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第一章

兎13羽 2020年宇宙の旅は無理だったんだよ

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 悶々とした気持ちで僕は巨大ベッドで布団を頭から被っている。四ノ宮さんは今は入浴中だ………。僕がこの布団から顔を出せば美少女の入浴シーンが見られてしまいますね(ポッ)。

 男子高校生的な悶々心を誤魔化す為に、スマホにダウンロード済みの電子小説を読みふける。運が良い事に昨夜充電を忘れた僕は、小さなソーラーチャージャーを持っていた。異世界でも充電出来るってめっちゃラッキーだ。

 しばらくすると「お風呂出ました」と四ノ宮さんの声が聞こえた。もぞもぞと布団から出ると、濡れた艶やかな黒い髪に、火照ったピンクの頬、薄い緑のナイトローブから見える生足がお風呂上がりだと何故かとても色っぽく見える。そう、其所には天使のように美しく可愛いお風呂上がりの美少女が立っていた。

「…………………………(ポッ)」

「な、何ですか、じっと見て………」

「あ、いや、ゴメン。す、凄い綺麗だったから、つい」

「き、綺麗って、えっ、あの、な、何言っちゃってるんですか……」

 薄い緑のナイトローブを着た四ノ宮さんが赤い顔でモジモジとしている。……よく見てしまうと胸元がツンと立っているのは…………ノーブラ…………ガハッ!男子高校生には強すぎる刺激だよ!

「え、あ、そうだ、ス、スマホのソーラーチャージャー持ってるんだ。スマホは充電出来るからスマホ使って大丈夫だよ」

 悶々とした気持ちを切り替えるように話題を変える。

「? スマホって持って無いですよ」

「あ、学校に置いたままだった?」

「いえ、スマホ持って無いです…っていうかスマホって何ですか?」

「はい? スマホはスマホ、スマートフォンだよ?」

「スマートフォン?」

「うん、スマートフォン」

 僕は左手に持っていたスマホを見せる。読み掛けの電子小説が表示されたままだ。

「な、何ですかこれ!凄い!何これ!」

「え、嘘、何でスマホ知らないの!?」

「ゲームウォッチングでも白黒なのにカラーでこんなに綺麗って、海外とかで売ってるんですか!?」

 ゲームウォッチングって何だっけ?猫妖怪の友達?ん?……………大昔のゲーム機?大昔のゲーム機だよね!

「四ノ宮さんはゲームウォッチング知ってるの?」

「え、楮山さんは知らないんですか?今凄い人気ですよね?」

『今』って言ったよね?今は今で今なの?………本当に?
 そういう事なの?

「……………………」

 四ノ宮さんを思わずまじまじと見つめてしまった。

「…………、な、何ですか?」

「し、四ノ宮さんって高2だから僕と同い年だよね?いつ生まれ?」

「7月7日です」

「おお!七夕生まれなんだ!凄いね!」

「えへへ~」

 いやいやそうじゃない。四ノ宮さんがあの世界的に有名な映画ロードオブタンクを知らない理由………。

「何年生まれ?」

「はい?昭和38年です?って一緒ですよね?」

 キターーーーーッ!

 昭和生まれ来ましたァ!時間軸ズレてるよ!神様凄いよ!吃驚だよ!

「どうしたんですか?」

 どひゃ~と僕がベッドにひっくり返っていると四ノ宮さんが心配そうに僕の顔を覗いてきた。

 あっ、ダメ、この角度……ナイトローブの胸元から、た、谷間が見えてる………(ポッ)。

「か、神様のお爺さんが神様だったって実感しつつも、卓袱台うりゃーって引っくり返したくなって、引っくり返っていたよ」

「はい?」

「僕は平成13年生まれ。2020年からこの世界に来たんだ」

「平成?2020年?……………」

「…………………」

「えーーーーーーーッ!2020年!2020年宇宙の旅!」

 それは200X年宇宙の旅だね。

「え、え、え、え?」

「僕の時代にはスマートフォンっといって携帯電話やインターネットやテレビが見れる小型通信機器が普及しているんだよ」

「携帯電話?インターネット?…………未来から楮山さんが来た?」

「未来って事になるのかな?でも此処は異世界だから………どういう事だろうね?」

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