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第四章(最終章)
第62話 帰還
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俺と彩月のコラボによるテレポートを行う。転移先は2億キロもの先にある特異暗黒粒子雲の端っこの100万キロ手前。
「「「シンクロハーモライズ!」」」
「アブソリュートビジョン!」
「テレポート!」
フワッと消える感覚の後に俺達のスペースハウスは約2億キロのジャンプに成功した。
「凄いよ、彩月!」
「光斗君が先導してくれるから凄い跳びやすかったよ」
「岡本さんもありがとう!」
「さ、流石にあたしは疲れた」
そして俺達は窓の外を見て言葉を失う。
「「「………………………………」」」
窓の外に物凄く大きな特異暗黒粒子雲が見える。そちら側の宇宙は真っ暗だ。星の明かりも何も無い漆黒の世界……。
彩月と岡本さんは抱き合って震えている。
「流石に怖いな……」
如月君も珍しく弱きコメだ。
「如月さん、ホントに行くの?」
此れから船外活動をする如月君を彩月が心配する。
「此れは俺が言い出した事だし、今回のミッションで俺が一番働いて無いからね」
「そんな事ない」
「そんな事ないよ。如月さんがいなかったら私達みんな心が折れてた。何も出来なかった」
「ありがとう、姫川さん。でも俺的にはしっかりした足跡を残したいんだ。だから行って来る」
「如月君。気を付けて」
「如月さん。何かあったら直ぐに回収するからね」
「如月、頑張れ!」
岡本さんが如月君の背中を叩き鼓舞する。
「じゃあ、行って来る」
笑顔で1階に降りて行く如月君。マジかっこいい!
◆
窓から宇宙服を着た如月君を俺達は見守っていた。宇宙服には命綱をして有るので緊張時は直ぐに巻き取れるようになっている。
如月君は宇宙用カバーをしたスマホを左手にくくり付け、右手には食料入れに使っていた金属ケースをくくり付けて特異暗黒粒子を探している。
スマホの画面にはサツキサンとリンクしたビジュアル画面が表示されている。外縁部に有る僅かな特異暗黒粒子は小さい上に黒いので宇宙空間で肉眼で探すのは困難な事が予想された。
そこでリアルタイムで俺が索敵し、其の情報を如月君がスマホで確認する事としていた。
緊急避難用の宇宙服は内部が1気圧に設定されている為に0気圧の宇宙空間ではパンパンに膨れ上がり手足の稼働には大きな負担となっていた。それ故に如月君の動きは酷くぎこちなくかなり苦労しているようだ。
「もう少し動き安く出来なかったのかな?」
岡本さんが俺に聞いてくる。
「白山先生の話しだと宇宙飛行士用の宇宙服は1気圧より低い設定で宇宙でも動き安くして有るらしいよ?でも其れは減圧訓練とかしている宇宙飛行士だから大丈夫で、俺達みたいのが宇宙で着ると潜水病みたいになってヤバいらしいとか?」
「へぇ~……?」
「………?」
よく分かっていない俺の説明ではよく分からないよね(苦笑)。
四苦八苦してる如月君ではあるが、しかし流石は如月君だ!そんな状況でも既に特異暗黒粒子を10個以上捕獲していた。
サツキサンのアラームが鳴りミッション時間リミットの5分を告げる。屋外灯を点滅させて如月君に知らせる。命綱を巻き上げ減圧室に如月君が帰って来た。
「何とか捕獲出来て良かったよ」
そう言って如月君が1階から上がって来た。
「お疲れ様~」
彩月が労いの言葉をかける。
「あの宇宙服でちゃんとやれるんだから流石如月君だよ」
「話しには聞いていたけどあそこまで動けないとは思わなかったよ(苦笑い)」
如月君は金属ケース内の特異暗黒粒子を器用にビンに入れ蓋をする。
みんなでビンの中の大きさ2,3cmの黒いマリモのような特異暗黒粒子を眺める。お互いが反発するのでビンの中でふわふわ動いている。意外と可愛かったりして。
「ヨシ!地球に帰ろう!」
如月君の声にみんなが微笑んで了解した。
◆
地球から高度20000キロの位置に帰って来た。アブソリュートビジョンとテレポートのシンクロまじ凄い。
「地球だ~」
岡本さんがそう呟き涙を流していた。
「……帰ってこれたんだね」
やはり涙を流しながら彩月も囁く。
「まてまて、感動する気持ちは分かるけど城の中庭に着陸する迄は気を抜かないように」
如月君が感動の場面に水を差す。
「ブー、如月冷た~い」
岡本さんからのブーイングに如月君は昔話しをしはじめた。
「あはは、ちょっとした昔話しがあるんだ。聞いてくれ」
昔昔、火星の軌道上に火星探査機君がいました。間も無く火星の大地に着陸出来ます。長い間宇宙を飛んで来て待ちに待った瞬間です。
探査機君は航行チームから指示され、大気圏に突入します。
アレアレやけに熱いぞ。
探査機君は大気圏の熱で壊れてしまいました。
なんで?
