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第四章(最終章)
第61話 ゼロと無し
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まだ体調が完治していない彩月をベッドに寝かせ、岡本さんも張り積めていた気が抜けたせいかどっと疲れた顔をしていたのでベッドで休んで貰う事にした。
俺と如月君は地球にいる新藤君と電話会議をしていた。
『おめでとう。そしてありがとう。良くやってくれた』
「みんなのお陰だよ」
『姫川さんと岡本さんは大丈夫か?』
「2人とも緊張の糸が切れたんだろう。ぐっすり寝ている」
『そうか。それじゃ本題だがアレは何だった』
「サツキサン、説明を頼むよ」
「イエス、マスター。あの黒雲は『無』の集まりです」
「『無』って無いって事?」
『サツキサン、其の無は『0』か『無し』か?どちらだい?』
「イエス、新藤様。『無し』の方です」
ん?『0』と『無し』って違うの?
「黒雲の粒子は直径1cm~3cm程度の球体で、黒い電子雲の外核が有り中は『無』です」
「外核はヒッグス場って感じか」
如月君が納得する。なに?何の話しをしてるの?
『其れで本体は?』
新藤君が話しを替え本体への質問をした。
「直径約7Kmで構造はほぼ中性子星と同じです。
質量は太陽の70%程度、自転周期は1.8秒、大気層は0.9cm。
大きく違う点として一般的な中性子星であれば其の重力は地球の重力の2×10の11乗倍程度ですが、超重力は無く地球のおよそ10倍程度です。
内部は中心にコアが有り其れを覆う地殻では北極点側と南極点側に於いて黒雲と同様の『無』が存在し、両極より黒雲の粒子が放出されています」
『特異中性子星に特異暗黒粒子ってところか……。如月、どう思う?』
「中性子星が謎の崩壊を遂げたって感じか?こんな星は聞いた事が無いけどな」
『俺も聞いた事はないが、目の前に存在している以上、対策は考えないといけないんだが……』
「新藤様。特異暗黒粒子の外周にある電子雲も『無』の影響を受けています。且つ属性は反発です」
『うが~。めんどくさい設定だな!』
「無いくせに周りも受け入れないってヤバくないか」
『無敵だな。無いモノを壊すってだけでも無理なのに、加えて外的な力やエネルギーも寄せ付けないって。頭痛くなるな』
「唯一貫通出来るのはアブソリュートビジョンだけだが……」
如月君が俺を見る。
「いやいや、無理でしょ。偵察機に火力を求めちゃダメだよ」
『とりあえず光斗達は姫川さんの体調が良くなり次第帰還してくれ。みんなが帰りを待ちわびているからな』
「「了解」」
◆
翌日、彩月は絶好調に元気だった。
「彩月、一気に快復したね」
「うん。心配掛けさせてゴメンね」
「ううん。元気になってホント良かった」
「良かったね、彩月」
「ありがとう、岡本さん」
「何とか俺達のミッションは達成出来た。光斗と姫川さんの愛の力だな」
うわ~。面と向かって言われると恥ずかしいぞ。
「後は帰るだけだね」
岡本さんの言葉に如月君が新たな提案をしてきた。
「昨日、俺と光斗と新藤で状況確認した」
俺は話しに全く全然ついて行けなかったけど~。
「とにかく厄介な相手だって事になった。新藤曰く相手は無敵らしい」
「無敵って何それ?」
彩月の疑問は当然だ。
「あの黒雲、特異暗黒粒子と呼ぶ事にしたんだけど、あれは見えるけど存在しないモノなんだ」
「幽霊みたいなモノ?」
岡本さんの質問に如月君は苦笑いして
