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第三章 王都
14 初めての…… R18?
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《初めての……》
その日の夜、夕食も終えてビートの部屋に戻って来たアーヤは、ビートに不審な視線を投げた。ずっと様子がおかしいビートだが、治療院にパムたちを訪ねてから何だかよそよそしく感じるのだ。距離を置かれているような気がする。
どうしてビートがそういう仕打ちをするのか分からないアーヤはイライラして、尻尾をたしん、ぴたんと左右に打ち付けた。猫のままだったら、かぷりとビートの足を噛んでやるところである。
しかし、今は獣人。ちゃんと会話ができる。アーヤは意を決して、ソファに座るビートに対峙した。
アーヤがきりりとビートを睨むと、ビートの身体がぴくりと震えた。ほんとにビートらしくない。ビートはどうしちゃったのだろう? アーヤはこっそりため息を漏らすと口を開いた。
「ビーにゃ。何か僕に言いたいことがあるんじゃない? ずっと変だよ。僕といて楽しくないの? もう、僕なんか、要らない?」
口に出すと、にわかに不安に襲われる。ビートを信じている。ビートがアーヤを嫌いになるわけがない。ずっと一緒にいるって言ってくれた。アーヤはひたすらそれを信じている。
でも、とアーヤは前世を思い出す。人は変わるものだ。可愛がってくれたはずの飼い主に捨てられた猫に会ったこともある。
『人間なんか信じるもんじゃない』
そんなことも言われた。石を投げて来たり、棒で叩かれたりもした。足で蹴飛ばされた。お母さんを殺された。
人間は残酷で横暴で、気分屋だ。
でも、お母さんと一緒に暮らしていた家のお爺さんは優しかった。ちょっと教会のガルシャ神父様に似ていた。
人間が全部、ひどい人なわけじゃない。砦の人もお城の人も優しくて親切だ。様々な猫や獣人がいるように、人間も色々な人がいるだけだ。
アーヤはやっとそれが分かって、人間が少し怖くなくなってきたのだ。
ビートはアーヤを捨てたりしない。ビートを信じている!
アーヤは垂れ下がりそうになる尻尾を掴んで、胸の前で握りしめながらじっとビートの返事を待った。
ビートの目が見開かれた。そして慌てたように立ち上がる。
「アーヤ。何を言う? そんなことがあるか! 俺は、アーヤが……! そ、そうだよな。わからないよな。くそ。不安がらせるなんて!」
ビートの腕がアーヤを捕まえ、抱っこしてくれた。そのまま、また、ソファに座り直す。アーヤは変わりのないビートに安心して、ごろごろと喉を鳴らして頭を胸に擦りつけた。
「俺は言葉が足りないらしい。それで、幾度も父にも言われた。ちゃんと言葉にしないと、本当のことが伝わらないと」
ビートの腕がアーヤを胸から引きはがし、ビートと向き合うように抱き直された。
「俺は存外、臆病なんだ。だが、覚悟を決めて、きっぱりと言うぞ」
蒼い真剣な目を見つめて、アーヤも背筋をまっすぐにした。
何度か無意味な咳払いを繰り返した後、やっとビートは言葉にした。
「アーヤ、お前が好きだ。結婚してほしい」
直截である。アーヤは突然のプロポーズにきょとんとした。それを見てビートが焦る。
「あ、強制ではないぞ。嫌なら断っていいんだぞ。俺としたらそれは辛いが、お前の幸せが一番なのだから。しかし、お前を誰にも取られたくない。いや、束縛は……、でも俺は、うう……、俺は何を言っているんだ?」
「ビーにゃ、僕もビーにゃが好き。ずっと一緒にいたいの」
アーヤは嬉しくてビートにピタッと抱きついた。
「そ、そうか」
ビートもほっとしてアーヤの背に腕を回す。
するとアーヤはふいっと顔を上げると間近にあるビートの口元にチュッとキスをした。唇を狙ったのだが、届かないために若干ずれてしまった。
ビート が顔を真っ赤にして固まった。
「ななな、なに」
考えてみると唇には初めてのキスだった。ほっぺにはお互いにおはようとお休みのキスをしてはいたのだが。
「ビーにゃ」
