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58 静寂の中のイベント

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深夜零時開催。
主催は、この時刻を管理しているとされる1家、夜中やなか家である。
ちなみにうちは、午前6時から2時間だ。

俺は、一応会場として指定された神社の境内に設置された椅子に座っている。
座高が低い変な椅子で、足を前に伸ばすようにして座っている。
周りを見れば、イベント開催前から幽霊っぽい人形っぽい人なのかなんなのか分からないものがふわふわと集まってきている。
イベント開催時刻になってもこの状況は変わらずに、あっちへふらふら…こっちへふらふら。
よく分からない状況だ。
一応、篝火はあちこちにあるので暗くはないが、昼間のような明るさとは言い難い。
時折、炎の中でパチッとかバチッとかの音が聞えるが、それ以外の音はなく、静寂がここを支配している。
時間だけがゆっくりと過ぎていき、イベント終了時刻が近づく。
元々2時間の予定だったから、午前2時に終了だ。
午前2時まで、何も無く静寂なまま時間が来た。
集まる時と同様に、ふらふらしていたものが境内からすうっと消えて行く。
また1体、あの辺りの1体という感じで、全部が消えたのは午前2時半くらいだった。
…イベントなのか、これは。
内容がよく分からなかった。
というより、何がどうなっているのか全く不明。
そういえば、みどりはどうしたのだろうか?
やっぱりあの幽霊っぽいものの一人にいたのだろうか。
全然分からなかった。

「お疲れさん」

そう声を掛けてきたのは、親父と同じく役場勤めの夜中家当主である。

「何もありませんでしたが、イベントなんですか?」
「初参加するとみんな終わった後に聞いてくるのはそれなんだよ。当然、イベントは大成功に終わったよ」
「何も無かったですよ。大成功と言われてもどこが成功なのか」
「清浄な空間に集まる、それなりに格の上の者たち。そこに神格持ちや神そのものの来訪。自分の格が上がるとそれまで見えなかったものが見えてくるようになる。今回のイベントは参加者の人格レベルを上げるものだったんだ。全員ではなかったが、神に来訪に気がついた者もいた」
「神の来訪ですか。ともえさんくらいしか知らないな」
「ともえ様だよ」
「え?」
「イベントに来訪した神というのは、ともえ様と決まっているのだよ。トラブルメーカーでもあるが、こういうイベントには欠かせない神でもある。感謝しているよ」
「そうですか」

イベントということで、本人(ともえさん)が良いと思っているなら、それでいいんだろう。
助かっている人もいる訳だし。
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