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第22話 ??日 神さまの世間話
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士長は、このお茶まで再現できることを知らなかったらしい。そのせいか、鈴の両手を握って、うるうるした目で“ありがとう、ありがとう”と繰り返していた。
さすがに、キリがないので、梢が、
「お話、重要だったのでは?」
の声に、はたと気がついて
「そうでした。お茶のことで、頭がいっぱいになっていました。すみません」
言って謝る士長。
「それでは、改めまして、この世界についてお話をしたいと思いますが…、何が聞きたいですか?」
「そこは、一般的なことを話すのでは?」
と、トクホのエールをグビグビ飲みながら問いかけている。
見た目は、サラリーマンが夜店で管を巻いている形だ。さっきまでのイメージは壊れた。
「ええ、そうですね」
士長が、手をパンと叩くと、部屋が薄暗くなり、机の上板と平行に板、液晶のようなものが現れた。
そこに、文字だけではなく、周囲の地図と思われる物が“立体”で、表示された。横から見ても、きちんと立体になっていて、錯視などではないことは、杏が見た。しかも、
「これ~、触れる。形も分かる~、なんで~?不思議~?」
「この地図で、説明します」
陸上の中央にある、ほぼ円形で、連山の反対側に大きな城が見えるところを指して、
「ここが、この街になります。王の住む街ということで、王街(おうがい)とも呼ばれています」
次に、城の左側に7つの塔が建っている場所の中心の塔を指して、
「この塔は、7つある塔の真ん中の塔になります。これが一番高く、王城よりも高い位置になっています」
「なぜ、お城はもちろん中心だけが高い塔になっているのですか?」
「1つめに、他国との連絡が出来るようになっていること。他国も同じ高さの塔が建っています。2つめに、他国の塔と同調することで、上層階の“管理者”と言われる者との会話が可能となります。ただし、“管理者”が何の管理者なのか分からないのですが。最後に、神が降臨する場所となっています。ただし、これも他の6つの塔が連動すると効果を表すとされていますが、勝手に来られる場合があり、逆に連動させられるということがあります」
「勝手に来るって…」
「神と言いましたが、“管理者”なのかもしれないと思っております」
「来た神さまに聞かないのですか?」
「笑うだけで答えてくれないで」
「会ったことがあるの~??」
「今回の召喚についても、事前に教えてくださいました。最も、世間話の中に混ぜて、ですが」
「神さまが世間話…」
「仕事は、面倒くさいとも」
「職場放棄か!」
さすがに、キリがないので、梢が、
「お話、重要だったのでは?」
の声に、はたと気がついて
「そうでした。お茶のことで、頭がいっぱいになっていました。すみません」
言って謝る士長。
「それでは、改めまして、この世界についてお話をしたいと思いますが…、何が聞きたいですか?」
「そこは、一般的なことを話すのでは?」
と、トクホのエールをグビグビ飲みながら問いかけている。
見た目は、サラリーマンが夜店で管を巻いている形だ。さっきまでのイメージは壊れた。
「ええ、そうですね」
士長が、手をパンと叩くと、部屋が薄暗くなり、机の上板と平行に板、液晶のようなものが現れた。
そこに、文字だけではなく、周囲の地図と思われる物が“立体”で、表示された。横から見ても、きちんと立体になっていて、錯視などではないことは、杏が見た。しかも、
「これ~、触れる。形も分かる~、なんで~?不思議~?」
「この地図で、説明します」
陸上の中央にある、ほぼ円形で、連山の反対側に大きな城が見えるところを指して、
「ここが、この街になります。王の住む街ということで、王街(おうがい)とも呼ばれています」
次に、城の左側に7つの塔が建っている場所の中心の塔を指して、
「この塔は、7つある塔の真ん中の塔になります。これが一番高く、王城よりも高い位置になっています」
「なぜ、お城はもちろん中心だけが高い塔になっているのですか?」
「1つめに、他国との連絡が出来るようになっていること。他国も同じ高さの塔が建っています。2つめに、他国の塔と同調することで、上層階の“管理者”と言われる者との会話が可能となります。ただし、“管理者”が何の管理者なのか分からないのですが。最後に、神が降臨する場所となっています。ただし、これも他の6つの塔が連動すると効果を表すとされていますが、勝手に来られる場合があり、逆に連動させられるということがあります」
「勝手に来るって…」
「神と言いましたが、“管理者”なのかもしれないと思っております」
「来た神さまに聞かないのですか?」
「笑うだけで答えてくれないで」
「会ったことがあるの~??」
「今回の召喚についても、事前に教えてくださいました。最も、世間話の中に混ぜて、ですが」
「神さまが世間話…」
「仕事は、面倒くさいとも」
「職場放棄か!」
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