「そうじゃなくて、う~ん、まぁ厄介な相手って事」
流石の如月君も女の子に説明するには難しいらしい。
「そこで特異暗黒粒子のサンプルを持ち帰りたいと思うんだ。あの新藤が匙を投げたくなる相手だ。実物が有れば対策も立てやすくなる」
「でもかなり遠いよ」
「私、そんな遠く迄は跳べないよ」
「その事なんだけど試したい事があるんだ。光斗のアブソリュートビジョンと姫川さんのテレポートをシンクロハーモライズしたら超超距離移動が出来ないか?」
シンクロハーモライズはイメージの融合以降有り有りになっている。愛だってシンクロ出来る。やってみる価値は有りそうだ。
「サツキサン、特異暗黒粒子が散らばっているポイントは特定出来る?」
「イエス、マスター。特異暗黒粒子迄の距離は2億3276万2561キロです。しかし作戦立案、シミュレーション、準備等含めますとポイントは大幅にズレるものと思われます」
「サツキサンさんの言う通りだ。相手は時速100万キロで動いてる。ジャンプ前にポイントは決める必要がある」
「でも特異暗黒粒子は時速100万キロで動いてるいるんだろ?そんな高速なモノをどうやって捕まえるんだ?」
「こいつはパラドックスの塊なんだ。宇宙を時速100万キロで動いてるくせに『無』である。つまり運動エネルギーを持っていない」
「えっ、じゃあ何で動いてるの?」
「此れに関しては本星からの何らかのエネルギーに縛られてるって感じかなと思う。本質的には運動エネルギーが0、モノには反発する属性、外的な押される力、この3つの要素から推測するに、ぶつかる手前でフワッと避ける。但し秒速300キロだから目では追えない」
「ふにぁー」
岡本さんが頭を抱える。うん。俺もよく分からないよ。
「如月様、その心配はありません。特異暗黒粒子雲の最外縁に有る特異暗黒粒子は固有の反発エネルギーで弾かれた後、エネルギーが無くなった状態で浮遊しています。この粒子には慣性の法則が適用されないためほぼ静止状態です」
「ふにぁ、ふにぁー」
岡本さんが頭を抱える。うん。俺も全くよく分からないよ。
「慣性の法則が適用されないってどういう事?」
俺が如月君に質問する。
「姫川さん。慣性の法則に適用される運動方程式は?」
「えっ、あ、私? えっと、たしか、F=maだったかな?」
「正解。「F」は力、「m」は物体の質量、「a」は加速度。さて特異暗黒粒子の質量は?」
「『無い』?……あっ」
俺もようやく理解した。mが0ならFは0だ。岡本さんも
「答えが0になるから慣性は0って事ね」
「まぁ…そんな感じだね」
如月君は少し曖昧に答えた。微妙に正解では無いらしい?
彩月をチラッと見て目が合う。彩月も首をかしげていた。正解はなんだろう?ふにぁ?
俺と如月君は地球にいる新藤君と電話会議をしていた。
『おめでとう。そしてありがとう。良くやってくれた』
「みんなのお陰だよ」
『姫川さんと岡本さんは大丈夫か?』
「2人とも緊張の糸が切れたんだろう。ぐっすり寝ている」
『そうか。それじゃ本題だがアレは何だった』
「サツキサン、説明を頼むよ」
「イエス、マスター。あの黒雲は『無』の集まりです」
「『無』って無いって事?」
『サツキサン、其の無は『0』か『無し』か?どちらだい?』
「イエス、新藤様。『無し』の方です」
ん?『0』と『無し』って違うの?
「黒雲の粒子は直径1cm~3cm程度の球体で、黒い電子雲の外核が有り中は『無』です」
「外核はヒッグス場って感じか」
如月君が納得する。なに?何の話しをしてるの?
