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第1章 始まりの壁
1-04:裏捜査取締り
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大手広告代理店ビル
30階建てビル相当で頑丈そうである。劇場でも使われそうで眩しいほど外から見ても綺麗である。
その最上階に会議らしい場所にスーツをビシッと着た男たちが見る限り10~20名ほどいる中で取引が行われていた。
「では本田さん、こちらは貴方が要望していた資料です。どうぞ」
本田という50代の男が資料を受け取り、資料に記されている内容をパラパラと見て確認する。
「確かに承りました。では草野さん、こちらからはこれを」
本田が差し出したのは中くらいのアタッシュケースで、今度は草野という50代の男がその中を確認する。
金額にしておよそ5000万円、しっかりあることを見てアタッシュケースを閉じる。
「これにて契約成立ですね」
「そのようですね」
お互いの顔を見やりニヤリとする。
改めてこの2人が会社の代表同士で周囲にいる社員もフフッと笑っている。
「それにしてもここまでスムーズにことが進むと後が怖いですね」
「まあそう言わずとも素直に喜びましょう」
「それもそうですね」
喜びが満ちて、とうとう声を上げて笑った時だった。
「喜んでいるところ申し訳ございませんがそこまでです!」
水色コートの青年が入ってきて笑いを止めた。その入室に、
「貴様、何勝手に入ってきているんだ!」
「会議中だ!出て行け!」
本田と草野が声を荒げて水色コートの青年に異議を唱える。
水色コートの青年はフッと笑い切り返す。
「そうはいきませんよ。貴方たちの素行は既に調査済みですから」
「警察でもない奴が何を言うか!」
「証拠がないくせにデタラメなことを!」
切り込みが浅かったのか、水色コートの青年は更に切り込む。
「確かに私は警察ではありませんが、警察に類似した捜査官です。そして貴方たちの言う証拠は私の手元にありません。しかし調査した結果を申し上げますと、貴方たちは昨年の12月から本日に至るまでライバル会社の取引先のデータや契約金、その契約内容を盗み取り、順番にその会社の契約したお金を騙し取り、その上会社を潰そうと計画を立てていた。そうですね?」
水色コートの青年が捲し立てるように解説すると2人の顔が歪み怒号する。
「黙って聞いていれば妄言ばかり!」
「そいつを叩き潰せ!」
社員たちが立ち上がり水色コートの青年に襲い掛かる。
「やはりこうなりますか…」
ポツリとそう呟くと襲い掛かってくる攻撃を紙一重で最小限の動作で躱す。
「いつまでもそう調子に乗ってんじゃねえよ!」
社員の一人が殴りかかるも虚しく躱される。
「人を傷つけるだけの攻撃は私に届きませんよ」
水色コートの青年がそう諭すと、
「っ!」
社員は息を詰まらせ、なす術なく膝から崩れ落ちる。
「いくら貴方たちが束になってかかってこようと私には勝てませんよ」
社員の攻撃が静まるところを確認して本田と草野のところに近づいて行く。
2人の顔はみるみる青ざめて最後の悪あがきで吠えた。
「お、お前たち、早くそいつを片付けろ!」
「だ、誰でもいいから早く!」
しかし社員たちは誰一人として動けなかった。
ただただ水色コートの青年が放つ静かなオーラに蹴落とされて。
次にどんな攻撃を仕掛けても殺される、そんな雰囲気が漂っていたからだ。
社員たちが何も仕掛けて来ないことを確認して、改めて2人に振り向き告げる。
「これで終わりですね」
「そ、そんなバカな…」
「あともう少しだったのに…」
座り込みながら震える声で言う2人を見て、
「もう入って来ても大丈夫です。捕獲お願いします」
左耳につけていたインカムでドアの前で待機していた警視庁の捜査官たちを呼ぶ。
10~15名ほど入って来てその場にいる社員と本田と草野を捕まえた。
机の上にある資料とアタッシュケースを持ち、資料の方を捜査官に渡した。
「この資料は警視庁の方で適切な処理をお願いします。こちらのアタッシュケースの中のお金は魔導財務機関に行って適正を計り申請してきますので私はこれで」
