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黒魂―時追正、神魂への路
第三話
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坂道に入ったよ。山になるのかなぁ? 森だけど山に続く道もあるのかも。普通の動物はいないのかなぁ? 僕は神様はもういいよー。お腹いっぱい。良い匂いは、坂道を登った先から漂ってきているよ。なんだか、肉の匂い? んー、違うな。肉の匂いっていうよりタレの匂いだ。食欲を刺激してお腹の虫がなくような気がするけれど、胃もないから僕。
「そっちに、行くのかー」
「人魂が住んでる場所だね。魔女だった人間の」
そうかー、魔女かぁ。もうなんでもいるんだね? でも人間さんだったなら話が合うかもしれないね。
古ぼけたぼろっちい家が目の前にある。ぼろっちいよ。ほんとにここ? 匂いは確かにするけど……。住めるような感じしないよ? すきま風とかすごそうだ。
ドアを開けたらキイキイ音がする。中に入ると魔女っていうより魔少女かな? お婆さんかと思ったら若すぎるよ? ほんとに魔女?
「いらっしゃい。久しぶりだわね。えーと、メロウにユイスイ?」
「どうも、魔女さん」
「こんにちはー」
「そちらの骸骨さんは?」
骸骨? あぁ、僕だった。
「僕は……あれ? 名前が出てこないよ」
「あらあら、名無しさんね? 珍しいわ」
ニパァと魔女さんは笑って、鍋をかき混ぜてる。そこは、魔女っぽいね。
「何を作っているの?」
今度はニタァと笑う。ちょい怖い。
「人間を滅ぼす猛毒よ」
カタカタカタと、壁に吊るされた木人形が震える演出つきだ。脅かそうっていうつもりだね? お、驚かないぞ。
「あら? 嘘じゃないわよ? 味覚が崩壊するのよ。舌を作り替えて共食いしないと、他は不味く感じてしまう魔法薬よ」
それ、薬じゃないよ? 魔法の猛毒だよ。
「あらあら、冗談が通じないわね。嘘よ。木の実や発酵した豆やらいろいろ混ぜた特製のタレよ。ドレッシングというらしいわね。作ってみたの。野菜にかけると満足感が増すわよ」
ドレッシングかぁ。肉は無いのかな?
「この神域では肉や魚は食べちゃいけないのよね。みんな神聖な生き物だもの」
えー、普通の動物いないのかぁ。つまんないの。でも、いろいろいるなら見てみたいかな。不思議な森に住み着いた神聖な生き物かぁ。カッコイイのもいるかな?
「食べてみるかい? 野菜ならたくさんあるからね。久しぶりに一人ではない食卓ね」
はじめて見る野菜ばかりが食卓に並んでいる。ぼろっちい家具だから、ぐらぐら揺れる椅子とテーブルだ。そう言えば、どう食べたら良いだろうか?
骸骨で舌はないし、胃もないから。あ、魂に直接がいいんだっけ? タレを少し垂らして魂に与えてみる。
カタカタカタと骨が震えるくらい、美味しいよ。魔女さん、料理上手だね。
「美味しいよ、魔女さん」
魔女さんはニコリと慈愛に満ちた表情で笑う。うん、そのほうがずっといい。
何だか脳裏にすごい笑顔が浮かんだけれど、何だろう? なんか懐かしいような? 忘れたな。ま、いっか。
「ごちそうさまでした。魔女さんありがとう」
魔女さんは微笑むと、鍋のかき回す作業に戻って黙りになっちゃった。お礼も言えたし、おいとましよう。
「お邪魔しました」
ペコリと頭を下げて、僕は冒険に戻ることにした。次は何があるかな? ワクワクが、やってくる! いーっぱい遊ぼう。だけど、夜にもならないし眠くもならない。不思議だなぁ。
「そっちに、行くのかー」
「人魂が住んでる場所だね。魔女だった人間の」
そうかー、魔女かぁ。もうなんでもいるんだね? でも人間さんだったなら話が合うかもしれないね。
古ぼけたぼろっちい家が目の前にある。ぼろっちいよ。ほんとにここ? 匂いは確かにするけど……。住めるような感じしないよ? すきま風とかすごそうだ。
ドアを開けたらキイキイ音がする。中に入ると魔女っていうより魔少女かな? お婆さんかと思ったら若すぎるよ? ほんとに魔女?
「いらっしゃい。久しぶりだわね。えーと、メロウにユイスイ?」
「どうも、魔女さん」
「こんにちはー」
「そちらの骸骨さんは?」
骸骨? あぁ、僕だった。
「僕は……あれ? 名前が出てこないよ」
「あらあら、名無しさんね? 珍しいわ」
ニパァと魔女さんは笑って、鍋をかき混ぜてる。そこは、魔女っぽいね。
「何を作っているの?」
今度はニタァと笑う。ちょい怖い。
「人間を滅ぼす猛毒よ」
カタカタカタと、壁に吊るされた木人形が震える演出つきだ。脅かそうっていうつもりだね? お、驚かないぞ。
「あら? 嘘じゃないわよ? 味覚が崩壊するのよ。舌を作り替えて共食いしないと、他は不味く感じてしまう魔法薬よ」
それ、薬じゃないよ? 魔法の猛毒だよ。
「あらあら、冗談が通じないわね。嘘よ。木の実や発酵した豆やらいろいろ混ぜた特製のタレよ。ドレッシングというらしいわね。作ってみたの。野菜にかけると満足感が増すわよ」
ドレッシングかぁ。肉は無いのかな?
「この神域では肉や魚は食べちゃいけないのよね。みんな神聖な生き物だもの」
えー、普通の動物いないのかぁ。つまんないの。でも、いろいろいるなら見てみたいかな。不思議な森に住み着いた神聖な生き物かぁ。カッコイイのもいるかな?
「食べてみるかい? 野菜ならたくさんあるからね。久しぶりに一人ではない食卓ね」
はじめて見る野菜ばかりが食卓に並んでいる。ぼろっちい家具だから、ぐらぐら揺れる椅子とテーブルだ。そう言えば、どう食べたら良いだろうか?
骸骨で舌はないし、胃もないから。あ、魂に直接がいいんだっけ? タレを少し垂らして魂に与えてみる。
カタカタカタと骨が震えるくらい、美味しいよ。魔女さん、料理上手だね。
「美味しいよ、魔女さん」
魔女さんはニコリと慈愛に満ちた表情で笑う。うん、そのほうがずっといい。
何だか脳裏にすごい笑顔が浮かんだけれど、何だろう? なんか懐かしいような? 忘れたな。ま、いっか。
「ごちそうさまでした。魔女さんありがとう」
魔女さんは微笑むと、鍋のかき回す作業に戻って黙りになっちゃった。お礼も言えたし、おいとましよう。
「お邪魔しました」
ペコリと頭を下げて、僕は冒険に戻ることにした。次は何があるかな? ワクワクが、やってくる! いーっぱい遊ぼう。だけど、夜にもならないし眠くもならない。不思議だなぁ。
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