アーヤは今度は間違えないようにしっかり狙ってビートの唇に唇を押し付ける。勢いがありすぎてぶにゅっと潰れた。アーヤにとっては初心者でファーストキスなので、不器用なのは致し方ない。
固まっていたビートの腕がアーヤを抱きしめると頭からかじりつく勢いで、キスをしてきた。
ふおっと開いたアーヤの唇を強引に押し開いて、ビートの舌が侵入する。初めての経験に戸惑うままにアーヤの口内はビートの舌に蹂躙されていった。舌を吸われ、飲み切れなかった唾液が口の端から溢れていく。
ビートの唇からようやく解放された時には、アーヤは顔を真っ赤に火照らせて息も絶え絶えに蕩けていた。
そのまま抱き上げられたアーヤは寝室へと運ばれ、広い寝台にぽさりと置かれる。ぽやあとした目を向けると、ビートがぎらぎらと強い輝きを目に灯しながら着ている服をばっばと脱ぎ捨てた。
早業である。簡易と言え王族用の衣類は下着から上着まで何枚も重ね着し、ボタンや留め鈎もやたら数が多く面倒な仕様になっている。それを一瞬のうちに脱ぎ捨ててみせた。まるで手品のようである。
未だ蕩けた頭のアーヤは感心して眺めていた。
常に訓練を課しているビートの肉体は、城に戻っても逞しい肉体美を誇っている。武骨なほどに発達し過ぎてはいないがバランス良くついた筋肉は敏捷性と瞬発力を秘めている。その中央に、欲望を素直に主張して濃い金褐色の茂みの中からビート自身が屹立していた。
いつもお風呂に一緒に入っているから、ビートの裸体もそれも見慣れているが、この大きさまで育ったものを目撃するのはアーヤも初めてである。
――大きいにゃあ。しゅごいにゃあ。化け物かにゃあ。
まだ、脳内がお花畑のアーヤはほんわかとそんなことを思っていた。
ビートに引っ付いていたい、キスしたいという欲求は、成人を迎えた猫の本能の正しい在り方だ。だが、あくまで本能レベルでであって、アーヤの頭は基本、まだお子様だった。
なぜか、誰も正しい性教育をアーヤに施していなかったのである。
普通、獣人は身体の加速成長と相まって、早熟である。なので、かなり早い段階で性への指導が行われるし、開放的な周囲の環境のせいで改めて教育を行うほどの必要性も少なかった。なので、例外中の例外的な未発達なアーヤに誰もそういった教育指導を行う必要性に思い至らなかった。獣人なんだから本能でわかるでしょ、と放置されていたのだ。
確かに、アーヤが猫のままだったら必要のないものだ。だが、アーヤは猫であって猫でなく、獣人であって獣人でない、妙に中途半端なモノだった。異世界転生の誤作動かもしれない。
なので、なんの危機感もなく、ぼんやりとビートの肉体を感嘆して眺めていたアーヤは、大きな寝台をぎしりと軋ませて乗り上げて来たビートに覆いかぶさられた時には、もう服も全部脱がされて、どうぞお召し上がりください状態になっていた。
「アーヤ。お前は俺のものだ。誰にも渡さない」
ビートが掠れた低い声で宣言した。
「うん。アーヤはビーにゃのもの!」
アーヤは嬉しくてえへっと笑った。
「アーヤ。全部、もらうぞ」
ビートがまた口づけて来た。そのまま貪るように口腔を蹂躙し、さらに手がアーヤの素肌を撫で回す。
ビートの口づけはアーヤの頭を熱く蕩かして訳がわからなくなってしまう。ビートの大きな手は温かくて、撫でられるととても気持ちが良かった。
その手が乳首をいじりだすと、アーヤはくすぐったくなって身を捩った。ビートの唇も首から肩へと移動していく。それもくすぐったくて仕方がない。
「あ、ん。ビーにゃ。くすぐったーい」
アーヤはくすくす笑いながら、身を捩る。だが、ビートは止めてくれなかった。ビートの手は胸からお腹へと移っている。
子供体型の時は胸から下は、ふさふさの毛皮で覆われていた下半身だったが、今は成人して毛皮は大事な器官である性器のある腰回りと、膝から下の脚部分を覆うだけになっていた。さらに成長すれば、毛皮は耳と尻尾に残るだけとなる。
雪のように真っ白なお腹は滑らかで柔らかい。ビートの手はさわさわと撫でながら、さらに下の毛皮に覆われた中へと降りて行った。
お腹を撫でられ、体中にキスされて、くすぐったさにピクピクしていたアーヤは、ビートの手があらぬ部分を取ったので、びくっと固まった。
「びー、にゃ?」
不安そうな目を向けるアーヤに、ビートは男臭い笑みを見せる。
