フォナブレイク

フォナの儀

フォナス

　フォナの儀に相応しい晴天の外がうらめしい。どうせなら、神殿なんかより外でフォナの儀にかかりたい。どこか、静謐としている神殿ではあるが歴史の重さに心が圧迫されて悲鳴をあげているような気がしてならない。

　自分のサイファーという名も重荷でしかない。歴代のナイト家の中でもグライアリオスに認められた度合いが深い祖先の名前と同じだからだ。

　昨夜聞かされた話ではあるが世界は今、キューブと呼ばれるフォナの意思に支配されつつあるという。グライアリオスは、キューブと対をなす鍵のようなものだと聞いた。卵とも言っていた。理解は出来なかったけれど、重要だとは何となくわかる。

「さあ、フォナの儀を執り行う。大いなるフォナの意思に世界は包まれている。フォナに感謝をフォナス……」

　左胸に手を当てゆっくり頭を下げる。

「フォナス……」

　小さく、呟くようにフォナに祈りを捧げた。