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第6章

「どうしたらええん?」直接キツネに聞いてみることにした。

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 なんかキツネが言うことはわかったけど、うちはどうしたらええんやろ。
「どうしたらええん?」直接キツネに聞いてみることにした。
「それはあんた次第。」けっこう薄情なことをおっしゃるキツネさん。
「そうや、五右衛門は?」うちは周りを見渡す。
「ああ、あのお侍は、ほら。」キツネ法師が指し示した方向には、稲荷の鳥居の下。そこに五右衛門が寝そべってるやん。
「五右衛門!」うちは思わず大声で駆け寄る。
「ん、んん。」五右衛門は鳥居にもたれて大あくびをした。
「ちょっと、生きてたんやね。」もう霊か何かもわからへんけど、うちは五右衛門に抱き着きそうになる。さすがにそれは寸前でやめにしたけど。
「あ、ああ町子殿。ご達者で。」五右衛門は目をこすって、立ち上がる。
「ご達者も何も。ほら、このキツネさんが。えっ。」うちが振り向くと、そこにはもうキツネの姿はなかった。
「どうしました?」五右衛門がこちらを伺っている。
「キツネに騙されたみたい。」うちは天を仰ぐ。
「キツネ?」五右衛門はけったいな顔をしている。
「そう、五右衛門。イカズチは。」うちはやっと言われてたことを思い出す。
「イカズチ。」五右衛門はその言葉を反芻する。
「そう、イカズチを盗んでもらわんとあかんねん。お、オイスターから。」うちの頭はまだ混乱してる。
「誰かわかり申さんが、イカズチならこうして。」五右衛門が手を広げると、そこに凄まじい光が生まれる。
「わ、わわ。すごい。五右衛門。いつの間に。」うちはびっくりして後ずさる。
「先ほど、そっと盗ませていただきました。」ニヤっと笑って五右衛門は手を閉じた。
「え、もしかしてキツネから?え、あれ、そうなん。」うちはよく分からんけど、これで準備は整った気がする。
「いやいや。」五右衛門が手を広げたら、バチバチと雷が光った。
「すごっ、絶対勝てるやん。」うちのテンションは上がりまくる。
「勝つとは、どなたに?」五右衛門はこの期におよんで間抜けなことをぬかす。
「アホか、鬼やん。陛下と戦ってる鬼をやっつけるねん。」うちはさっきキツネから聞いたばかりのことやけど、知ったかぶりで叫ぶ。
「鬼退治。陛下。え、天皇陛下?」五右衛門は頭を地面にこすりつける。
「いや、挨拶はええから。とにかく戦うねん。鬼をやっつけるねん。」うちはもうその気になってる。
「そうでございますな。陛下のお役に立てるなら、本望。」五右衛門は再び立ち上がる。
「よし、行くで。宇治や、宇治まで。」えっと、どうやって行くん?とうちは疑問に思う。
「あの鉄の塊は。」五右衛門に言われて、あ、そうや、こういう時こそ京阪電車やん、とうちは手をうつ。

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