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第一章

兎18羽 赤い兎の狼狩り

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 受付のお姉さんの話しではこの辺の森に棲息するモンスターはゴブリン、コボルト、ボブゴブリン、ウルフ、ブルーウルフ、ポイズンスパイダー、ポイズンスネーク、稀にオークだとか。

 そして僕達の前に現れたのは一匹の巨大青狼。ブルーウルフ?なんか聞いてたイメージとちゃう?

 其奴は動物園で見たライオンの4、5倍はある大きな巨体。体の至る所に刃渡り1、2mは有る刀が何本も突き出ていて、頭には更に大きな刀の角が1本生えている。…………ブルーウルフなの?

 逃げられるか?僕一人ならあの鎧が有るから大丈夫かもしれないがキョウカさんが危険にさらされる…………。

「キョウカさん!戦おう!逃げるとかえって危険だ。僕がタンク役をやるから、キョウカさんは距離を取りつつ、縮地でヒット&アウェイ(汗)」

「わ、分かりました(汗)」

 僕は空間収納袋からブロードソードを取り出し両手で構える。もう恥ずかしいなんて言ってられない。僕達の命が掛かっているんだから!

「着装!月兎ッ!」

 僕の体が光り輝き、暖かい感覚に包まれ、光が消えた。裸でクルクル回る映像効果が無かったのは幸いだ。そんな事されたらマジ死にますから!

 可愛いウサギの長耳付きカチューシャ。
 白いモフモフを胸元に付けた赤いレオタードに黒い網タイツ。
 お尻の白いフワフワ尻尾がピクピク動く。
 踵の高い小さなリボンが付いたハイヒールは以外にも安定感がある。
 首元に付いた、青い宝石付きチョーカーの背中にある2本の長いリボンが風に靡く。

…………終わった…………。

 男子高校生的にも人生終わった感を心の奥深くに押し込めて、巨大青狼に剣を向ける。膝も手も剣先も恐怖でぶるぶると震えているが、逃げる訳にはいかない。

「ソウマ君!」

「言うな!言わないでくれ~!(涙)」

「ソウマ君、女の子になってる!」

「……あう!」

 TS問題をスッカリ忘れていました……(涙)。銀髪美女のバニーガール……。其れが着装後の僕の姿だった……。

「ち、小さいこと事は気にしないで行こう!」

 戸惑っていた僕に巨大青狼が襲いかかってきた。頭の長い刀の角で僕を突き刺す。

「「ひっ!」」

 腰砕けで体を丸めるが、刀の角が僕に突き刺さる事は無かった。強く瞑った目を開けると刀の角は背中から前方に伸びたリボンに受け止められていた。

 アクティブディフェンスシステム。巨大青狼の禍々しい巨大な刀の角冴えも受け止め、慣性制御システムによってその勢いも完全に中和している。神装鎧のディフェンスシステムが僕を守ってくれていた。

 巨大青狼は後方に下がる。銀髪美女TS問題は後で考えよう!

 そしてコイツの攻撃を防御しただけで僕のレベルが上がって行くのが分かる。多分ステータスウィンドウのコメント欄に『レベルが上がりました』みたいなコメント表示がバンバンされてピコピコ上がっている。そんな感覚だ。
 パーティーの加護の恩恵でキョウカさんもピコピコとレベルが上がっている筈だ。
 それだけコイツが強敵って事だ。

「や、やれそうだ!ぼ、僕が此奴こいつを引き付けるから、キョウカさんは隙を見て攻撃宜しく!」

「は、はい!」

 キョウカさんは僕の後方で聖剣グラムアルキュルスを空間収納袋から引き抜く。

 巨大青狼は前足を屈め、体に生えている刀を何十本と僕の方に飛ばしてきた。

「ひぇや~~~!」

 ブロードソードを立てて逃げ腰になるが、2本のリボンが次々に飛来する刀を叩き落としてくれる。す、凄い優秀だよリボンちゃん!
 また僕達のレベルがピコピコ上がる。

 巨大青狼は前屈みから後ろ足を蹴って跳躍し、頭の長い巨刀でまた僕を刺し殺そうと襲いかかってきた。

 重さにして1トン近くはあるだろう巨体をまたしてもリボンが受け止める。更にその衝撃は慣性制御システムが中和した。

 巨大青狼はそこから大きく口を開け僕を呑み込もうとするが、巨大な牙を持つ顎はリボンによって上下抑えつけられた。

 其所にスキが生じる。

「今だキョウカさんッ!」

「縮地!」

 キョウカさんは聖剣グラムアルキュルスを突き出しながら縮地で一気に間合いを詰めて、巨大青狼の大きく開かれた顎に刃を突き刺す。

 僕達のレベルが鰻登りにピコピコピコピコピコピコ~と上がっていく中、巨大青狼はドスンと倒れ、絶命していた。

「か、勝った…………」

「か、勝ちましたね……」

「「勝ったーーーーーーーッ!!!」」

 僕達は極度の緊張と恐怖から解放されて膝からカクンと倒れた。其れでも抱き合って異世界バトルの勝利を喜びあった。


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