗状況を聞くため。ちょうど、対象地域の主要な商会との接触が全て終了したところだったのだ。
「まあ、商会としては戦争で儲かるならとにかく、戦後に不味い話が待っていると聞けば黙ってはいられないだろうよ」
「……なるほど」
グレンはベッド端にちょこんと座ってドーヴィの話を聞き終えた。
ドーヴィが商会長に吹き込んだのは主に二つ。戦争で儲けても、その後にマスティリ帝国の巨大商会が流れ込んできてアンタらの様な商会は蹴散らされるだろう、という煽り。それと、戦争に関する武器や食料などは全部マスティリ帝国が負担するからアンタたちの出番はないぞ、という忠告。
何でもかんでもマスティリ帝国のせいにしておけば何とかなるのだから、ドーヴィとしてはずいぶん楽な仕事だ。
そしてドーヴィから根も葉もないが妙に信じたくなる噂を吹き込まれた商会長たちの動きは早く、ある者は早速領主へ確認に向かい、ある者は別の商会へ確認の使者を送り。あるいは、自前の情報網から戦争に関する情報を改めて拾い上げ、精査するように指示を出し。
「主要な商会の足並みが乱れて動きが鈍くなるのは間違いない」
各領はそれぞれ地元の主要な商会を当てにしている。ドーヴィが吹き込んだ噂の通りに、マスティリ帝国に支援を……など言う事は一切ないのだ、全くのでたらめだ。その状況で肝心の商会が取引に難色を示せば、否が応でも開戦の準備が遅延するというもの。
「うむ、ドーヴィ、よくやってくれた」
腕を組んで満足そうに頷くグレン。それを見ながら、ドーヴィはひょいと部屋全体にいつもの隠蔽魔法を張った。……いや違う、王都の頃より念入りに魔法を組んだ。
どこぞの両親がこれからの行為を現認して全力で外堀を埋められたらたまったものではない。人間には到底解けないような魔法をドーヴィは厳重に部屋全体に掛けた。
「さて、グレン。俺からの報告は終わりだ」
「うむ!」
「じゃあ、報酬を貰おうか」
「うむ! ……む?」
流れるような会話にグレンが大きく頷き、ワンテンポ遅れておや? と思った頃には、すでにグレンはベッドに押し倒されていた。ぐい、とドーヴィもベッドに乗り上げる。
「まだ全部の任務が終わったわけじゃねえが、途中成果分の報酬ぐらい払ってもらおうか。こっちは働いた分、腹も減ってんだよ」
ドーヴィは目を丸くしているグレンの顎を指先でくいと持ち上げた。その色っぽい男の仕草に、グレンの顔がカッと赤くなる。
「う……わ、わかった……っ!」
悪魔との契約には、悪魔が指定した報酬が必須。それを理解しているグレンは、大人しく……いや、大人しくはないかもしれないが、とにかくドーヴィの要求を受け入れた。
「イイ子だ」
低い声でドーヴィが囁き、グレンの前髪をかき上げて額に口づけを落とす。それだけで、グレンはぶるりと全身を震わせた。
……だって、久々なのだ、こういう事をするのが。振り返ってみれば、熱を出して寝込んでから今の大事に至るまで、ドーヴィはずっと手を出してこなかった。
そう考えると、ドーヴィは長い間、インキュバスとして食事をとっていなかったことになる。改めて、グレンはドーヴィに申し訳なく思った。自分が不甲斐ないせいで、ドーヴィにはずいぶんとひもじい思いをさせてしまった……!