「気持ちよくさせてやるよ」
そして、アーヤの小さな未熟なそれに手や指を使って愛撫を始めた。たらんとぶら下がっていたそれが、刺激に応じて段々持ち上がり始める。
「え? ビーにゃ。変だよ? なんか、変だよ。いや! 怖い!」
「変じゃない。当たり前の反応だ。大丈夫だ。怖くない」
手の動きは止まらず、怖がるアーヤを宥めるように胸や腹にキスをする。すると、アーヤの身体はそのたびにかっかと熱くなっていき、ぞくぞくと背筋の方から、腰の奥から、わけのわからない衝動が湧き上がってきた。
アーヤのそれが立ち上がって硬くなり、中から外へとせり出すような強い衝動が幾度も幾度も駆け上がりだす。
「ビーにゃ! 変! 変! いや! 怖い! 怖いよ!」
アーヤはべそをかきながら訴えた。
「怖くない。アーヤ。って、お前、初めてなのか?」
「ふえ? 何が? 何が、初めてにゃの?」
「ここで出すのがだよ。出したことないのか?」
「出す、の? おしっこでしょ?」
「違う。おしっこじゃない。別のものだ」
「別のって何? や! や! 動かさないで! 出ちゃう! 漏らしちゃう!」
「まだなのか。ちくしょう! しょうがないな。いいから、出せ! 漏らしていい!」
ビートの手の動きは遠慮もなく強く激しくなっていく。
「やん! やん! 漏らしちゃう! やあ!」
足をばたばたしても、身体を捩じっても、がっしりしたビートの体躯に押さえられていては身動きも叶わない。
その上、ビートは初々しくピンクのつるりとしたてっぺんにくいっと爪を立てた。瞬間、強い電流が走って爆発したかと思った。
「きゃう! !!!」
とぴゅっと。白くねっとりとした液体が弾けて飛んだ。初めてのせいか、どろりと粘っこい。
はくはくと息を吐きながら、アーヤはべそべそと泣き出した。
「ビーにゃのバカ! 漏らしちゃったー」
「漏らしたんじゃない。射精だ。大人になった証拠だぞ」
「ふえ、ふえ、ふえ……」
「あー……や?……」
べそべそ泣いていた声が小さくなる。荒かった息が落ち着いてくるとともに、どうしようもなく瞼が重くなってきた。意識がだんだん遠くなっていく。ビートが顔を覗いてきたのは何となくわかったのだけれど、もう目を開けてはいられなかった。アーヤはとろりととても気持ちのいいままに意識を手離していた。
その日の夜、夕食も終えてビートの部屋に戻って来たアーヤは、ビートに不審な視線を投げた。ずっと様子がおかしいビートだが、治療院にパムたちを訪ねてから何だかよそよそしく感じるのだ。距離を置かれているような気がする。
どうしてビートがそういう仕打ちをするのか分からないアーヤはイライラして、尻尾をたしん、ぴたんと左右に打ち付けた。猫のままだったら、かぷりとビートの足を噛んでやるところである。
しかし、今は獣人。ちゃんと会話ができる。アーヤは意を決して、ソファに座るビートに対峙した。
アーヤがきりりとビートを睨むと、ビートの身体がぴくりと震えた。ほんとにビートらしくない。ビートはどうしちゃったのだろう? アーヤはこっそりため息を漏らすと口を開いた。
「ビーにゃ。何か僕に言いたいことがあるんじゃない? ずっと変だよ。僕といて楽しくないの? もう、僕なんか、要らない?」
口に出すと、にわかに不安に襲われる。ビートを信じている。ビートがアーヤを嫌いになるわけがない。ずっと一緒にいるって言ってくれた。アーヤはひたすらそれを信じている。
でも、とアーヤは前世を思い出す。人は変わるものだ。可愛がってくれたはずの飼い主に捨てられた猫に会ったこともある。
『人間なんか信じるもんじゃない』
そんなことも言われた。石を投げて来たり、棒で叩かれたりもした。足で蹴飛ばされた。お母さんを殺された。
人間は残酷で横暴で、気分屋だ。
でも、お母さんと一緒に暮らしていた家のお爺さんは優しかった。ちょっと教会のガルシャ神父様に似ていた。
人間が全部、ひどい人なわけじゃない。砦の人もお城の人も優しくて親切だ。様々な猫や獣人がいるように、人間も色々な人がいるだけだ。
アーヤはやっとそれが分かって、人間が少し怖くなくなってきたのだ。
ビートはアーヤを捨てたりしない。ビートを信じている!
