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眠っている公爵令嬢だったが、身体が動かないだけで、意識はしっかりしていた。

しかし、それは苦痛以外の何物でも無い。
全てを他人に委ねることになるのだから。

侍女に様々なことをさせていた身分であっても、四六時中付きっきりというのは精神的に参ってしまうこと。

何よりも、食事が取れないことで身体の衰弱が分かる…死期が迫ってくるのは、発狂するほどの苦痛になっている。

だが、何かがその発狂しそうな精神を癒やしていた。
そこになんらかの手がかりがあるように思えたのだ。

「魔法師ということは、その者に教えた魔術師がいるはず。それを探し当てれば、まだ大丈夫」

魔法使いと言われる者は、魔法師から魔法を学ぶ。
定型と呼ばれる、魔法発動の公式を教える魔法職を魔法師と呼ぶが、魔法師になるためには、専属魔術師から教えを受ける必要がある。

魔術師は、公式外の魔法を開発する者に共通した職名である。

公爵令嬢は、その魔法師か魔術師を見つけ出すことに、一縷の望みをしていた。
危険かもしれないが、身体から離れて探すことにしたのだ。

しかし…

屋敷の外は、全体的に薄暗い。

「きゃあああ…」

悲鳴を上げても気がつく者は、いない。
街には、様々な幽霊が漂っていたのだ。

そして、見つかってしまった。

男爵令嬢とその家族など、絞首刑に処された者達の幽霊に…
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