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「父上、失礼します。」
「なんだ?」
宰相様は私とレオンハルト様を交互に見て驚いた様子を見せた。
「父上、異界の渡り人が現れた事はご存知ですよね。」
「ああ、明日陛下との謁見の予定が入っている。」
「この方がそうです。」
「ああ、やはりそうか……。」
宰相様は立ち上がり机を回って私の前に来ると、挨拶をしてくれた。
「ようこそ。キサラギミュウ様。我が国は貴女を歓迎いたします。どうぞごゆっくりお過ごしください。」
レオンハルト様とよく似た顔のパーツだが、丸顔だ。
こちら基準では標準的な顔なのかな?
「は、はい。ありがとうございます。お世話になります。」
レオンハルト様のお父様だ。
印象は良くしておきたいっ!
私は礼儀正しく見えるようにきっちりと頭を下げた。
「それで、私は異界の渡り人であるミュウ様と結婚したいので、この間の縁談は断ってください。」
挨拶が済んだところで、早々にレオンハルト様が本題を切り出した。
「うん?」
「私の顔を見ることも出来ないような令嬢とは結婚出来ませんよ。このミュウ様は私の顔が平気だそうで、結婚の承諾も得ました。」
「そ、そうなのですか?」
宰相様は私の顔を見て確認してくる。
勿論です。
宰相様の息子さん、私のどストライクですっ!
ここはハッキリ自分の意思を伝えなければ!!
「は、はい。私にとってはレオンハルト様のお顔は美男子にしか見えません。そして、この頼りになる強引な性格も好ましく思います。」
私は宰相様の目を真っ直ぐに見て答えた。
異世界へ来て急展開だけど、もう27歳。
女は度胸っ!!
宰相様は私の真意を探るようにじっと私の目を見返していたが、やがてレオンハルト様に似たふわりとした笑顔を浮かべて私たちを応援してくれた。
「分かった。コーチス伯爵令嬢の縁談は断っておこう。けれど、渡り人との婚姻は陛下の許可が必要だ。きちんと説明に伺うように。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「ありがとうございます。お義父様。」
私が勢いよくお礼を言ってニカッと笑うと宰相様は少し頬を染めた。
この外見本当に美女らしい……。
宰相様にも笑顔攻撃が効いた!
何だか府に落ちないけど………。
ー・ー・ー・ー・ー
彼のお父様との面会を終えて部屋に戻る途中、廊下を歩きながら縁談についての話を聞いていた。
「私が縁談を壊しちゃったんですか?」
「いえ。気になさることではありません。元々受ける気が無かった縁談なので。」
「そうなんですか?」
「ええ、顔合わせの時、相手の令嬢が私の顔も見れない状態で……。そんな相手とは結婚出来ませんよね。けれど、家はそこそこの名門貴族ですから、支援を目的に縁談は来るんですよ。」
レオンハルト様の顔を見れない??
それって眩しすぎて直視出来なかったんじゃ??
私はもうそこそこの年齢だから、がっつり見るけどさ………。
そんな話をしていると前方からゴルゾン殿下ほどでは無いがポテッとした体格に糸目の男性が近づいてきた。
レオンハルト様からチッと舌打ちが聞こえた。
「サンダルース卿ではないか?」
「ハリス殿下。」
「こちらの美しい女性は?」
「異界の渡り人です。」
「おお!渡り人とはっ!」
ハリス殿下のねっとりとした絡み付くような視線が居心地悪くてレオンハルト様の背中に隠れた。
「サンダルース卿、私をこの美しい女性に紹介してくれないか?」
そう言われ、レオンハルト様はしぶしぶ私にハリス殿下を紹介してくれた。
「ミュウ様、この方は隣国スケイダ王国第2王子のハリス殿下です。我が国で遊学のため滞在中です。」
「ミュウ嬢、良かったら一緒にお茶でも飲みながら異界の話を聞かせてくれないか?」
この視線の意味が分かる。
下心満載だっ!!
断りたいけど、隣国の王子なら不敬?
「えっと、レオンハルト様も一緒なら……。」
「え?」
「駄目ですか?」
「君はこの醜男と一緒にお茶を飲む方が良いのかい?」
レオンハルト様を醜男って言ったなっ!!
貴方こそねっ。
ムカムカするけど、表情には出さないように頬をピクピクさせながら笑顔を作る。
「私にとって、レオンハルト様は醜男ではありませんから。急に此方の世界に来てしまって不安なので…。レオンハルト様が一緒に居ないと不安なのです。」
「そうか……。では彼も一緒でも構わないよ。近々連絡しよう。」
「……はい。」
ハリス殿下が見えなくなったのを確認してから声をひそめてレオンハルト様に確認した。
「あれで不敬にはならないですか?」
「はい。ありがとうございます。」
「あー、良かった。私のせいで外交問題になったら大変だと思って。」
「ミュウ様は客人なので、そのような事を気にする必要はありませんが……。」
レオンハルト様は警戒した表情をハリス殿下の背中に向けていた。
真剣な表情も素敵!!!
