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3章
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今日から第2学年だ。
2学年になると、自分の研究の題材を決めて、研究準備を始める。第2学年での勉強が一番大変だ。
第3学年になると学園にあまり通わない人も多くなる。もちろん学科の研究は残っている人は学園で研究を続ける。学んだことの集大成となる研究成果を提出し、卒業を待つことになる。この学園の学生は全てが貴族なので、親について領地経営の勉強をしたり、嫁ぎ先に花嫁修業に入ったりする人が多い。
私もリュート王国へ花嫁修業へ入ることになるだろう。
魔法戦闘科の人は研究ではなく模擬戦闘試験をクリアする必要がある。試験をクリアすれば、就職先で訓練に参加することも自由だ。
つまり、第3学年は自分の研究以外は比較的自由に過ごせる。
この世界の貴族は案外働き者で、領地経営のために、領地の収入となる魔道具の開発や薬や化粧品の研究に勤しんでいる。その為、自ら魔道具の開発を行うために魔道具科へ進んだり、薬や化粧品の開発を目指す人は薬草科へ進む。
ティネス王国は魔石も薬草もあまり取れないが魔石や薬草を使って魔道具や薬、化粧品を作ることを産業にしている領地が多い。
だから貴族の多くが魔道具科や薬草科へ進むのだ。
魔道具とは、魔力を流して使用するのだが、自分の持っている属性に関係なく使う事が出来る。自分の持つ属性の魔法しか使えないと、日常生活が不便なので、魔石を利用して自分の属性を変換して、力を使うのだ。
つまり、水の魔力しか持たない人も、コンロのような魔道具を使うと、自分の魔力で火を使った料理が出来る。
その為に学園の一年生で魔法の基礎や関係法規を学び、2年生に実践を交えた研究を行う。
騎士や魔導師を目指す人は、魔法戦闘科に進む。また、裁定所への就職を目指す人は法令戦略科へ進む。裁定所は、日本で言うところの、警察、裁判所、税務署が一緒になったような所で、国の運営に重要な役割を担っている。
勉強が一番大変で、大陸中の国の法令などを学ぶ。この世界では税金に当たるものが国納金で、国毎に金額が違う。法令戦略科も試験をクリアする事で卒業出来る。
2年生になっても、私は相変わらずシオン様とランチをしている。
学園内に私たちの関係は広く知られている。
ただし、学園には2年生からの編入生もいる。
今年は2年生からの編入生が多いらしい。
ゲームの影響かな?と警戒している。
シオン様の友人も2人編入してきたようだが、私はまだ会わせて貰っていない。
シオン様は私の肩にグリグリ額を押し付ける例のポーズで
「レティは可愛いから心配なんだ。」
なんて言ってくる。
もちろんなるべく会いません。
そこいらの無自覚ヒロインと違い、悪役令嬢ですから、婚約者を不安になんてさせません。
言い付けは守ります。
そういう訳で、ランチは今日も二人で食べている。
「そういえば、魔石の採掘場で、私を襲ってきた騎士達に認識阻害の魔法が掛かっていませんでしたか?」
「へー、凄いねぇ。レティは気付いたんだ。闇属性持ちだからかなぁ?」
シオン様が感心したように驚きの表情を浮かべる。
「あまり詳しく分かりませんが、認識阻害が解除されたのだけ感じました。」
「ふーん。普通はあんまり気がつかないよ。」
「あれは、どのようになさっていたのですか?襲ってきた犯人には陛下達は見えていなかったのに、私は見えていたようです。反対に犯人以外の方は私が見えていなかったようですし…………。」
実は私にはシオンがどうやってあんな風に魔法を掛けられたのか全く分からないのだ。
いくつかの魔法が使われているのが分かるが、それが何属性でどんな魔法なのかはさっぱりだ。
「んー。内緒だよ。ふふっ。」
シオン様はいたずらっ子のような微笑みを浮かべる。
ティネス王国に帰る前にシオン様に、ゴメット侯爵は陛下を狙った訳ではないので謀反にするのはさすがにやり過ぎてないか聞いてみた。
でもシオン様はそんな事はしっかりと考えていたようで
「僕に娘を嫁がせて王座に据えて傀儡にしようとしてたんだ。似たようなもんだよー。だいたい謀反にこれまでの国への貢献を鑑みての温情なんて付かないよ。この言葉を入れて刑を相応のものにしたんだよ。」
って教えてくれた。
これで私の良心も傷みません。
私のことは何でもお見通し。
そんなところも好き!
