タイムリープの短編小説

ちちまる

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時の狭間で繋がる心

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ある晩、夢の中で、俊也は不思議な時計を手に入れた。その時計は金色に輝く古風なポケットウォッチで、数字が光に溶けるように変わり、時には逆さまになることもあった。目覚めたとき、その時計は枕元に実際に存在していた。

学校への道すがら、俊也は時計をじっと眺めていた。すると、時計の針が急に早回りし始め、彼の周囲の景色がぼやけ、時が流れる音が耳を打った。気が付くと、彼は20年前の世界にいた。

周囲は見知らぬ風景で、人々の服装も明らかに古かった。彼はそこで、学生服を着た少女、美月と出会う。美月は何かを探しているようだったが、俊也の現れる前には誰も彼女の話に耳を貸してはいなかった。彼女の一生懸命さに心を打たれた俊也は、彼女を手伝うことを決める。

美月が探していたのは、彼女の祖母から受け継がれたという家族の形見のネックレスだった。二人は学校や公園、図書館と探し回り、その過程で次第に互いに惹かれあっていく。美月の素直で明るい性格が、時代を超えた彼の心に新しい光を灯したのだ。

探し物をしている間、俊也は美月に現代の技術や文化について話すことが多くなり、美月はそれに興味津々だった。しかし、ある日、俊也が時計を見ると、針が再び動き出した。時間は彼を現代へと引き戻そうとしていた。美月に別れを告げる時間が迫っていた。

「美月、もしもこの時計がまた僕をここへ連れてきてくれたら、また会おうね。」

美月は涙を浮かべながら笑顔で応じた。「うん、絶対に!」

俊也が目を閉じると、時間の波が彼を包み込み、彼は現代に戻された。ポケットの中には、美月との思い出と、彼女が見つけたネックレスが残されていた。それを手に取り、彼は深い愛おしさを感じながらも、切なさに胸を締め付けられた。

日々が過ぎ、俊也は大学を卒業し、教師となった。ある日、新しく赴任した学校で、彼は美月にそっくりな少女に出会う。彼女の名前は「美月」。祖母から聞いた不思議な話と、伝えられたネックレスを大切にしていると言う。

「俊也先生、私の祖母がよく話していたんです。時計を持った優しい人が、未来から来たって。」

その瞬間、俊也の心は時間を超えた絆で再び繋がったことを実感した。二人の間に流れる空気は、何か特別なもので満ちていた。時間を超え、再び巡り会えた奇跡に、俊也はただ、深く感謝の気持ちを抱いた。彼らの新たな物語が、今、始まろうとしていた。
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