異界審査官の巻き込まれ人生記

夜空のかけら

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14　MQコード

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検問を無事通過し、街側に入った時に大きな音が響いた。
壁からあくびのような音が出たのだ。
よく見ると壁自体も震えている様に見える。
振り返って衛兵を見ると、何ともなさそうな声で

「ああ、この城壁は生体兵器で生きているのだよ。今のは、あくびだと言われている。詳しくは知らないが」

これがファンタジー？
びっくりすることが多いなぁと思いグリーンを見ると彼女もびっくりしていた。
なるほど、ここは不思議な世界だなと思った。

街中を歩くのもよかったのだが、高いところから街を一望できる展望台があるという。
そこへ2人で上がって見ることにした。

結構高い位置にあったそこからは、王城も見ることができた。
初めて来たのだから、どこに何があるか分からない。
パンフレットでも置いていないかと思っていたら、展望台の片隅に観光案内所があった。
そこで見つけたのが、「アリナ街観光案内」というもので、きちんと“紙”のパンフレットが置いてあった。

「これ、もらってもいいですか？」

そう、観光案内所にいた人に聞くと、

「はい。どうぞ。このMQコードを手に転写すると、書いてあるお店で特典が受けられますよ。なんでしたら、今やってみますか？」
「お願いします」

パンフレットのコードの上に手を翳し、

「コードオープン」

すると、コードが光って手のひらにその模様が転写された。

「おお、何か綺麗だ」
「ええ、演出もバッチリです」
「演出ですか」
「ええ、結構話題なんですよ」

面白いなぁ。
魔法が使えるというのは、スマホが使えると同じなのか。

「ここをこうすると、今歩いている場所などが分かる案内機能もあります」
「凄い」
「最近出て来た最新技術ですよ」

ナビゲーションまで！これが魔法で何でも出来ると言うことか。

あちこちを見ていたグリーンの側に、パンフレット持参で近づく。
王城の方をじっと見ていたが、パンフレットを渡しながら、

「街の中心部に行くには、展望台から伸びる上空通路も利用可能だから案外迷わないらしいぞ」

パンフ自体でナビゲーションしてくれるらしいとも言ったが、なぜかグリーンはパンフレットを見ながら固まってしまった。
固まる要素はどこにあったのだろうか。
そのうち、パンフレットを見て、MQコードに気がついたらしい。
親切な人がコード転写の方法を教えてくれていた。

ナビのことには気づいているのかな。
復活したグリーンと上空通路を使って街の中心部に行ってみることにした。

この街は、いくつかの区画に別れていて、それぞれの区画で街壁を持っている。その街壁の上部は通行可能となっており、その通行路を上空通路と呼んでいる。

目的地は、街中心部にあるギルドだ。

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