アーヤは垂れ下がりそうになる尻尾を掴んで、胸の前で握りしめながらじっとビートの返事を待った。
ビートの目が見開かれた。そして慌てたように立ち上がる。
「アーヤ。何を言う? そんなことがあるか! 俺は、アーヤが……! そ、そうだよな。わからないよな。くそ。不安がらせるなんて!」
ビートの腕がアーヤを捕まえ、抱っこしてくれた。そのまま、また、ソファに座り直す。アーヤは変わりのないビートに安心して、ごろごろと喉を鳴らして頭を胸に擦りつけた。
「俺は言葉が足りないらしい。それで、幾度も父にも言われた。ちゃんと言葉にしないと、本当のことが伝わらないと」
ビートの腕がアーヤを胸から引きはがし、ビートと向き合うように抱き直された。
「俺は存外、臆病なんだ。だが、覚悟を決めて、きっぱりと言うぞ」
蒼い真剣な目を見つめて、アーヤも背筋をまっすぐにした。
何度か無意味な咳払いを繰り返した後、やっとビートは言葉にした。
「アーヤ、お前が好きだ。結婚してほしい」
直截である。アーヤは突然のプロポーズにきょとんとした。それを見てビートが焦る。
「あ、強制ではないぞ。嫌なら断っていいんだぞ。俺としたらそれは辛いが、お前の幸せが一番なのだから。しかし、お前を誰にも取られたくない。いや、束縛は……、でも俺は、うう……、俺は何を言っているんだ?」
「ビーにゃ、僕もビーにゃが好き。ずっと一緒にいたいの」
アーヤは嬉しくてビートにピタッと抱きついた。
「そ、そうか」
ビートもほっとしてアーヤの背に腕を回す。
するとアーヤはふいっと顔を上げると間近にあるビートの口元にチュッとキスをした。唇を狙ったのだが、届かないために若干ずれてしまった。
ビート が顔を真っ赤にして固まった。
「ななな、なに」
考えてみると唇には初めてのキスだった。ほっぺにはお互いにおはようとお休みのキスをしてはいたのだが。
「ビーにゃ」
アーヤは今度は間違えないようにしっかり狙ってビートの唇に唇を押し付ける。勢いがありすぎてぶにゅっと潰れた。アーヤにとっては初心者でファーストキスなので、不器用なのは致し方ない。
固まっていたビートの腕がアーヤを抱きしめると頭からかじりつく勢いで、キスをしてきた。
ふおっと開いたアーヤの唇を強引に押し開いて、ビートの舌が侵入する。初めての経験に戸惑うままにアーヤの口内はビートの舌に蹂躙されていった。舌を吸われ、飲み切れなかった唾液が口の端から溢れていく。
ビートの唇からようやく解放された時には、アーヤは顔を真っ赤に火照らせて息も絶え絶えに蕩けていた。
そのまま抱き上げられたアーヤは寝室へと運ばれ、広い寝台にぽさりと置かれる。ぽやあとした目を向けると、ビートがぎらぎらと強い輝きを目に灯しながら着ている服をばっばと脱ぎ捨てた。
早業である。簡易と言え王族用の衣類は下着から上着まで何枚も重ね着し、ボタンや留め鈎もやたら数が多く面倒な仕様になっている。それを一瞬のうちに脱ぎ捨ててみせた。まるで手品のようである。
未だ蕩けた頭のアーヤは感心して眺めていた。
常に訓練を課しているビートの肉体は、城に戻っても逞しい肉体美を誇っている。武骨なほどに発達し過ぎてはいないがバランス良くついた筋肉は敏捷性と瞬発力を秘めている。その中央に、欲望を素直に主張して濃い金褐色の茂みの中からビート自身が屹立していた。
いつもお風呂に一緒に入っているから、ビートの裸体もそれも見慣れているが、この大きさまで育ったものを目撃するのはアーヤも初めてである。
――大きいにゃあ。しゅごいにゃあ。化け物かにゃあ。
まだ、脳内がお花畑のアーヤはほんわかとそんなことを思っていた。
ビートに引っ付いていたい、キスしたいという欲求は、成人を迎えた猫の本能の正しい在り方だ。だが、あくまで本能レベルでであって、アーヤの頭は基本、まだお子様だった。
なぜか、誰も正しい性教育をアーヤに施していなかったのである。
普通、獣人は身体の加速成長と相まって、早熟である。なので、かなり早い段階で性への指導が行われるし、開放的な周囲の環境のせいで改めて教育を行うほどの必要性も少なかった。なので、例外中の例外的な未発達なアーヤに誰もそういった教育指導を行う必要性に思い至らなかった。獣人なんだから本能でわかるでしょ、と放置されていたのだ。