「なんだ?」
宰相様は私とレオンハルト様を交互に見て驚いた様子を見せた。
「父上、異界の渡り人が現れた事はご存知ですよね。」
「ああ、明日陛下との謁見の予定が入っている。」
「この方がそうです。」
「ああ、やはりそうか……。」
宰相様は立ち上がり机を回って私の前に来ると、挨拶をしてくれた。
「ようこそ。キサラギミュウ様。我が国は貴女を歓迎いたします。どうぞごゆっくりお過ごしください。」
レオンハルト様とよく似た顔のパーツだが、丸顔だ。
こちら基準では標準的な顔なのかな?
「は、はい。ありがとうございます。お世話になります。」
レオンハルト様のお父様だ。
印象は良くしておきたいっ!
私は礼儀正しく見えるようにきっちりと頭を下げた。
「それで、私は異界の渡り人であるミュウ様と結婚したいので、この間の縁談は断ってください。」
挨拶が済んだところで、早々にレオンハルト様が本題を切り出した。
「うん?」
「私の顔を見ることも出来ないような令嬢とは結婚出来ませんよ。このミュウ様は私の顔が平気だそうで、結婚の承諾も得ました。」
「そ、そうなのですか?」
宰相様は私の顔を見て確認してくる。
勿論です。
宰相様の息子さん、私のどストライクですっ!
ここはハッキリ自分の意思を伝えなければ!!
「は、はい。私にとってはレオンハルト様のお顔は美男子にしか見えません。そして、この頼りになる強引な性格も好ましく思います。」
私は宰相様の目を真っ直ぐに見て答えた。
異世界へ来て急展開だけど、もう27歳。
女は度胸っ!!
宰相様は私の真意を探るようにじっと私の目を見返していたが、やがてレオンハルト様に似たふわりとした笑顔を浮かべて私たちを応援してくれた。
「分かった。コーチス伯爵令嬢の縁談は断っておこう。けれど、渡り人との婚姻は陛下の許可が必要だ。きちんと説明に伺うように。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「ありがとうございます。お義父様。」
私が勢いよくお礼を言ってニカッと笑うと宰相様は少し頬を染めた。
この外見本当に美女らしい……。
宰相様にも笑顔攻撃が効いた!
何だか府に落ちないけど………。
ー・ー・ー・ー・ー
彼のお父様との面会を終えて部屋に戻る途中、廊下を歩きながら縁談についての話を聞いていた。
「私が縁談を壊しちゃったんですか?」
「いえ。気になさることではありません。元々受ける気が無かった縁談なので。」
「そうなんですか?」
「ええ、顔合わせの時、相手の令嬢が私の顔も見れない状態で……。そんな相手とは結婚出来ませんよね。けれど、家はそこそこの名門貴族ですから、支援を目的に縁談は来るんですよ。」
レオンハルト様の顔を見れない??
それって眩しすぎて直視出来なかったんじゃ??
私はもうそこそこの年齢だから、がっつり見るけどさ………。
そんな話をしていると前方からゴルゾン殿下ほどでは無いがポテッとした体格に糸目の男性が近づいてきた。
レオンハルト様からチッと舌打ちが聞こえた。
「サンダルース卿ではないか?」
「ハリス殿下。」
「こちらの美しい女性は?」
「異界の渡り人です。」
「おお!渡り人とはっ!」
ハリス殿下のねっとりとした絡み付くような視線が居心地悪くてレオンハルト様の背中に隠れた。
「サンダルース卿、私をこの美しい女性に紹介してくれないか?」
そう言われ、レオンハルト様はしぶしぶ私にハリス殿下を紹介してくれた。
「ミュウ様、この方は隣国スケイダ王国第2王子のハリス殿下です。我が国で遊学のため滞在中です。」
「ミュウ嬢、良かったら一緒にお茶でも飲みながら異界の話を聞かせてくれないか?」
この視線の意味が分かる。
下心満載だっ!!
断りたいけど、隣国の王子なら不敬?
「えっと、レオンハルト様も一緒なら……。」
「え?」
「駄目ですか?」
「君はこの醜男と一緒にお茶を飲む方が良いのかい?」
レオンハルト様を醜男って言ったなっ!!
貴方こそねっ。
ムカムカするけど、表情には出さないように頬をピクピクさせながら笑顔を作る。
「私にとって、レオンハルト様は醜男ではありませんから。急に此方の世界に来てしまって不安なので…。レオンハルト様が一緒に居ないと不安なのです。」
「そうか……。では彼も一緒でも構わないよ。近々連絡しよう。」
「……はい。」
ハリス殿下が見えなくなったのを確認してから声をひそめてレオンハルト様に確認した。
「あれで不敬にはならないですか?」
「はい。ありがとうございます。」
「あー、良かった。私のせいで外交問題になったら大変だと思って。」
「ミュウ様は客人なので、そのような事を気にする必要はありませんが……。」
レオンハルト様は警戒した表情をハリス殿下の背中に向けていた。
真剣な表情も素敵!!!
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