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35 遅刻勇者③ 潜入

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深層探査で、数十カ所に反応があったことから、今回の舞台以外にも干渉していることは確実になった。


舞台というのが、公爵令嬢が悪人だと断定されたあのパーティーに繋がるものだ。


であるから、その舞台となる部分に潜入して、内部からその思惑を打ち砕くことにした。


具体的には、学園の講師となって入り込む。


学生は、全員寄宿舎にて寝起きすることになり、学園の外に行くには制約がある。

その点、学生以外の講師や研究員は、自由に出歩くことができる。


城下町と城自体を覆う結界は残しておき、自由に使えるように深層領域に端末を置くと設定付けた。


深層領域とは、集団的無意識領域に隣接する実体のないものを制御する領域のこと。

実体がないから、それを認識できないと、影響を与えることは不可能だ。


まずは、経歴を詐称。

スキル、ランク、経験値などを当たり障りのない水準になるように調整。

存在を多少薄くして、覚えづらい者にする。


これで、良し。


学園の入学時には、影の薄い講師として、潜入できるだろう。


*

予定通り学園の講師となれた。


入学してくる者とその関係は頭に入れていたが、配布されていた内容とかなり違う。


公爵令嬢は、王太子と婚約していなかった。


その公爵令嬢は、ある種、人外な魔法を持っていると。



いつも浮いている脳筋。

これは、どういう意味なんだろうか。

人のことを聞いていないということか?


大商人の息子は、系列のお店でバイト中。

バイトの申請は、許可されているとのこと。




編入学されてくる男爵令嬢の情報も入ってきたが。

無属性とは、なんの話だ。

光属性&聖女になるほどの治癒能力はどこへいった。


ここに至って、全てが後手に回っていたことが分かった。


そして、王太子のあの事件が起きる。
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