【完結】いわゆる婚約破棄だったが、見ているだけではない。

47 脳筋者→将軍の息子編⑤ 選択

意識を取り戻して、すぐに違和感に気づく。

愛する者がいないと。


でも、愛する者とは誰のことだ？

やはり、母上のことだろう。


彼は、前回の記憶の全てを失っていた。

浮いているという経験は、浮かせている存在がいないと実感しにくいものだから。



メッセージが出る。

『母上を愛しているか？全てを捨てたいか？』

あり得ない選択を要求するものだ。


だから…

「母上を愛しているに決まっている。他の選択はない！」


本人は覚えていないが、最初の時と同じ時間が流れていくことになる。

王太子が婚約すること、様々な問題。

しかし、問題から逃げる経験と考えない、覚えない、知ろうとしない脳筋体質。

その果てに何があったのか、彼は覚えていない。

あの時の後悔も、全部。

結局のところ、自分自身に何かを与えてくれる者以外に関心は向かないし、向けないし、興味が無いという事なんだろう。


彼の人生は始まったばかりだ。


でも、最後は既に決まっているようだ。