醜いと言われる王子と変態美人

王太子

　あの日から何度かお茶会が開かれ徐々にだが距離も縮んでいる気がする。今日もお茶会のためにお城へむかった。
「キルトリア、今度開かれる立太子のパーティー…エスコートさせてくれないか？」
「ぜひ！よろしくお願いします。」
　約一ヶ月後に第1王子が正式に王太子となる。
　午前中は国民へのお披露目だが、午後からは貴族が集まりパーティーを行う。
　第1王子の名前は、アデリーノ・アルマリア様。文武両道、眉目秀麗、おまけに優しい心の持ち主で国民からの支持も高い。第2王子であるヴィールハイト様との仲も良好だ。
「ヴィールハイト様…なんだか嬉しそうですね。」
「もちろんだ。私は兄上を尊敬しているからな。」
　そう言って微笑むヴィールハイト様につられて僕も微笑んだ。
　パーティーの日は僕とヴィールハイト様が婚約してから初めての社交界だ。正直、社交界は苦手だがヴィールハイト様が一緒なら絶対楽しいだろう。なんてのほほん…と考えていたら
「当日の服とアクセサリーの一式私が用意してもいいかい？」
　とヴィールハイト様に聞かれた。僕は嬉しくてウンウンと何度も頷いてしまった。婚約者に服を送るのは社交界で昔からある風習だが、ヴィールハイト様が直接言ってくれたことによって嬉しさが倍増だ。
　ちなみにヴィールハイト様は王族としての正式な服を着るので僕からは送らない。うぅ僕も送りたかった…。
　そうして、お茶会はお開きになり、ヴィールハイト様にエスコートされる光景を馬車の中で想像し一人ウハウハしながら帰ってきた。