残念な事に地上局ではヤード法で距離計算をした数字を航行チームに連絡、しかし航行チームはメートル法を使っていたから、距離は全く全然ちっとも合いませんでした。ちょっとしたミスで探査機君は、火星の大地に降り立つ事が出来ませんでしたとさ。
「てな話しが昔のマーズ計画であったんだ」
「りょ、了解した。サツキサン、地上迄の正確なデータ宜しくね」
「イエス。マスター」
「彩月、俺のビジョンを使ってテレポートしよう」
「はい、光斗君」
こうして俺達は無事に地球、王城の中庭に帰還した。
◆
「大地だ~~~」
ふらつく足で地面に降り立つ。久しぶりの重力でなんか変な感じだね。みんなもそんな感じでヨタヨタしている。
着陸した中庭の周りに集まっていたアルフィーナ王女、ルミナ様、セシリちゃん、メイアさん、クラスのみんなが駆け寄って来る。
「ライト様~」「ライト~」「ライトお兄ちゃ~ん」
3人が俺に抱きついて来た。ちょっとよろめきながらも何とか踏ん張れた。
「ただいま」
3人の頭を順々に撫でる。
「ご無事で何よりです~」
「会いたかったぞライト~」
「ライトお兄ちゃ~ん」
「みんなの顔が見れて俺も嬉しいよ。一時はもう帰れないって思ったからな~」
あっ、みんなの顔が固まっているよ?
「ライト様~」「ライト~」「ライトお兄ちゃ~ん」
更に泣きながらしがみついてきた。
やっちった(苦笑)。
周りを見ると彩月、岡本さん、如月君もみんなが抱きついて、泣きついて、揉みくちゃになっていた。
パン、パン。
新藤君が手を叩いて合図をする。
「光斗達は疲れてるんだ。其ぐらいにしてやれ。光斗達は部屋でゆっくり休め」
「私はお風呂に入りたいです~」
彩月が手を上げる。
「あたしも~」
「それじゃ背中流してあげるね」
茜音さんが彩月の腕に抱きつく。
「私も~」「私も~」「私も~」女子全員が手を上げた。
「では皆さんで参りましょうか」
「えっ、マジで!」
相沢君がアルフィーナ王女の言葉に速攻反応した。
ボカッ!
「そんなはず無いでしょ!」
高山さんがすかさず突っ込む。
「しゃあねぇ、光斗の背中でも流すか」
頭をかきながら俺の肩に手を回す相沢君。
「みんな行こうぜー」
「そうだな」「残念だな」「しかたねぇな~」「光斗で我慢するか」
みんなズラズラ歩き出す。
いやいや、野郎10人に背中流されるってどんな罰ゲーム?
「新藤!お土産だ!」
如月君がビンを放り投げ新藤君がキャッチする。
「オイ!此れは!」
「特異暗黒粒子だ」
「如月、ちょっと来い!報告会だ!」
「えっ?さっき休めって?」
「………。光斗達は休んでてくれ。っとサツキサンは少し貸してくれ。行くぞ、如月」
「鬼だな」
◆
新藤君と如月君を除いた俺達は大浴場に向かった。もちろん男女別のお風呂だ。
早速湯船に浸かり「ふぅ~」と息を吐く。最高だ~!蕩けてしまいそうだ~。
「宇宙はどうだった?」
相沢君が聞いてくる。
「地球は青くて綺麗だし、星は鬼のようにスゲー見えたよ」
俺は楽しかった事、怖かった事、面白かった事、悔しかった事、色々な事を話し最後にみんなからのメールが心を支えてくれた事を話した。
「みんなのメールが無かったら俺達は帰ってこれなかった。本当にありがとう!」
「そうか~。俺達が力に成れたんだ」
相沢君が照れながら言う。
「あの時はヤバい位いに追い詰められていたからね。マジホント感謝だよ」
「大変だったんだな」
相沢君が少し涙目で言う。
「ヨシ!光斗の労をねぎらい背中流し大会を執り行おう!」
中川君が暴走する。
「えっ、マジにやるの?」
「ったりめえよ~!」
はぁ~、断りづらいな~(苦笑)
こうして野郎共による俺の背中流し大会が始まった…。
……失敗だ(涙)!やはりNOと言える日本人になるべきだった(涙)!