「ところでレティはどういう研究を考えているの?」
とうとう話題を変えられてしまった。
「毒に対する耐性を騎士の装備に付けられないかと思っています。」
「んー。それいいねぇ。僕も似たようなの考えてて、魔獣の毒が深刻なんだ。」
「ええ。私もそれは考えておりました。」
そうなのだ。
魔石の採掘場の周囲の診療所では、毒に侵された騎士達が大勢いたが、解毒剤が少ないので、症状の軽い人は薬を使用していなかったのだ。
「リュート王国は薬草があまり取れないから、薬が少ないんだー。魔石はあるから、魔道具を作れないかと思ってるんだー。レティも同じ事考えてくれたんだねー。」
魔獣の毒の解毒効果の魔道具は難しい。なんせ種類が多い。
複数の効果を付与するには、とんでもなく高価な魔石が必要だ。
今回目指すのは、普通の騎士が買うことが出来る安価な魔石で、複数の毒への耐性を付与することだ。
特定の毒への耐性だけでなく複数の毒への耐性を付与するのには普通は高価な魔石を必要とする。
以前シオン様に毒無効の魔法を掛けて貰ったり、私もマリアさんの毒を解毒したりしたことがある。魔法はイメージで使えるが、魔道具への魔力付与はきちんとプログラムしたもので無いと作用しないのだ。
火の魔法で例えるなら、魔法だと火の玉をイメージすれば、魔法を使う人の意思で大きくしたり、高温にしたり、早くしたり、複数に分けたりがその場で出来るが、コンロは温度も形も大きさもあらかじめプログラムした火しか出ないのだ。
2学年になると、自分の研究の題材を決めて、研究準備を始める。第2学年での勉強が一番大変だ。
第3学年になると学園にあまり通わない人も多くなる。もちろん学科の研究は残っている人は学園で研究を続ける。学んだことの集大成となる研究成果を提出し、卒業を待つことになる。この学園の学生は全てが貴族なので、親について領地経営の勉強をしたり、嫁ぎ先に花嫁修業に入ったりする人が多い。
私もリュート王国へ花嫁修業へ入ることになるだろう。
魔法戦闘科の人は研究ではなく模擬戦闘試験をクリアする必要がある。試験をクリアすれば、就職先で訓練に参加することも自由だ。
つまり、第3学年は自分の研究以外は比較的自由に過ごせる。
この世界の貴族は案外働き者で、領地経営のために、領地の収入となる魔道具の開発や薬や化粧品の研究に勤しんでいる。その為、自ら魔道具の開発を行うために魔道具科へ進んだり、薬や化粧品の開発を目指す人は薬草科へ進む。
ティネス王国は魔石も薬草もあまり取れないが魔石や薬草を使って魔道具や薬、化粧品を作ることを産業にしている領地が多い。
だから貴族の多くが魔道具科や薬草科へ進むのだ。
魔道具とは、魔力を流して使用するのだが、自分の持っている属性に関係なく使う事が出来る。自分の持つ属性の魔法しか使えないと、日常生活が不便なので、魔石を利用して自分の属性を変換して、力を使うのだ。
つまり、水の魔力しか持たない人も、コンロのような魔道具を使うと、自分の魔力で火を使った料理が出来る。
その為に学園の一年生で魔法の基礎や関係法規を学び、2年生に実践を交えた研究を行う。
騎士や魔導師を目指す人は、魔法戦闘科に進む。また、裁定所への就職を目指す人は法令戦略科へ進む。裁定所は、日本で言うところの、警察、裁判所、税務署が一緒になったような所で、国の運営に重要な役割を担っている。
勉強が一番大変で、大陸中の国の法令などを学ぶ。この世界では税金に当たるものが国納金で、国毎に金額が違う。法令戦略科も試験をクリアする事で卒業出来る。
2年生になっても、私は相変わらずシオン様とランチをしている。
学園内に私たちの関係は広く知られている。
