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第2章 血の追求者
プロローグ
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「ようやく準備が整いました」
薄暗い部屋の中はかなり広く生活する環境が揃えられてあるだけではなく外部から索敵されないように障壁を備えている。
その中でそう口にするのはメンバーから脱退してその本部を潰しにかかろうとする小堂若弥である。
「いよいよ本格的に始動するおつもりですか?」
丁寧な口調で女性が若弥に尋ねると、
「ええ、ここまでの道のりは長かったですが自分がしたかったことに手が届きましたね」
無邪気な子どもみたく言ってみせると別の女性が厳しく指摘する。
「遊びじゃないんだ。浮かれて本来の目的を忘れるな」
「言われずともわかっていますよ」
穏やかに宥めると、女性はフウッと一息ついて言葉を返す。
「ならいいが、これ以上特に用がなければ帰らせてもらうぞ」
「ええどうぞ」
若弥が切り出すと、女性は部屋を後にした。
それが確認出来て、残っていた女性に去って行った女性のことで質問する。
「彼女、昔も今のように厳しい方でしたか?」
その質問に首を横に振って答える。
「いいえ。昔はもう少し穏やかな性格をしていたのですが過去の事件を一件に少しずつ変わってしまって現在に至ります。人一倍責任感の強い方ですからね」
「そうでしたか」
今一度改めて女性が今回の目的について若弥に確認する。
「お話を戻しますが、本部の潰しの件で先日、貴方が私たちのかつてのメンバーにお会いして言ったフリープランというのは額面通り、好きなやり方でやっても良いという解釈でよろしいですか?」
若弥を品定めするように見やると、間髪入れずに若弥が答える。
「もちろん、その解釈で大丈夫ですよ。歴代の先輩方に指示するような野暮な真似なんてしたくないですよ」
本心で言っているか否かわからないが追求したところで時間の無駄だと判断して話を進める。
「わかりました。では私は私で好きに動いて潰しにかかるとしましょう」
「準備の方は大丈夫ですか?」
若弥が女性に尋ねると、
「ええ、もう既に整えてありますので」
不敵な笑みを浮かべてそう言って一礼して部屋を後にした。
「それではお手並み拝見としましょうか」
若弥もこれ以上にないくらい楽しみだったのか、口を綻ばせワクワクが隠し切れない様子だった。
薄暗い部屋の中はかなり広く生活する環境が揃えられてあるだけではなく外部から索敵されないように障壁を備えている。
その中でそう口にするのはメンバーから脱退してその本部を潰しにかかろうとする小堂若弥である。
「いよいよ本格的に始動するおつもりですか?」
丁寧な口調で女性が若弥に尋ねると、
「ええ、ここまでの道のりは長かったですが自分がしたかったことに手が届きましたね」
無邪気な子どもみたく言ってみせると別の女性が厳しく指摘する。
「遊びじゃないんだ。浮かれて本来の目的を忘れるな」
「言われずともわかっていますよ」
穏やかに宥めると、女性はフウッと一息ついて言葉を返す。
「ならいいが、これ以上特に用がなければ帰らせてもらうぞ」
「ええどうぞ」
若弥が切り出すと、女性は部屋を後にした。
それが確認出来て、残っていた女性に去って行った女性のことで質問する。
「彼女、昔も今のように厳しい方でしたか?」
その質問に首を横に振って答える。
「いいえ。昔はもう少し穏やかな性格をしていたのですが過去の事件を一件に少しずつ変わってしまって現在に至ります。人一倍責任感の強い方ですからね」
「そうでしたか」
今一度改めて女性が今回の目的について若弥に確認する。
「お話を戻しますが、本部の潰しの件で先日、貴方が私たちのかつてのメンバーにお会いして言ったフリープランというのは額面通り、好きなやり方でやっても良いという解釈でよろしいですか?」
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「もちろん、その解釈で大丈夫ですよ。歴代の先輩方に指示するような野暮な真似なんてしたくないですよ」
本心で言っているか否かわからないが追求したところで時間の無駄だと判断して話を進める。
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「準備の方は大丈夫ですか?」
若弥が女性に尋ねると、
「ええ、もう既に整えてありますので」
不敵な笑みを浮かべてそう言って一礼して部屋を後にした。
「それではお手並み拝見としましょうか」
若弥もこれ以上にないくらい楽しみだったのか、口を綻ばせワクワクが隠し切れない様子だった。
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