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第3話 学生結婚
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急展開の上の同意。何だか頬が熱い。
「その様子なら、問題はないな」
お父さんが、勝手に進める。
「よし、こことここ、書いてくれ」
…これ、
「なんだ、婚約書じゃなくて、婚姻届じゃねえか」
「いいだろ、誠の葵ちゃんへの思いの結果なんだし、葵ちゃんも異論はないようだからな」
「学生結婚か、俺を思い出すぜ」
「あれはないだろう。俺も狙っていたんだ…」
ガンガン
「痛てぇ」
「痛い」
お母さんがフライパンを持って、2人の頭を叩いていた。
「そんな昔の話を娘にしないでよ。恥ずかしいじゃない」
…その話。
何度も聞いたよ、惚気ながら。
書き損じはダメなんだそうだ。この書類。
最初は間違えた部分があったけれど、2枚目は間違えなく書けた。
相手の苗字に寄せて、彼…誠兄さまのお父様がお義父さんに代わる。あまり、変化ないかな。
両親の署名と印は…誠…主人の両親の署名捺印は済んでいた。
うちの両親の署名と印を押す。
次は、住民票…仕事が早い。
「菅原、これを役所へ出してくれ」
そう聞こえたら、
「あ、それだけど2人でしたい」
主人がそう言う。
あ、ということはまだ誠兄さまと言っていいのかしら。
「結婚しても、誠兄さまでいいぞ。対外的には、そっちの方がいい。それに、なんだか恥ずかしいからな」
「ありがとう」
なんだかお礼を言ってしまった。
「そうか、そうか。そうだ。明日学校休め。うちらもついて行ってやる。なぁ、あれだあれ」
「分かっているよ。はぁ、まさか葵ちゃん相手にこんなに早くすることになるとはね」
「そうね。あれは感動ものよ。菅原さん。あなたのところからも何人かお願い」
「承知致しました。騒がしいのを何人か付かせます」
警備のえらい人に命令するお母さん。
もちろん、直接命令することはできないはずなのに、菅原さんも遠慮なしで対応している。
もしかして、お母さんのファンだったり、お父さん関係者だったり…なんてことはないわよね。
その日、遅く帰ってきた元婚約者さま(本人知らない)は、夕食を食べずに寝てしまったらしい。
翌朝、誠兄さまは仮病で学校を休んだ。
いや、正確には毅には仮病を言って、学校には正確に説明をしたらしい。
私の分も。
どう言ったんだろう。
「気にするな、あそこの学長は俺らの後輩。悪いようにはならない」
…最強のお父さん達なのかな。
「その様子なら、問題はないな」
お父さんが、勝手に進める。
「よし、こことここ、書いてくれ」
…これ、
「なんだ、婚約書じゃなくて、婚姻届じゃねえか」
「いいだろ、誠の葵ちゃんへの思いの結果なんだし、葵ちゃんも異論はないようだからな」
「学生結婚か、俺を思い出すぜ」
「あれはないだろう。俺も狙っていたんだ…」
ガンガン
「痛てぇ」
「痛い」
お母さんがフライパンを持って、2人の頭を叩いていた。
「そんな昔の話を娘にしないでよ。恥ずかしいじゃない」
…その話。
何度も聞いたよ、惚気ながら。
書き損じはダメなんだそうだ。この書類。
最初は間違えた部分があったけれど、2枚目は間違えなく書けた。
相手の苗字に寄せて、彼…誠兄さまのお父様がお義父さんに代わる。あまり、変化ないかな。
両親の署名と印は…誠…主人の両親の署名捺印は済んでいた。
うちの両親の署名と印を押す。
次は、住民票…仕事が早い。
「菅原、これを役所へ出してくれ」
そう聞こえたら、
「あ、それだけど2人でしたい」
主人がそう言う。
あ、ということはまだ誠兄さまと言っていいのかしら。
「結婚しても、誠兄さまでいいぞ。対外的には、そっちの方がいい。それに、なんだか恥ずかしいからな」
「ありがとう」
なんだかお礼を言ってしまった。
「そうか、そうか。そうだ。明日学校休め。うちらもついて行ってやる。なぁ、あれだあれ」
「分かっているよ。はぁ、まさか葵ちゃん相手にこんなに早くすることになるとはね」
「そうね。あれは感動ものよ。菅原さん。あなたのところからも何人かお願い」
「承知致しました。騒がしいのを何人か付かせます」
警備のえらい人に命令するお母さん。
もちろん、直接命令することはできないはずなのに、菅原さんも遠慮なしで対応している。
もしかして、お母さんのファンだったり、お父さん関係者だったり…なんてことはないわよね。
その日、遅く帰ってきた元婚約者さま(本人知らない)は、夕食を食べずに寝てしまったらしい。
翌朝、誠兄さまは仮病で学校を休んだ。
いや、正確には毅には仮病を言って、学校には正確に説明をしたらしい。
私の分も。
どう言ったんだろう。
「気にするな、あそこの学長は俺らの後輩。悪いようにはならない」
…最強のお父さん達なのかな。
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