ただし、学園には2年生からの編入生もいる。
今年は2年生からの編入生が多いらしい。
ゲームの影響かな?と警戒している。
シオン様の友人も2人編入してきたようだが、私はまだ会わせて貰っていない。
シオン様は私の肩にグリグリ額を押し付ける例のポーズで
「レティは可愛いから心配なんだ。」
なんて言ってくる。
もちろんなるべく会いません。
そこいらの無自覚ヒロインと違い、悪役令嬢ですから、婚約者を不安になんてさせません。
言い付けは守ります。
そういう訳で、ランチは今日も二人で食べている。
「そういえば、魔石の採掘場で、私を襲ってきた騎士達に認識阻害の魔法が掛かっていませんでしたか?」
「へー、凄いねぇ。レティは気付いたんだ。闇属性持ちだからかなぁ?」
シオン様が感心したように驚きの表情を浮かべる。
「あまり詳しく分かりませんが、認識阻害が解除されたのだけ感じました。」
「ふーん。普通はあんまり気がつかないよ。」
「あれは、どのようになさっていたのですか?襲ってきた犯人には陛下達は見えていなかったのに、私は見えていたようです。反対に犯人以外の方は私が見えていなかったようですし…………。」
実は私にはシオンがどうやってあんな風に魔法を掛けられたのか全く分からないのだ。
いくつかの魔法が使われているのが分かるが、それが何属性でどんな魔法なのかはさっぱりだ。
「んー。内緒だよ。ふふっ。」
シオン様はいたずらっ子のような微笑みを浮かべる。
ティネス王国に帰る前にシオン様に、ゴメット侯爵は陛下を狙った訳ではないので謀反にするのはさすがにやり過ぎてないか聞いてみた。
でもシオン様はそんな事はしっかりと考えていたようで
「僕に娘を嫁がせて王座に据えて傀儡にしようとしてたんだ。似たようなもんだよー。だいたい謀反にこれまでの国への貢献を鑑みての温情なんて付かないよ。この言葉を入れて刑を相応のものにしたんだよ。」
って教えてくれた。
これで私の良心も傷みません。
私のことは何でもお見通し。
そんなところも好き!
「ところでレティはどういう研究を考えているの?」
とうとう話題を変えられてしまった。
「毒に対する耐性を騎士の装備に付けられないかと思っています。」
「んー。それいいねぇ。僕も似たようなの考えてて、魔獣の毒が深刻なんだ。」
「ええ。私もそれは考えておりました。」
そうなのだ。
魔石の採掘場の周囲の診療所では、毒に侵された騎士達が大勢いたが、解毒剤が少ないので、症状の軽い人は薬を使用していなかったのだ。
「リュート王国は薬草があまり取れないから、薬が少ないんだー。魔石はあるから、魔道具を作れないかと思ってるんだー。レティも同じ事考えてくれたんだねー。」
魔獣の毒の解毒効果の魔道具は難しい。なんせ種類が多い。
複数の効果を付与するには、とんでもなく高価な魔石が必要だ。
今回目指すのは、普通の騎士が買うことが出来る安価な魔石で、複数の毒への耐性を付与することだ。
特定の毒への耐性だけでなく複数の毒への耐性を付与するのには普通は高価な魔石を必要とする。
以前シオン様に毒無効の魔法を掛けて貰ったり、私もマリアさんの毒を解毒したりしたことがある。魔法はイメージで使えるが、魔道具への魔力付与はきちんとプログラムしたもので無いと作用しないのだ。
火の魔法で例えるなら、魔法だと火の玉をイメージすれば、魔法を使う人の意思で大きくしたり、高温にしたり、早くしたり、複数に分けたりがその場で出来るが、コンロは温度も形も大きさもあらかじめプログラムした火しか出ないのだ。
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