ちゅ、ちゅ、と軽い音を立てて顔を啄むドーヴィのシャツをグレンはきゅ、と握った。
「ん?」
その様子に気づいたドーヴィが口づけをやめて、真っ赤になっているグレンの顔を覗き込む。グレンは口をもにゅもにゅと動かした後に、おずおずと開いた。
「ドーヴィ、お腹いっぱいになるまで、好きに食べていいぞ」
グレンが意を決して言った言葉に、ドーヴィは……噴き出すのを何とか我慢して、目を丸くする程度に留めておいた。
ここで噴き出したら、グレンがへそを曲げるのはわかりにわかりきっている。せっかく、契約主様が慈愛の心でその身を差し出してくれるのだから――ドーヴィは、それをありがたく頂くしかない。
「そりゃどうも。たっぷり食わせて貰おうか」
契約主の勇気に乾杯。ドーヴィはクッと低い声で笑い、そして最も手軽に男の精力を摂取できる股間へと手を伸ばした。
「っ……」
さわり、と弱点を触られて、グレンが小さく息を飲む。それをドーヴィは意図的に無視して、グレンの相変わらず不健康な股間を大きな手で優しく揉みしだいた。
その合間に、グレンの耳を指先でくすぐり、頬を撫で、唇を親指の腹で撫でる。薄く開いたグレンの唇はドーヴィを誘っているようで、遠慮なくドーヴィはその唇に食らいついた。
「んっ……んんっ」
ドーヴィの分厚く大きな舌が、無遠慮にグレンの口内を弄る。上あごを撫で、歯列をなぞり。グレンの縮こまった小さな舌を優しく絡めとったかと思えば、強く吸い上げる。
久々の濃厚なキスに、グレンは早くも息を荒げて目に涙を溜めていた。口を解放してやってから、ドーヴィはグレンの目尻に少しばかり滲んだ涙をぺろりと舌で掬う。
「っは……は……」
「なんだ、久しぶり過ぎて息継ぎのやり方も忘れたか?」
「……う、うるさい……っ」
「拗ねるなよ、何度だってまた教えてやるから」
ぐい、と勢いよく袖で唇を拭うグレンを宥めるようにドーヴィは再度、唇を奪った。逃げるようにグレンの体が上へとにじり上がったが、ドーヴィはグレンの膝の上に跨って逃げられないようにグレンをベッドに縫い留める。
そのまま、ドーヴィは思う存分にグレンの口内を味わった。もはや、嬲り倒したと言っても過言ではないほどに。
繋がった二人の口の端からは、グレンが飲み切れなかった唾液がはしたなく垂れていく。じゅるり、といやらしい水音を響かせてグレンの舌を吸えば、合わせてグレンの腰もぴくりと跳ねた。もちろん、不健康な股間もすっかり固くなって、ドーヴィの手に存在感を主張してくる。
「ぁっ……は、はぁ……っ」
満足したドーヴィはようやく口を離した。唾液で口の周りをべたべたにしたグレン。唇もぽってりと膨らんで、普段より血色良く、桃色にぬらぬらと光っている。
「グレン、どうだ、キスのやり方思い出してきたか?」
揶揄うのではなく、ドーヴィは優しくグレンの頭を撫で、耳を指先でくすぐりながら尋ねた。その問いに、グレンは呼吸を乱したままに小さく頷く。
よしよし、と内心でガッツポーズをしてから、ドーヴィは揉んでいるだけだったグレンの股間、硬くなったところをそれなりの強さで握りしめた。
「ひあっ!」
「こっちも元気になってきたな」
「や、ドーヴィ、そこはっ……!」
薄い生地のズボンと下着をそのままに、手のひらで包んで強く擦りあげる。グレンの手がドーヴィの手に添えられたが、それは行為を止めるにしてはあまりにも弱々しいものだった。
先端の部分に爪を立てて、くりくりと軽く穿る。それだけでグレンは全身をびくつかせ、一つ高い声で可愛らしく鳴いた。
「あ、あぁっ、そ、それ、やだっ」
「やだ、じゃなくて、気持ちいい、な? 気持ちいいのは悪い事じゃないし、ここをこうやって弄るのだって悪い事じゃない。ほら、それも思い出せよ」
「うっ、ううっ……ぁっ……んっ!」
グレンは嫌がる様に首を振った。それでもドーヴィを振り払うわけでもないし、頬は相変わらず赤く紅潮したままなわけで。無事に、ここを触るのが嫌な事ではなくて良い事だという事も、思い出しつつあるようだ。ドーヴィはそれを思って、心の中で地味に安堵の息を漏らす。
辺境に戻ってきて、またあの嫌な思い出ばかり思い出されたらドーヴィの努力も水の泡だ。久々の精力が美味しすぎるからと言って、グレンを追い詰めすぎないように気を付けつつ、ドーヴィは両の手を下半身から上半身へと移動させる。
「んぁっ!」
きゅ、と両胸の飾りを強く摘ままれて、グレンは大きく喘いだ。素晴らしい、グレンの体の方はドーヴィが地道に仕込んだ快楽をしっかり覚えていてくれたらしい。
そんな可愛らしい淫乱ボディをさらに可愛がるために、ドーヴィはグレンの胸へと口を寄せた。早くグレンが18歳になり、こんな薄い生地を取り払ってさっさと赤い果実を直で楽しみたいものだ。
「ふぁ……あ……んぅ……」
ドーヴィの大きな口がグレンの胸を包み込み、唇でやわやわと小さな飾りを挟んで揉みしだく。股間への鋭い刺激とは違う、柔らかでいてぬるま湯の様なぼやけた快感に、グレンは息を整えながらも時折、甘い吐息を漏らしていた。
ドーヴィはグレンのもう片方を指先で弾きつつ、先端を引っ掻くように刺激する。シーツを強く握りしめ、胸からの快楽に耐えようとする姿は実にドーヴィのサディスト精神を煽った。
(まあ、まだグレンには早いからな……)
ぐ、とインキュバス、あるいは雄が持つ本能を宥めすかし、ドーヴィはとにかくグレンが快楽の海に溺れ沈むように、全身を優しく、くまなく愛撫して回る。
胸の飾りや股間はもちろん。弱い耳も鼻の頭も、唇も。首筋に鎖骨に。手の指先から足の指先に至るまで、余すところなく手を這わせ、口でしゃぶり尽くし、舌で嬲る。
「やぁっ……ドーヴィ……っ、んっ、あ……へ、変になるっ……」
「変になる、じゃなくて気持ちいいんだろ?」
「そ、そうだけど……ひあっ……き、きもちよすぎて……へん……っ!」
全身、ドーヴィに責められ尽くしたグレンはふるふると力なく首を振った。あちこちから気持ちいいものが集まってきて、腰がずんと重くなって、なんだかぞくぞくしたものが体の奥に塊を作っている。
グレンは一生懸命に、そのことを伝えた。半ば泣きべそをかきながら、とにかくドーヴィに変だと……助けて欲しいと、訴える。
それを聞いたドーヴィは。少しだけ悩んだ後に、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「ほー、そりゃあれだな、体がイキたがってんだな」
「イキたがる、って……っ……んんっ、あっ、や……ぁ……なに……?」
ドーヴィが両胸を弄るのを我慢して受け入れつつ、グレンは目に獰猛な光を宿らせたドーヴィを見上げた。視線がかち合って、またぞくりと背中が震える。小さく、喘ぎ声が口の端から漏れた。
見知らぬ恐怖に震えるグレンをあやすかのようにドーヴィは頬に軽く口づけをする。
「ざっくり言えば、男が射精するヤツの女版、ってところか。閨事の教科書には書いてなかっただろう?」
「ん、ぅ……しらない……っ」
グレンが受けた閨教育は、とにかく子作りをする事と体を結んで契約を結ぶ事に特化している。つまり、性行為の快楽も、ドーヴィが思うところの性行為の本質も、何一つグレンは教えられていないのだ。
「中出ししてハイ終わり、じゃねーんだよな、閨っつーのは」
「なに、ドーヴィ、何言って……あぁっ!」
ぐり、と股間を強く擦られてグレンは全身を震わせた。しばらく、はくはくと口を戦慄かせて絶句している。
(っつーか、射精じゃなくてそっちの絶頂の方が先に来るって……なかなか重症だな、オイ)
小さく震えているグレンを眼下に、ドーヴィは少し悩む。果たしてこのままいわゆる女としての絶頂へ導いてスッキリさせてやった方が良いのか、それより先に男としてしっかり射精するということを体験させた方が良いのか。
--
みなさんはどっちがいいですか!?(唐突
グレンくん、ついに射精の快楽を味わってしまうのか、その前にまさかのじんわりメスイキしてしまうのか……!!!
(R15だけどこれ怒られたらどうしよう)
アンケしたら票が入ってたのでそれでいきます!