『其れで本体は?』
新藤君が話しを替え本体への質問をした。
「直径約7Kmで構造はほぼ中性子星と同じです。
質量は太陽の70%程度、自転周期は1.8秒、大気層は0.9cm。
大きく違う点として一般的な中性子星であれば其の重力は地球の重力の2×10の11乗倍程度ですが、超重力は無く地球のおよそ10倍程度です。
内部は中心にコアが有り其れを覆う地殻では北極点側と南極点側に於いて黒雲と同様の『無』が存在し、両極より黒雲の粒子が放出されています」
『特異中性子星に特異暗黒粒子ってところか……。如月、どう思う?』
「中性子星が謎の崩壊を遂げたって感じか?こんな星は聞いた事が無いけどな」
『俺も聞いた事はないが、目の前に存在している以上、対策は考えないといけないんだが……』
「新藤様。特異暗黒粒子の外周にある電子雲も『無』の影響を受けています。且つ属性は反発です」
『うが~。めんどくさい設定だな!』
「無いくせに周りも受け入れないってヤバくないか」
『無敵だな。無いモノを壊すってだけでも無理なのに、加えて外的な力やエネルギーも寄せ付けないって。頭痛くなるな』
「唯一貫通出来るのはアブソリュートビジョンだけだが……」
如月君が俺を見る。
「いやいや、無理でしょ。偵察機に火力を求めちゃダメだよ」
『とりあえず光斗達は姫川さんの体調が良くなり次第帰還してくれ。みんなが帰りを待ちわびているからな』
「「了解」」
◆
翌日、彩月は絶好調に元気だった。
「彩月、一気に快復したね」
「うん。心配掛けさせてゴメンね」
「ううん。元気になってホント良かった」
「良かったね、彩月」
「ありがとう、岡本さん」
「何とか俺達のミッションは達成出来た。光斗と姫川さんの愛の力だな」
うわ~。面と向かって言われると恥ずかしいぞ。
「後は帰るだけだね」
岡本さんの言葉に如月君が新たな提案をしてきた。
「昨日、俺と光斗と新藤で状況確認した」
俺は話しに全く全然ついて行けなかったけど~。
「とにかく厄介な相手だって事になった。新藤曰く相手は無敵らしい」
「無敵って何それ?」
彩月の疑問は当然だ。
「あの黒雲、特異暗黒粒子と呼ぶ事にしたんだけど、あれは見えるけど存在しないモノなんだ」
「幽霊みたいなモノ?」
岡本さんの質問に如月君は苦笑いして
「そうじゃなくて、う~ん、まぁ厄介な相手って事」
流石の如月君も女の子に説明するには難しいらしい。
「そこで特異暗黒粒子のサンプルを持ち帰りたいと思うんだ。あの新藤が匙を投げたくなる相手だ。実物が有れば対策も立てやすくなる」
「でもかなり遠いよ」
「私、そんな遠く迄は跳べないよ」
「その事なんだけど試したい事があるんだ。光斗のアブソリュートビジョンと姫川さんのテレポートをシンクロハーモライズしたら超超距離移動が出来ないか?」
シンクロハーモライズはイメージの融合以降有り有りになっている。愛だってシンクロ出来る。やってみる価値は有りそうだ。
「サツキサン、特異暗黒粒子が散らばっているポイントは特定出来る?」
「イエス、マスター。特異暗黒粒子迄の距離は2億3276万2561キロです。しかし作戦立案、シミュレーション、準備等含めますとポイントは大幅にズレるものと思われます」
「サツキサンさんの言う通りだ。相手は時速100万キロで動いてる。ジャンプ前にポイントは決める必要がある」
「でも特異暗黒粒子は時速100万キロで動いてるいるんだろ?そんな高速なモノをどうやって捕まえるんだ?」
「こいつはパラドックスの塊なんだ。宇宙を時速100万キロで動いてるくせに『無』である。つまり運動エネルギーを持っていない」
「えっ、じゃあ何で動いてるの?」
「此れに関しては本星からの何らかのエネルギーに縛られてるって感じかなと思う。本質的には運動エネルギーが0、モノには反発する属性、外的な押される力、この3つの要素から推測するに、ぶつかる手前でフワッと避ける。但し秒速300キロだから目では追えない」
「ふにぁー」
岡本さんが頭を抱える。うん。俺もよく分からないよ。
「如月様、その心配はありません。特異暗黒粒子雲の最外縁に有る特異暗黒粒子は固有の反発エネルギーで弾かれた後、エネルギーが無くなった状態で浮遊しています。この粒子には慣性の法則が適用されないためほぼ静止状態です」
「ふにぁ、ふにぁー」
岡本さんが頭を抱える。うん。俺も全くよく分からないよ。
「慣性の法則が適用されないってどういう事?」
俺が如月君に質問する。
「姫川さん。慣性の法則に適用される運動方程式は?」
「えっ、あ、私? えっと、たしか、F=maだったかな?」
「正解。「F」は力、「m」は物体の質量、「a」は加速度。さて特異暗黒粒子の質量は?」
「『無い』?……あっ」
俺もようやく理解した。mが0ならFは0だ。岡本さんも
「答えが0になるから慣性は0って事ね」
「まぁ…そんな感じだね」
如月君は少し曖昧に答えた。微妙に正解では無いらしい?
彩月をチラッと見て目が合う。彩月も首をかしげていた。正解はなんだろう?ふにぁ?
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