38 / 88
第38話 新王国建国
しおりを挟む
「トーマ様の仰る通り、化粧品は良いアイディアですわ」
温泉から出た女の子達と家に戻り、俺はカウンターキッチンに立ちながら、エリクサーの売却についての考えを皆んなに話した。
ソファーに座るルミアーナ様は、俺の化粧品戦略に同意してくれる。
「女の子は美容の為にはお金を使うからね」
「でもよぉ、何処で売るんだ? 王都に戻るのか?」
「オホホ。貧乏なアザトーイ王国では商売は出来ませんわね」
「んじゃ、何処に売るんだ?」
「オホホ。お金を持っていて、人口も多い国、グレートファング帝国ですわ」
なるほどな。確かにあの国なら裕福な貴族も多い。市場規模は大陸の中でも指折りだろう。
「ルミアーナ様は帝国に伝手はあんのか?」
「オホホ。全くありませんわ」
「じゃあ、どうすんだよ」
「オホホ。この機会にアマノガワ王国を、併せて帝国に売り込みかけますわ」
「「「アマノガワ王国ぅぅぅ?」」」
アマノガワ王国とは俺も初耳だぞ。それじゃまるで俺が王様みたいな国じゃないか。
「何だよ、アマノガワ王国って」
「オホホ。我らがトーマ様を盟主とする王国ですわ。今のところ王国民は三人しかおりませんが」
「アハハ、いいなそれ。アマノガワ王国! その話し乗ったぜ」
「お兄様が……国王……。分かりました。私もルミアーナ様のお考えに従います」
「オホホ。トーマ様、いえアマノガワ国王陛下、宜しくお願いいたしますわ」
俺がキッチンから手が離せないうちにアマノガワ王国は建国されていた。その初代国王は三人の国民の為に夕ごはんを作っているんですが、そんなんでいいのか?
◆
それから数日、俺は作業用の自動人形《オートマター》を十体作って、地下二千メートルにあるダイヤモンド鉱床を掘り、ダイヤモンドの宝石を作成していた。
ダイヤモンド鉱床の掘削はツルベ式のエレベーターで自動人形たちが地下二千メートルでキンバーライト鉱石を掘り、地下から地上に掘り出している。
それをベータたちが仕分けして、ダイヤモンド原石を選別。そして俺が屑ダイヤモンドも含め、錬聖スキルを使ってダイヤモンドのグレードを底上げして、細かいカットを施し、アクセサリーに仕上げていく。
イヤリングや小振りのネックレスなど、金貨一枚程度でも買える小物アクセサリーも作る。貴族ばかりが飾り立てるのは釈然としないってのが理由だ。市民の恋人たちに使って貰えたら嬉しいな。
「さて、戻って昼ごはんにするか」
◆
「オカエリナサイませ」
玄関に入るといつもの通り、暇を持て余しているアルファが迎えてくれる。
「誰も帰ってきてないか」
ルミアーナ様は大聖堂。クスノハ様は土壁の外に出かけ、シルフィは特殊属性魔法の練習をしている筈だ。
まだ昼までには時間があるから、森の哨戒に出していたドローンの映像を確認してみる。
ソーラー発電とイオノクラフトを合わせたドローンに、テスト的に監視カメラを搭載させて飛ばしていた。
テレビに繋げて再生をする。
「おお、綺麗に撮れてるな」
上空からの森の映像が画面に映る。綺麗には撮れているが、深い森だけに真上から樹木を撮影している映像が続くので三分であきた。
早送り再生にしてザッと流し見する。
「ん?」
早送りを止めて巻き戻す。そこはシルフィが風の魔法で木々を薙ぎ倒した場所。魔物が何十匹とむらがり、何かを襲っている。
画面からは分からないが、多分クルッテールの叫びで呼び出された魔物達だ。つまり、襲われているのは人間だ。
時間を見れば、今から一時間前。まだ戦闘をしている可能性がある。
「トーマァ~、腹減ったぁ~」
ナイスなタイミングでクスノハ様が帰ってきてくれた。
「クスノハ様、早くこっちに来てくれ!」
温泉から出た女の子達と家に戻り、俺はカウンターキッチンに立ちながら、エリクサーの売却についての考えを皆んなに話した。
ソファーに座るルミアーナ様は、俺の化粧品戦略に同意してくれる。
「女の子は美容の為にはお金を使うからね」
「でもよぉ、何処で売るんだ? 王都に戻るのか?」
「オホホ。貧乏なアザトーイ王国では商売は出来ませんわね」
「んじゃ、何処に売るんだ?」
「オホホ。お金を持っていて、人口も多い国、グレートファング帝国ですわ」
なるほどな。確かにあの国なら裕福な貴族も多い。市場規模は大陸の中でも指折りだろう。
「ルミアーナ様は帝国に伝手はあんのか?」
「オホホ。全くありませんわ」
「じゃあ、どうすんだよ」
「オホホ。この機会にアマノガワ王国を、併せて帝国に売り込みかけますわ」
「「「アマノガワ王国ぅぅぅ?」」」
アマノガワ王国とは俺も初耳だぞ。それじゃまるで俺が王様みたいな国じゃないか。
「何だよ、アマノガワ王国って」
「オホホ。我らがトーマ様を盟主とする王国ですわ。今のところ王国民は三人しかおりませんが」
「アハハ、いいなそれ。アマノガワ王国! その話し乗ったぜ」
「お兄様が……国王……。分かりました。私もルミアーナ様のお考えに従います」
「オホホ。トーマ様、いえアマノガワ国王陛下、宜しくお願いいたしますわ」
俺がキッチンから手が離せないうちにアマノガワ王国は建国されていた。その初代国王は三人の国民の為に夕ごはんを作っているんですが、そんなんでいいのか?