確かに、アーヤが猫のままだったら必要のないものだ。だが、アーヤは猫であって猫でなく、獣人であって獣人でない、妙に中途半端なモノだった。異世界転生の誤作動かもしれない。
なので、なんの危機感もなく、ぼんやりとビートの肉体を感嘆して眺めていたアーヤは、大きな寝台をぎしりと軋ませて乗り上げて来たビートに覆いかぶさられた時には、もう服も全部脱がされて、どうぞお召し上がりください状態になっていた。
「アーヤ。お前は俺のものだ。誰にも渡さない」
ビートが掠れた低い声で宣言した。
「うん。アーヤはビーにゃのもの!」
アーヤは嬉しくてえへっと笑った。
「アーヤ。全部、もらうぞ」
ビートがまた口づけて来た。そのまま貪るように口腔を蹂躙し、さらに手がアーヤの素肌を撫で回す。
ビートの口づけはアーヤの頭を熱く蕩かして訳がわからなくなってしまう。ビートの大きな手は温かくて、撫でられるととても気持ちが良かった。
その手が乳首をいじりだすと、アーヤはくすぐったくなって身を捩った。ビートの唇も首から肩へと移動していく。それもくすぐったくて仕方がない。
「あ、ん。ビーにゃ。くすぐったーい」
アーヤはくすくす笑いながら、身を捩る。だが、ビートは止めてくれなかった。ビートの手は胸からお腹へと移っている。
子供体型の時は胸から下は、ふさふさの毛皮で覆われていた下半身だったが、今は成人して毛皮は大事な器官である性器のある腰回りと、膝から下の脚部分を覆うだけになっていた。さらに成長すれば、毛皮は耳と尻尾に残るだけとなる。
雪のように真っ白なお腹は滑らかで柔らかい。ビートの手はさわさわと撫でながら、さらに下の毛皮に覆われた中へと降りて行った。
お腹を撫でられ、体中にキスされて、くすぐったさにピクピクしていたアーヤは、ビートの手があらぬ部分を取ったので、びくっと固まった。
「びー、にゃ?」
不安そうな目を向けるアーヤに、ビートは男臭い笑みを見せる。
「気持ちよくさせてやるよ」
そして、アーヤの小さな未熟なそれに手や指を使って愛撫を始めた。たらんとぶら下がっていたそれが、刺激に応じて段々持ち上がり始める。
「え? ビーにゃ。変だよ? なんか、変だよ。いや! 怖い!」
「変じゃない。当たり前の反応だ。大丈夫だ。怖くない」
手の動きは止まらず、怖がるアーヤを宥めるように胸や腹にキスをする。すると、アーヤの身体はそのたびにかっかと熱くなっていき、ぞくぞくと背筋の方から、腰の奥から、わけのわからない衝動が湧き上がってきた。
アーヤのそれが立ち上がって硬くなり、中から外へとせり出すような強い衝動が幾度も幾度も駆け上がりだす。
「ビーにゃ! 変! 変! いや! 怖い! 怖いよ!」
アーヤはべそをかきながら訴えた。
「怖くない。アーヤ。って、お前、初めてなのか?」
「ふえ? 何が? 何が、初めてにゃの?」
「ここで出すのがだよ。出したことないのか?」
「出す、の? おしっこでしょ?」
「違う。おしっこじゃない。別のものだ」
「別のって何? や! や! 動かさないで! 出ちゃう! 漏らしちゃう!」
「まだなのか。ちくしょう! しょうがないな。いいから、出せ! 漏らしていい!」
ビートの手の動きは遠慮もなく強く激しくなっていく。
「やん! やん! 漏らしちゃう! やあ!」
足をばたばたしても、身体を捩じっても、がっしりしたビートの体躯に押さえられていては身動きも叶わない。
その上、ビートは初々しくピンクのつるりとしたてっぺんにくいっと爪を立てた。瞬間、強い電流が走って爆発したかと思った。
「きゃう! !!!」
とぴゅっと。白くねっとりとした液体が弾けて飛んだ。初めてのせいか、どろりと粘っこい。
はくはくと息を吐きながら、アーヤはべそべそと泣き出した。
「ビーにゃのバカ! 漏らしちゃったー」
「漏らしたんじゃない。射精だ。大人になった証拠だぞ」
「ふえ、ふえ、ふえ……」
「あー……や?……」
べそべそ泣いていた声が小さくなる。荒かった息が落ち着いてくるとともに、どうしようもなく瞼が重くなってきた。意識がだんだん遠くなっていく。ビートが顔を覗いてきたのは何となくわかったのだけれど、もう目を開けてはいられなかった。アーヤはとろりととても気持ちのいいままに意識を手離していた。
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