ざまぁ!!

夜空のかけら

文字の大きさ
上 下
3 / 6

第3話 学生結婚

しおりを挟む
急展開の上の同意。何だか頬が熱い。

「その様子なら、問題はないな」

お父さんが、勝手に進める。

「よし、こことここ、書いてくれ」

…これ、

「なんだ、婚約書じゃなくて、婚姻届じゃねえか」
「いいだろ、誠の葵ちゃんへの思いの結果なんだし、葵ちゃんも異論はないようだからな」
「学生結婚か、俺を思い出すぜ」
「あれはないだろう。俺も狙っていたんだ…」

ガンガン

「痛てぇ」
「痛い」

お母さんがフライパンを持って、2人の頭を叩いていた。

「そんな昔の話を娘にしないでよ。恥ずかしいじゃない」

…その話。
何度も聞いたよ、惚気ながら。

書き損じはダメなんだそうだ。この書類。
最初は間違えた部分があったけれど、2枚目は間違えなく書けた。
相手の苗字に寄せて、彼…誠兄さまのお父様がお義父さんに代わる。あまり、変化ないかな。

両親の署名と印は…誠…主人の両親の署名捺印は済んでいた。
うちの両親の署名と印を押す。

次は、住民票…仕事が早い。

「菅原、これを役所へ出してくれ」

そう聞こえたら、

「あ、それだけど2人でしたい」

主人がそう言う。
あ、ということはまだ誠兄さまと言っていいのかしら。

「結婚しても、誠兄さまでいいぞ。対外的には、そっちの方がいい。それに、なんだか恥ずかしいからな」
「ありがとう」

なんだかお礼を言ってしまった。

「そうか、そうか。そうだ。明日学校休め。うちらもついて行ってやる。なぁ、あれだあれ」
「分かっているよ。はぁ、まさか葵ちゃん相手にこんなに早くすることになるとはね」
「そうね。あれは感動ものよ。菅原さん。あなたのところからも何人かお願い」
「承知致しました。騒がしいのを何人か付かせます」

警備のえらい人に命令するお母さん。
もちろん、直接命令することはできないはずなのに、菅原さんも遠慮なしで対応している。
もしかして、お母さんのファンだったり、お父さん関係者だったり…なんてことはないわよね。

その日、遅く帰ってきた元婚約者さま(本人知らない)は、夕食を食べずに寝てしまったらしい。

翌朝、誠兄さまは仮病で学校を休んだ。
いや、正確には毅には仮病を言って、学校には正確に説明をしたらしい。
私の分も。

どう言ったんだろう。

「気にするな、あそこの学長は俺らの後輩。悪いようにはならない」

…最強のお父さん達なのかな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

「大嫌い」と結婚直前に婚約者に言われた私。

狼狼3
恋愛
婚約してから数年。 後少しで結婚というときに、婚約者から呼び出されて言われたことは 「大嫌い」だった。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。

❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。 それは、婚約破棄&女の戦い?

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...