俺はNOと言える日本人じゃなかったのか(涙)?
チキショー(涙涙)!
大失敗だ(涙涙涙)!
何をどう考えても野郎共による背中流しリレーは罰ゲーム以外の何物でも無かった!(涙涙涙涙涙~)
俺達は和やかな雰囲気の中(?)、お風呂を出た。なんかどっと疲れたよ……。
◆
ノワールの塔に向かう途中で女性風呂の前を通る。入り口のベンチに3人の女の子が塞ぎ込んでいる。
「どうしたの?」
高山さん、山梨さん、沢岸さんの3人に声をかける。
「あっ♥」
「光斗君♥」
「光斗様~♥」
はっ? ♥とか、♥とか、様って何?
彼女達の声に合わせたかのように女の子達が扉から出てきた。
「あっ、光斗君だ♥」「光斗君だ~♥」「キャー、光斗様よ♥」「光斗君~♥」「光斗様~♥」
はい?みんな一様に♥が有るのは何?何ですか~?
そうこうしているうちに女の子に囲まれてしまった。
「光斗君、私も愛して~♥」「結婚して~♥」「光斗様~、私も~♥」「私は友達からでもいいから~♥」「如月様に告られたって本当ですか~♥」「如月様×光斗様、キャー萌える~♥」「彩月ちゃんの初恋の人ってホントですか~♥」「彩月ちゃんが羨ま~♥」「光斗様~♥」
何?何?何?しかも如月君×ラブとか?何ネタ?ヤバくね?彩月の初恋の人って俺?新情報なんですけど~!
みんな一様にピンクのオーラを纏いピンクの大渦メイルシュトローム(仮)に呑まれバタバタしてると入り口に茹蛸のように真っ赤な顔で口元をタオルで隠している彩月が立っていた。
「あっ、光斗君…」
「光斗さん…」(ポッ♥)
アレ?隣に立つ葵さん迄が頬が赤いよ?ピンクのオーラだよ?
お風呂で何があったの?
後から出てきた岡本さんと茜音さんが
「光斗と彩月の恋話してたら盛り上がっちゃって」
「彩月ちゃんの光斗君との馴れ初め話しとかも出ちゃって」
そ~ですか~(汗)
うわっ、芳川さん、胸とか当たってるんですけど~!『誘惑』とか使わないでね(汗汗汗)
「「「シンクロハーモライズ!」」」
「アブソリュートビジョン!」
「テレポート!」
フワッと消える感覚の後に俺達のスペースハウスは約2億キロのジャンプに成功した。
「凄いよ、彩月!」
「光斗君が先導してくれるから凄い跳びやすかったよ」
「岡本さんもありがとう!」
「さ、流石にあたしは疲れた」
そして俺達は窓の外を見て言葉を失う。
「「「………………………………」」」
窓の外に物凄く大きな特異暗黒粒子雲が見える。そちら側の宇宙は真っ暗だ。星の明かりも何も無い漆黒の世界……。
彩月と岡本さんは抱き合って震えている。
「流石に怖いな……」
如月君も珍しく弱きコメだ。
「如月さん、ホントに行くの?」
此れから船外活動をする如月君を彩月が心配する。
「此れは俺が言い出した事だし、今回のミッションで俺が一番働いて無いからね」
「そんな事ない」
「そんな事ないよ。如月さんがいなかったら私達みんな心が折れてた。何も出来なかった」
「ありがとう、姫川さん。でも俺的にはしっかりした足跡を残したいんだ。だから行って来る」
「如月君。気を付けて」
「如月さん。何かあったら直ぐに回収するからね」
「如月、頑張れ!」
岡本さんが如月君の背中を叩き鼓舞する。
「じゃあ、行って来る」
笑顔で1階に降りて行く如月君。マジかっこいい!