「わかりました。お疲れ様でした」
「いえ、では」
水色コートの青年は頭を下げその場を後にした。
30階建てビル相当で頑丈そうである。劇場でも使われそうで眩しいほど外から見ても綺麗である。
その最上階に会議らしい場所にスーツをビシッと着た男たちが見る限り10~20名ほどいる中で取引が行われていた。
「では本田さん、こちらは貴方が要望していた資料です。どうぞ」
本田という50代の男が資料を受け取り、資料に記されている内容をパラパラと見て確認する。
「確かに承りました。では草野さん、こちらからはこれを」
本田が差し出したのは中くらいのアタッシュケースで、今度は草野という50代の男がその中を確認する。
金額にしておよそ5000万円、しっかりあることを見てアタッシュケースを閉じる。
「これにて契約成立ですね」
「そのようですね」
お互いの顔を見やりニヤリとする。
改めてこの2人が会社の代表同士で周囲にいる社員もフフッと笑っている。
「それにしてもここまでスムーズにことが進むと後が怖いですね」
「まあそう言わずとも素直に喜びましょう」
「それもそうですね」
喜びが満ちて、とうとう声を上げて笑った時だった。
「喜んでいるところ申し訳ございませんがそこまでです!」
水色コートの青年が入ってきて笑いを止めた。その入室に、
「貴様、何勝手に入ってきているんだ!」
「会議中だ!出て行け!」
本田と草野が声を荒げて水色コートの青年に異議を唱える。
水色コートの青年はフッと笑い切り返す。
「そうはいきませんよ。貴方たちの素行は既に調査済みですから」
「警察でもない奴が何を言うか!」
「証拠がないくせにデタラメなことを!」
切り込みが浅かったのか、水色コートの青年は更に切り込む。
「確かに私は警察ではありませんが、警察に類似した捜査官です。そして貴方たちの言う証拠は私の手元にありません。しかし調査した結果を申し上げますと、貴方たちは昨年の12月から本日に至るまでライバル会社の取引先のデータや契約金、その契約内容を盗み取り、順番にその会社の契約したお金を騙し取り、その上会社を潰そうと計画を立てていた。そうですね?」
水色コートの青年が捲し立てるように解説すると2人の顔が歪み怒号する。
「黙って聞いていれば妄言ばかり!」
「そいつを叩き潰せ!」
社員たちが立ち上がり水色コートの青年に襲い掛かる。
「やはりこうなりますか…」
ポツリとそう呟くと襲い掛かってくる攻撃を紙一重で最小限の動作で躱す。
「いつまでもそう調子に乗ってんじゃねえよ!」
社員の一人が殴りかかるも虚しく躱される。
「人を傷つけるだけの攻撃は私に届きませんよ」
水色コートの青年がそう諭すと、
「っ!」
社員は息を詰まらせ、なす術なく膝から崩れ落ちる。
「いくら貴方たちが束になってかかってこようと私には勝てませんよ」
社員の攻撃が静まるところを確認して本田と草野のところに近づいて行く。
2人の顔はみるみる青ざめて最後の悪あがきで吠えた。
「お、お前たち、早くそいつを片付けろ!」
「だ、誰でもいいから早く!」
しかし社員たちは誰一人として動けなかった。
ただただ水色コートの青年が放つ静かなオーラに蹴落とされて。
次にどんな攻撃を仕掛けても殺される、そんな雰囲気が漂っていたからだ。
社員たちが何も仕掛けて来ないことを確認して、改めて2人に振り向き告げる。
「これで終わりですね」
「そ、そんなバカな…」
「あともう少しだったのに…」
座り込みながら震える声で言う2人を見て、
「もう入って来ても大丈夫です。捕獲お願いします」
左耳につけていたインカムでドアの前で待機していた警視庁の捜査官たちを呼ぶ。
10~15名ほど入って来てその場にいる社員と本田と草野を捕まえた。
机の上にある資料とアタッシュケースを持ち、資料の方を捜査官に渡した。
「この資料は警視庁の方で適切な処理をお願いします。こちらのアタッシュケースの中のお金は魔導財務機関に行って適正を計り申請してきますので私はこれで」
「わかりました。お疲れ様でした」
「いえ、では」
水色コートの青年は頭を下げその場を後にした。
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