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6【side.ノア】――タケル/黒
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しおりを挟む「じゃあウチにいるとき限定で敬語やめていい?」
「あぁ、それでいい」
タケルは微笑し、食事を再開させた。普段は〝堅物ウザ教師〟のくせに、兄代理となったらこんな温和になるのか。学校でもこうしていればいいのに。
そこから先は特に会話することなく、テレビを見ながら食事を終えた。タケルは「片付けを手伝う」と言ったが、相手をする方が面倒だ。風呂へ促しておく。
皿洗いを終えた頃、湯上がりのタケルが戻ってきた。
「次は君の番だ」
「うん。飲み物とか欲しかったら適当に冷蔵庫から出していいよ」
リビングを出て洗面所へ。ドアを閉めて服を脱ぎ、浴室へと足を踏み入れる。熱いお湯で身体を流しつつ、視線を下に向けた。
小さな台の上にシャンプーやボディーソープのボトルが並んでいる。そのなかには怪しげな紫色のボトルも――今日パスカルに渡されたシャンプーもある。
……まさか、な。
シャンプーなんかで身長が伸びるはずない。
それでも一応、普段より多めにプッシュして泡立てた。花畑のような香りが立ち込める。背を伸ばすためなら頭頂部に擦り込んだ方がいいだろうか。もう少し詳しい話を聞いておけばよかった。
オレもアニキみたいに、長身のイケメンになれますように。
……。
…………。
まずい。
アニキのことを思い出したら急に身体が興奮してきた。エロいことを考えていたわけでもないのに、早くもガチガチの状態になっている。
……タケルのヤツ、突然呼びに来たりしないよな? 仮に来たとしても、許可なく浴室のドアを開けたりしないか。リビングに担任がいる状況でこんなことをしたくないが……おさまりそうにないから仕方ない。
あまり時間を掛けずに。
ドキドキしながら事を済ませて――。
気持ちも身体もすっきりした状態でバスタイムを終えると、肩にタオルを掛けてリビングへ戻った。タケルはテーブルにノートパソコンを広げている。
「タケル先生は仕事?」
「あぁ」
「オレも部屋で課題やるから。今夜はここでおやすみってことで」
「――待て。課題をやるならきちんと髪を乾かしてからにするんだ。濡れた状態では風邪を引く」
「別にいいよ。ある程度はタオルで拭いたから」
「駄目だ。せっかくの美しい髪も傷むぞ」
「……そんな女子みたいな扱いされても嬉しくない」
「面倒なら僕が乾かしてやる。洗面台にドライヤーがあっただろう」
「余計なことしなくていいって」
「以前はエリック先生に乾かしてもらっていたんだろう?」
「何年前の話だよっ! つーかなんでタケル先生がそんなこと知ってるの?」
「エリック先生が時々、君との思い出話を語っている」
「もう、アニキってば。なにもタケル先生にそんなことバラさなくても」
「実は僕にも離れて暮らす弟がいるんだ。たまには自分も兄貴らしくありたい」
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