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第三章
兎52羽 地味な戦闘の果てに……
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ゴースト達も必死に僕達に向かって飛んで来るが今は無害なので無視だ。亡者達を攻略出来れば消えてくれるはずだ。
足場の滑る鍾乳洞だが、月兎のハイヒールは不思議と安定している。すてんと転んでダメージを受けるなど完全防御機能が許さないだろう。靴底の摩擦力を調整しているのかな?
綺麗な石柱や鍾乳管が織りなす幻想的な空間。幽霊トンネルで無ければ観光名所に出来そうなぐらいに神秘的な鍾乳洞だった。
そして現れた三体の亡者。幽体にして実態、はっきりと人間の姿に見えるが幽霊だ。大きく見開かれた瞳に黒目は無く、白い瞳が此方を睨んでいる。
「ガギュワシャーーーーッ!」
声にならない叫び声で僕達に襲いかかる亡者。通路的に僕一人の前衛で迎え撃つ。
襲い来る亡者の爪。実態なのか幽体なのかは判別出来ないが、僕はロングソードを突き出し亡者を刺す。
え?止まらないの?
ロングソードに突き刺さったまま尚も前進して来る亡者。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
痛覚が無いのだから当たり前かも知れないが、今の僕にそんな余裕は無い。
「ひゃ~~~~~~ッ!」
慌てて手からロングソードを離そうとするが、背中のリボンが迫り来る亡者をビシバシと叩き、亡者を押し戻してくれた。こ、怖かったよ~!
其れからは地味な戦闘だ。リボンで近付かせずにして、チマチマとロングソードで突いてダメージを与える。派手さが無く映像的にもお見せ出来ない。ダメージを与える毎に有りもしない血が流れ、肉が飛び出し、内臓が垂れ下がる。恐怖演出で此方に精神的ダメージを与える作戦……。マジ気持ち悪い。
「キョウカさんのほうがダメージ出せるかもよ。変わろうか?」
「き、気持ち悪いからいいです」
丁重にお断りされました(涙)。恐怖や気持ち悪さなどによる精神異常は、月兎が精神異常キャンセルをしてくれるからMND的には問題ないけど気持ち悪いものは気持ち悪い。
決定力の無い僕が三体の亡者を倒すのに大分時間が掛かってしまった。ゴブリンやオークなどの通常モンスターやアンデット系でもスケルトンやゾンビなどの肉体を持つアンデットであれば、ギガントブレードウルフの素材で作られたロングソードと僕のステータスでサクサク倒せただろう。
しかし、如何せん相手は実態が有りそうで実態を持たない亡者だと魔力武器付与の効果ダメージのみとなってしまう。まだ残り五体もいるのだから先が思いやられる。
さて先に進もうかと話していた折りに、ピクピクと僕達のウサ耳が、入り口側から知っている人の叫び声をキャッチした。
………………レミーナさん……来ちゃっの?
足場の滑る鍾乳洞だが、月兎のハイヒールは不思議と安定している。すてんと転んでダメージを受けるなど完全防御機能が許さないだろう。靴底の摩擦力を調整しているのかな?
綺麗な石柱や鍾乳管が織りなす幻想的な空間。幽霊トンネルで無ければ観光名所に出来そうなぐらいに神秘的な鍾乳洞だった。
そして現れた三体の亡者。幽体にして実態、はっきりと人間の姿に見えるが幽霊だ。大きく見開かれた瞳に黒目は無く、白い瞳が此方を睨んでいる。
「ガギュワシャーーーーッ!」
声にならない叫び声で僕達に襲いかかる亡者。通路的に僕一人の前衛で迎え撃つ。
襲い来る亡者の爪。実態なのか幽体なのかは判別出来ないが、僕はロングソードを突き出し亡者を刺す。
え?止まらないの?
ロングソードに突き刺さったまま尚も前進して来る亡者。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
痛覚が無いのだから当たり前かも知れないが、今の僕にそんな余裕は無い。
「ひゃ~~~~~~ッ!」
慌てて手からロングソードを離そうとするが、背中のリボンが迫り来る亡者をビシバシと叩き、亡者を押し戻してくれた。こ、怖かったよ~!
其れからは地味な戦闘だ。リボンで近付かせずにして、チマチマとロングソードで突いてダメージを与える。派手さが無く映像的にもお見せ出来ない。ダメージを与える毎に有りもしない血が流れ、肉が飛び出し、内臓が垂れ下がる。恐怖演出で此方に精神的ダメージを与える作戦……。マジ気持ち悪い。
「キョウカさんのほうがダメージ出せるかもよ。変わろうか?」
「き、気持ち悪いからいいです」
丁重にお断りされました(涙)。恐怖や気持ち悪さなどによる精神異常は、月兎が精神異常キャンセルをしてくれるからMND的には問題ないけど気持ち悪いものは気持ち悪い。
決定力の無い僕が三体の亡者を倒すのに大分時間が掛かってしまった。ゴブリンやオークなどの通常モンスターやアンデット系でもスケルトンやゾンビなどの肉体を持つアンデットであれば、ギガントブレードウルフの素材で作られたロングソードと僕のステータスでサクサク倒せただろう。
しかし、如何せん相手は実態が有りそうで実態を持たない亡者だと魔力武器付与の効果ダメージのみとなってしまう。まだ残り五体もいるのだから先が思いやられる。
さて先に進もうかと話していた折りに、ピクピクと僕達のウサ耳が、入り口側から知っている人の叫び声をキャッチした。
………………レミーナさん……来ちゃっの?
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