というのも、ドーヴィから裏工作の進捗状況を聞くため。ちょうど、対象地域の主要な商会との接触が全て終了したところだったのだ。
「まあ、商会としては戦争で儲かるならとにかく、戦後に不味い話が待っていると聞けば黙ってはいられないだろうよ」
「……なるほど」
グレンはベッド端にちょこんと座ってドーヴィの話を聞き終えた。
ドーヴィが商会長に吹き込んだのは主に二つ。戦争で儲けても、その後にマスティリ帝国の巨大商会が流れ込んできてアンタらの様な商会は蹴散らされるだろう、という煽り。それと、戦争に関する武器や食料などは全部マスティリ帝国が負担するからアンタたちの出番はないぞ、という忠告。
何でもかんでもマスティリ帝国のせいにしておけば何とかなるのだから、ドーヴィとしてはずいぶん楽な仕事だ。
そしてドーヴィから根も葉もないが妙に信じたくなる噂を吹き込まれた商会長たちの動きは早く、ある者は早速領主へ確認に向かい、ある者は別の商会へ確認の使者を送り。あるいは、自前の情報網から戦争に関する情報を改めて拾い上げ、精査するように指示を出し。
「主要な商会の足並みが乱れて動きが鈍くなるのは間違いない」
各領はそれぞれ地元の主要な商会を当てにしている。ドーヴィが吹き込んだ噂の通りに、マスティリ帝国に支援を……など言う事は一切ないのだ、全くのでたらめだ。その状況で肝心の商会が取引に難色を示せば、否が応でも開戦の準備が遅延するというもの。
「うむ、ドーヴィ、よくやってくれた」
腕を組んで満足そうに頷くグレン。それを見ながら、ドーヴィはひょいと部屋全体にいつもの隠蔽魔法を張った。……いや違う、王都の頃より念入りに魔法を組んだ。
どこぞの両親がこれからの行為を現認して全力で外堀を埋められたらたまったものではない。人間には到底解けないような魔法をドーヴィは厳重に部屋全体に掛けた。
「さて、グレン。俺からの報告は終わりだ」
「うむ!」
「じゃあ、報酬を貰おうか」
「うむ! ……む?」
流れるような会話にグレンが大きく頷き、ワンテンポ遅れておや? と思った頃には、すでにグレンはベッドに押し倒されていた。ぐい、とドーヴィもベッドに乗り上げる。
「まだ全部の任務が終わったわけじゃねえが、途中成果分の報酬ぐらい払ってもらおうか。こっちは働いた分、腹も減ってんだよ」
ドーヴィは目を丸くしているグレンの顎を指先でくいと持ち上げた。その色っぽい男の仕草に、グレンの顔がカッと赤くなる。
「う……わ、わかった……っ!」
悪魔との契約には、悪魔が指定した報酬が必須。それを理解しているグレンは、大人しく……いや、大人しくはないかもしれないが、とにかくドーヴィの要求を受け入れた。
「イイ子だ」
低い声でドーヴィが囁き、グレンの前髪をかき上げて額に口づけを落とす。それだけで、グレンはぶるりと全身を震わせた。
……だって、久々なのだ、こういう事をするのが。振り返ってみれば、熱を出して寝込んでから今の大事に至るまで、ドーヴィはずっと手を出してこなかった。
そう考えると、ドーヴィは長い間、インキュバスとして食事をとっていなかったことになる。改めて、グレンはドーヴィに申し訳なく思った。自分が不甲斐ないせいで、ドーヴィにはずいぶんとひもじい思いをさせてしまった……!
ちゅ、ちゅ、と軽い音を立てて顔を啄むドーヴィのシャツをグレンはきゅ、と握った。
「ん?」
その様子に気づいたドーヴィが口づけをやめて、真っ赤になっているグレンの顔を覗き込む。グレンは口をもにゅもにゅと動かした後に、おずおずと開いた。
「ドーヴィ、お腹いっぱいになるまで、好きに食べていいぞ」
グレンが意を決して言った言葉に、ドーヴィは……噴き出すのを何とか我慢して、目を丸くする程度に留めておいた。
ここで噴き出したら、グレンがへそを曲げるのはわかりにわかりきっている。せっかく、契約主様が慈愛の心でその身を差し出してくれるのだから――ドーヴィは、それをありがたく頂くしかない。
「そりゃどうも。たっぷり食わせて貰おうか」
契約主の勇気に乾杯。ドーヴィはクッと低い声で笑い、そして最も手軽に男の精力を摂取できる股間へと手を伸ばした。
「っ……」
さわり、と弱点を触られて、グレンが小さく息を飲む。それをドーヴィは意図的に無視して、グレンの相変わらず不健康な股間を大きな手で優しく揉みしだいた。
その合間に、グレンの耳を指先でくすぐり、頬を撫で、唇を親指の腹で撫でる。薄く開いたグレンの唇はドーヴィを誘っているようで、遠慮なくドーヴィはその唇に食らいついた。
「んっ……んんっ」
ドーヴィの分厚く大きな舌が、無遠慮にグレンの口内を弄る。上あごを撫で、歯列をなぞり。グレンの縮こまった小さな舌を優しく絡めとったかと思えば、強く吸い上げる。
久々の濃厚なキスに、グレンは早くも息を荒げて目に涙を溜めていた。口を解放してやってから、ドーヴィはグレンの目尻に少しばかり滲んだ涙をぺろりと舌で掬う。
「っは……は……」
「なんだ、久しぶり過ぎて息継ぎのやり方も忘れたか?」
「……う、うるさい……っ」
「拗ねるなよ、何度だってまた教えてやるから」
ぐい、と勢いよく袖で唇を拭うグレンを宥めるようにドーヴィは再度、唇を奪った。逃げるようにグレンの体が上へとにじり上がったが、ドーヴィはグレンの膝の上に跨って逃げられないようにグレンをベッドに縫い留める。
そのまま、ドーヴィは思う存分にグレンの口内を味わった。もはや、嬲り倒したと言っても過言ではないほどに。
繋がった二人の口の端からは、グレンが飲み切れなかった唾液がはしたなく垂れていく。じゅるり、といやらしい水音を響かせてグレンの舌を吸えば、合わせてグレンの腰もぴくりと跳ねた。もちろん、不健康な股間もすっかり固くなって、ドーヴィの手に存在感を主張してくる。
「ぁっ……は、はぁ……っ」
満足したドーヴィはようやく口を離した。唾液で口の周りをべたべたにしたグレン。唇もぽってりと膨らんで、普段より血色良く、桃色にぬらぬらと光っている。
「グレン、どうだ、キスのやり方思い出してきたか?」
揶揄うのではなく、ドーヴィは優しくグレンの頭を撫で、耳を指先でくすぐりながら尋ねた。その問いに、グレンは呼吸を乱したままに小さく頷く。
よしよし、と内心でガッツポーズをしてから、ドーヴィは揉んでいるだけだったグレンの股間、硬くなったところをそれなりの強さで握りしめた。
「ひあっ!」
「こっちも元気になってきたな」
「や、ドーヴィ、そこはっ……!」
薄い生地のズボンと下着をそのままに、手のひらで包んで強く擦りあげる。グレンの手がドーヴィの手に添えられたが、それは行為を止めるにしてはあまりにも弱々しいものだった。
先端の部分に爪を立てて、くりくりと軽く穿る。それだけでグレンは全身をびくつかせ、一つ高い声で可愛らしく鳴いた。
「あ、あぁっ、そ、それ、やだっ」
「やだ、じゃなくて、気持ちいい、な? 気持ちいいのは悪い事じゃないし、ここをこうやって弄るのだって悪い事じゃない。ほら、それも思い出せよ」
「うっ、ううっ……ぁっ……んっ!」
グレンは嫌がる様に首を振った。それでもドーヴィを振り払うわけでもないし、頬は相変わらず赤く紅潮したままなわけで。無事に、ここを触るのが嫌な事ではなくて良い事だという事も、思い出しつつあるようだ。ドーヴィはそれを思って、心の中で地味に安堵の息を漏らす。
辺境に戻ってきて、またあの嫌な思い出ばかり思い出されたらドーヴィの努力も水の泡だ。久々の精力が美味しすぎるからと言って、グレンを追い詰めすぎないように気を付けつつ、ドーヴィは両の手を下半身から上半身へと移動させる。
「んぁっ!」
きゅ、と両胸の飾りを強く摘ままれて、グレンは大きく喘いだ。素晴らしい、グレンの体の方はドーヴィが地道に仕込んだ快楽をしっかり覚えていてくれたらしい。
そんな可愛らしい淫乱ボディをさらに可愛がるために、ドーヴィはグレンの胸へと口を寄せた。早くグレンが18歳になり、こんな薄い生地を取り払ってさっさと赤い果実を直で楽しみたいものだ。
「ふぁ……あ……んぅ……」
ドーヴィの大きな口がグレンの胸を包み込み、唇でやわやわと小さな飾りを挟んで揉みしだく。股間への鋭い刺激とは違う、柔らかでいてぬるま湯の様なぼやけた快感に、グレンは息を整えながらも時折、甘い吐息を漏らしていた。
ドーヴィはグレンのもう片方を指先で弾きつつ、先端を引っ掻くように刺激する。シーツを強く握りしめ、胸からの快楽に耐えようとする姿は実にドーヴィのサディスト精神を煽った。
(まあ、まだグレンには早いからな……)
ぐ、とインキュバス、あるいは雄が持つ本能を宥めすかし、ドーヴィはとにかくグレンが快楽の海に溺れ沈むように、全身を優しく、くまなく愛撫して回る。
胸の飾りや股間はもちろん。弱い耳も鼻の頭も、唇も。首筋に鎖骨に。手の指先から足の指先に至るまで、余すところなく手を這わせ、口でしゃぶり尽くし、舌で嬲る。
「やぁっ……ドーヴィ……っ、んっ、あ……へ、変になるっ……」
「変になる、じゃなくて気持ちいいんだろ?」
「そ、そうだけど……ひあっ……き、きもちよすぎて……へん……っ!」
全身、ドーヴィに責められ尽くしたグレンはふるふると力なく首を振った。あちこちから気持ちいいものが集まってきて、腰がずんと重くなって、なんだかぞくぞくしたものが体の奥に塊を作っている。
グレンは一生懸命に、そのことを伝えた。半ば泣きべそをかきながら、とにかくドーヴィに変だと……助けて欲しいと、訴える。
それを聞いたドーヴィは。少しだけ悩んだ後に、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「ほー、そりゃあれだな、体がイキたがってんだな」
「イキたがる、って……っ……んんっ、あっ、や……ぁ……なに……?」
ドーヴィが両胸を弄るのを我慢して受け入れつつ、グレンは目に獰猛な光を宿らせたドーヴィを見上げた。視線がかち合って、またぞくりと背中が震える。小さく、喘ぎ声が口の端から漏れた。
見知らぬ恐怖に震えるグレンをあやすかのようにドーヴィは頬に軽く口づけをする。
「ざっくり言えば、男が射精するヤツの女版、ってところか。閨事の教科書には書いてなかっただろう?」
「ん、ぅ……しらない……っ」
グレンが受けた閨教育は、とにかく子作りをする事と体を結んで契約を結ぶ事に特化している。つまり、性行為の快楽も、ドーヴィが思うところの性行為の本質も、何一つグレンは教えられていないのだ。
「中出ししてハイ終わり、じゃねーんだよな、閨っつーのは」
「なに、ドーヴィ、何言って……あぁっ!」
ぐり、と股間を強く擦られてグレンは全身を震わせた。しばらく、はくはくと口を戦慄かせて絶句している。
(っつーか、射精じゃなくてそっちの絶頂の方が先に来るって……なかなか重症だな、オイ)
小さく震えているグレンを眼下に、ドーヴィは少し悩む。果たしてこのままいわゆる女としての絶頂へ導いてスッキリさせてやった方が良いのか、それより先に男としてしっかり射精するということを体験させた方が良いのか。
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みなさんはどっちがいいですか!?(唐突
グレンくん、ついに射精の快楽を味わってしまうのか、その前にまさかのじんわりメスイキしてしまうのか……!!!
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