◆
窓から宇宙服を着た如月君を俺達は見守っていた。宇宙服には命綱をして有るので緊張時は直ぐに巻き取れるようになっている。
如月君は宇宙用カバーをしたスマホを左手にくくり付け、右手には食料入れに使っていた金属ケースをくくり付けて特異暗黒粒子を探している。
スマホの画面にはサツキサンとリンクしたビジュアル画面が表示されている。外縁部に有る僅かな特異暗黒粒子は小さい上に黒いので宇宙空間で肉眼で探すのは困難な事が予想された。
そこでリアルタイムで俺が索敵し、其の情報を如月君がスマホで確認する事としていた。
緊急避難用の宇宙服は内部が1気圧に設定されている為に0気圧の宇宙空間ではパンパンに膨れ上がり手足の稼働には大きな負担となっていた。それ故に如月君の動きは酷くぎこちなくかなり苦労しているようだ。
「もう少し動き安く出来なかったのかな?」
岡本さんが俺に聞いてくる。
「白山先生の話しだと宇宙飛行士用の宇宙服は1気圧より低い設定で宇宙でも動き安くして有るらしいよ?でも其れは減圧訓練とかしている宇宙飛行士だから大丈夫で、俺達みたいのが宇宙で着ると潜水病みたいになってヤバいらしいとか?」
「へぇ~……?」
「………?」
よく分かっていない俺の説明ではよく分からないよね(苦笑)。
四苦八苦してる如月君ではあるが、しかし流石は如月君だ!そんな状況でも既に特異暗黒粒子を10個以上捕獲していた。
サツキサンのアラームが鳴りミッション時間リミットの5分を告げる。屋外灯を点滅させて如月君に知らせる。命綱を巻き上げ減圧室に如月君が帰って来た。
「何とか捕獲出来て良かったよ」
そう言って如月君が1階から上がって来た。
「お疲れ様~」
彩月が労いの言葉をかける。
「あの宇宙服でちゃんとやれるんだから流石如月君だよ」
「話しには聞いていたけどあそこまで動けないとは思わなかったよ(苦笑い)」
如月君は金属ケース内の特異暗黒粒子を器用にビンに入れ蓋をする。
みんなでビンの中の大きさ2,3cmの黒いマリモのような特異暗黒粒子を眺める。お互いが反発するのでビンの中でふわふわ動いている。意外と可愛かったりして。
「ヨシ!地球に帰ろう!」
如月君の声にみんなが微笑んで了解した。
◆
地球から高度20000キロの位置に帰って来た。アブソリュートビジョンとテレポートのシンクロまじ凄い。
「地球だ~」
岡本さんがそう呟き涙を流していた。
「……帰ってこれたんだね」
やはり涙を流しながら彩月も囁く。
「まてまて、感動する気持ちは分かるけど城の中庭に着陸する迄は気を抜かないように」
如月君が感動の場面に水を差す。
「ブー、如月冷た~い」
岡本さんからのブーイングに如月君は昔話しをしはじめた。
「あはは、ちょっとした昔話しがあるんだ。聞いてくれ」
昔昔、火星の軌道上に火星探査機君がいました。間も無く火星の大地に着陸出来ます。長い間宇宙を飛んで来て待ちに待った瞬間です。
探査機君は航行チームから指示され、大気圏に突入します。
アレアレやけに熱いぞ。
探査機君は大気圏の熱で壊れてしまいました。
なんで?
残念な事に地上局ではヤード法で距離計算をした数字を航行チームに連絡、しかし航行チームはメートル法を使っていたから、距離は全く全然ちっとも合いませんでした。ちょっとしたミスで探査機君は、火星の大地に降り立つ事が出来ませんでしたとさ。
「てな話しが昔のマーズ計画であったんだ」
「りょ、了解した。サツキサン、地上迄の正確なデータ宜しくね」
「イエス。マスター」
「彩月、俺のビジョンを使ってテレポートしよう」
「はい、光斗君」
こうして俺達は無事に地球、王城の中庭に帰還した。
◆
「大地だ~~~」
ふらつく足で地面に降り立つ。久しぶりの重力でなんか変な感じだね。みんなもそんな感じでヨタヨタしている。
着陸した中庭の周りに集まっていたアルフィーナ王女、ルミナ様、セシリちゃん、メイアさん、クラスのみんなが駆け寄って来る。
「ライト様~」「ライト~」「ライトお兄ちゃ~ん」
3人が俺に抱きついて来た。ちょっとよろめきながらも何とか踏ん張れた。
「ただいま」
3人の頭を順々に撫でる。
「ご無事で何よりです~」
「会いたかったぞライト~」
「ライトお兄ちゃ~ん」
「みんなの顔が見れて俺も嬉しいよ。一時はもう帰れないって思ったからな~」
あっ、みんなの顔が固まっているよ?
「ライト様~」「ライト~」「ライトお兄ちゃ~ん」
更に泣きながらしがみついてきた。
やっちった(苦笑)。
周りを見ると彩月、岡本さん、如月君もみんなが抱きついて、泣きついて、揉みくちゃになっていた。
パン、パン。
新藤君が手を叩いて合図をする。
「光斗達は疲れてるんだ。其ぐらいにしてやれ。光斗達は部屋でゆっくり休め」
「私はお風呂に入りたいです~」
彩月が手を上げる。
「あたしも~」
「それじゃ背中流してあげるね」
茜音さんが彩月の腕に抱きつく。
「私も~」「私も~」「私も~」女子全員が手を上げた。
「では皆さんで参りましょうか」
「えっ、マジで!」
相沢君がアルフィーナ王女の言葉に速攻反応した。
ボカッ!