◆
それから数日、俺は作業用の自動人形《オートマター》を十体作って、地下二千メートルにあるダイヤモンド鉱床を掘り、ダイヤモンドの宝石を作成していた。
ダイヤモンド鉱床の掘削はツルベ式のエレベーターで自動人形たちが地下二千メートルでキンバーライト鉱石を掘り、地下から地上に掘り出している。
それをベータたちが仕分けして、ダイヤモンド原石を選別。そして俺が屑ダイヤモンドも含め、錬聖スキルを使ってダイヤモンドのグレードを底上げして、細かいカットを施し、アクセサリーに仕上げていく。
イヤリングや小振りのネックレスなど、金貨一枚程度でも買える小物アクセサリーも作る。貴族ばかりが飾り立てるのは釈然としないってのが理由だ。市民の恋人たちに使って貰えたら嬉しいな。
「さて、戻って昼ごはんにするか」
◆
「オカエリナサイませ」
玄関に入るといつもの通り、暇を持て余しているアルファが迎えてくれる。
「誰も帰ってきてないか」
ルミアーナ様は大聖堂。クスノハ様は土壁の外に出かけ、シルフィは特殊属性魔法の練習をしている筈だ。
まだ昼までには時間があるから、森の哨戒に出していたドローンの映像を確認してみる。
ソーラー発電とイオノクラフトを合わせたドローンに、テスト的に監視カメラを搭載させて飛ばしていた。
テレビに繋げて再生をする。
「おお、綺麗に撮れてるな」
上空からの森の映像が画面に映る。綺麗には撮れているが、深い森だけに真上から樹木を撮影している映像が続くので三分であきた。
早送り再生にしてザッと流し見する。
「ん?」
早送りを止めて巻き戻す。そこはシルフィが風の魔法で木々を薙ぎ倒した場所。魔物が何十匹とむらがり、何かを襲っている。
画面からは分からないが、多分クルッテールの叫びで呼び出された魔物達だ。つまり、襲われているのは人間だ。
時間を見れば、今から一時間前。まだ戦闘をしている可能性がある。
「トーマァ~、腹減ったぁ~」
ナイスなタイミングでクスノハ様が帰ってきてくれた。
「クスノハ様、早くこっちに来てくれ!」
0
お気に入りに追加
429
あなたにおすすめの小説
異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎは、転生前の知識とスキルで女性と客をもてなす~
きーす
ファンタジー
介護職の椎名守24歳が交通事故に巻き込まれたが、女神の計らいで宿屋を経営する両親を亡くした少年シーマへと転生することに。
残された宿屋と大切な女性たち?を守るために、現代の知識とスキルを駆使して異世界を魅了していく物語。
よくある異世界転生のチーレムもので、飯テロ要素も加えてます。
出来るだけですが、週4回くらいのペースで更新していく予定ですので、末永くご愛顧くださいますようお願いいたします。
※この作品は小説家になろう、カクヨムなどにも投稿されております。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた
みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。
争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。
イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。
そしてそれと、もう一つ……。
亜人至上主義の魔物使い
栗原愁
ファンタジー
人生に疲れた高校生――天羽紫音は人生の終止符を打つために学校の屋上に忍び込み、自殺を図ろうと飛び降りる。
しかし、目を開けるとそこはさっきまでの光景とはガラリと変わって森の中。すぐに状況を把握できず、森の中を彷徨っていると空からドラゴンが現れ、襲われる事態に出くわしてしまう。
もうダメかもしれないと、改めて人生に終わりを迎えようと覚悟したとき紫音の未知の能力が発揮され、見事ドラゴンを倒すことに成功する。
倒したドラゴンは、人間の姿に変身することができる竜人族と呼ばれる種族だった。
竜人族の少女――フィリアより、この世界は数百年前に人間と亜人種との戦争が行われ、死闘の末、人間側が勝利した世界だと知ることになる。
その大戦以降、人間たちは亜人種を奴隷にするために異種族狩りというものが頻繁に行われ、亜人種たちが迫害を受けていた。
フィリアは、そのような被害にあっている亜人種たちを集め、いつしか多種多様な種族たちが住む国を創ろうとしていた。
彼女の目的と覚醒した自分の能力に興味を持った紫音はこの世界で生きていくことを決める。
この物語は、限定的な能力に目覚め、異世界に迷い込んだ少年と竜の少女による、世界を巻き込みながら亜人種たちの国を建国するまでの物語である。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました
鈴宮ソラ
ファンタジー
オラルト伯爵家に生まれたレイは、水色の髪と瞳という非凡な容姿をしていた。あまりに両親に似ていないため両親は彼女を幼い頃から不気味だと虐待しつづける。
レイは考える事をやめた。辛いだけだから、苦しいだけだから。心を閉ざしてしまった。
十数年後。法官として勤めるエメリック公爵によって伯爵の罪は暴かれた。そして公爵はレイの並外れた才能を見抜き、言うのだった。
「私の娘になってください。」
と。
養女として迎えられたレイは家族のあたたかさを知り、貴族の世界で成長していく。
前題 公爵家の養子になりました~最強の氷魔法まで授かっていたようです~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる