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空を見上げる竜の涙
第二話
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特に好きだとか嫌いだとかはない。あるのは、理路整然としたルールに縛られた地上にはりつけられた窮屈さだ。しかし、どうしようもないのだから好きだとか嫌いだとかは言えないのだ。
充には、どうしようもない現実だ。血管の浮き出た細い腕、顔に特殊メイクをしたように浮き出た痣は彼を悪魔みたいに見せるが、守るべき矜持が彼にもある。
「とにかく、余計な事はしないでくれたまえよ? 私はこの探偵事務所の存続を考えねばならんのだ。……圭子くんの失態で大物の作家が機嫌を損ねてしまったのでね」
ピクリと充の片眉がつり上がり鋭い眼光が社長を射貫いた。
「圭子さんがまるで悪いように言いますが、事情は精査されたのですか? 重光さん」
「圭子くんの失態で間違いないさ。精査するまでもない。それにしても、充くん。君はどういう了見で私に意見しているのかね?」
「あなたがあまりに、無能で自己顕示欲の塊だから忠告したまでです。古竜の血が貴方の醜い心を見通しているのですよ」
蛙形のキセルが大口を開けて紫煙を重光に吹きかけた。
「なにを馬鹿げたことを」
重光は、ケホッと少しむせると憎々しげに充を睨み付けた。
充には、どうしようもない現実だ。血管の浮き出た細い腕、顔に特殊メイクをしたように浮き出た痣は彼を悪魔みたいに見せるが、守るべき矜持が彼にもある。
「とにかく、余計な事はしないでくれたまえよ? 私はこの探偵事務所の存続を考えねばならんのだ。……圭子くんの失態で大物の作家が機嫌を損ねてしまったのでね」
ピクリと充の片眉がつり上がり鋭い眼光が社長を射貫いた。
「圭子さんがまるで悪いように言いますが、事情は精査されたのですか? 重光さん」
「圭子くんの失態で間違いないさ。精査するまでもない。それにしても、充くん。君はどういう了見で私に意見しているのかね?」
「あなたがあまりに、無能で自己顕示欲の塊だから忠告したまでです。古竜の血が貴方の醜い心を見通しているのですよ」
蛙形のキセルが大口を開けて紫煙を重光に吹きかけた。
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