「そんなはず無いでしょ!」
高山さんがすかさず突っ込む。
「しゃあねぇ、光斗の背中でも流すか」
頭をかきながら俺の肩に手を回す相沢君。
「みんな行こうぜー」
「そうだな」「残念だな」「しかたねぇな~」「光斗で我慢するか」
みんなズラズラ歩き出す。
いやいや、野郎10人に背中流されるってどんな罰ゲーム?
「新藤!お土産だ!」
如月君がビンを放り投げ新藤君がキャッチする。
「オイ!此れは!」
「特異暗黒粒子だ」
「如月、ちょっと来い!報告会だ!」
「えっ?さっき休めって?」
「………。光斗達は休んでてくれ。っとサツキサンは少し貸してくれ。行くぞ、如月」
「鬼だな」
◆
新藤君と如月君を除いた俺達は大浴場に向かった。もちろん男女別のお風呂だ。
早速湯船に浸かり「ふぅ~」と息を吐く。最高だ~!蕩けてしまいそうだ~。
「宇宙はどうだった?」
相沢君が聞いてくる。
「地球は青くて綺麗だし、星は鬼のようにスゲー見えたよ」
俺は楽しかった事、怖かった事、面白かった事、悔しかった事、色々な事を話し最後にみんなからのメールが心を支えてくれた事を話した。
「みんなのメールが無かったら俺達は帰ってこれなかった。本当にありがとう!」
「そうか~。俺達が力に成れたんだ」
相沢君が照れながら言う。
「あの時はヤバい位いに追い詰められていたからね。マジホント感謝だよ」
「大変だったんだな」
相沢君が少し涙目で言う。
「ヨシ!光斗の労をねぎらい背中流し大会を執り行おう!」
中川君が暴走する。
「えっ、マジにやるの?」
「ったりめえよ~!」
はぁ~、断りづらいな~(苦笑)
こうして野郎共による俺の背中流し大会が始まった…。
……失敗だ(涙)!やはりNOと言える日本人になるべきだった(涙)!
俺はNOと言える日本人じゃなかったのか(涙)?
チキショー(涙涙)!
大失敗だ(涙涙涙)!
何をどう考えても野郎共による背中流しリレーは罰ゲーム以外の何物でも無かった!(涙涙涙涙涙~)
俺達は和やかな雰囲気の中(?)、お風呂を出た。なんかどっと疲れたよ……。
◆
ノワールの塔に向かう途中で女性風呂の前を通る。入り口のベンチに3人の女の子が塞ぎ込んでいる。
「どうしたの?」
高山さん、山梨さん、沢岸さんの3人に声をかける。
「あっ♥」
「光斗君♥」
「光斗様~♥」
はっ? ♥とか、♥とか、様って何?
彼女達の声に合わせたかのように女の子達が扉から出てきた。
「あっ、光斗君だ♥」「光斗君だ~♥」「キャー、光斗様よ♥」「光斗君~♥」「光斗様~♥」
はい?みんな一様に♥が有るのは何?何ですか~?
そうこうしているうちに女の子に囲まれてしまった。
「光斗君、私も愛して~♥」「結婚して~♥」「光斗様~、私も~♥」「私は友達からでもいいから~♥」「如月様に告られたって本当ですか~♥」「如月様×光斗様、キャー萌える~♥」「彩月ちゃんの初恋の人ってホントですか~♥」「彩月ちゃんが羨ま~♥」「光斗様~♥」
何?何?何?しかも如月君×ラブとか?何ネタ?ヤバくね?彩月の初恋の人って俺?新情報なんですけど~!
みんな一様にピンクのオーラを纏いピンクの大渦メイルシュトローム(仮)に呑まれバタバタしてると入り口に茹蛸のように真っ赤な顔で口元をタオルで隠している彩月が立っていた。
「あっ、光斗君…」
「光斗さん…」(ポッ♥)
アレ?隣に立つ葵さん迄が頬が赤いよ?ピンクのオーラだよ?
お風呂で何があったの?
後から出てきた岡本さんと茜音さんが
「光斗と彩月の恋話してたら盛り上がっちゃって」
「彩月ちゃんの光斗君との馴れ初め話しとかも出ちゃって」
そ~ですか~(汗)
うわっ、芳川さん、胸とか当たってるんですけど~!『誘惑』とか使わないでね(汗汗汗)
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しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
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