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第9章 理の使命2
85 抱き枕
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あいつが起きたのに引き続き、お姉ちゃんも起きた。ゆっくり目を開き、左右にゆっくり動いて、私に気が付くと、にっこり笑ってくれた。でも、少しその顔が陰った。
「ごめんね。この人、私と一緒になっちゃう。」
あいつが上げたままになっている、恋人繋ぎをしている手と手を見ながら、つぶやくような声で。
エリーさんは、その光景を見たくないのか、こちらに背を向けている。あの人は、そんな2人の額に手を当てて、
「補強する。何度かに分けて、薄くなった都度補強するから、受領の仕方を覚えろ。」
と言い、その受領の仕方を教えていたようだった。レクチャーが終わったらしく、あの人の身体から、赤い光が漏れ始めた。その光は、腕を通り、2人の額を通り、身体に注ぎ込まれていく。2人の身体が赤い輪郭を持ち光が強くなっていく。注がれる前は、薄かったのに。
赤い光の輪郭が、白い色に変わったところで、あの人からの補強は終わった。そして、なぜか私にも同じようにという指示が。
「そんなことを言っても、あなたと同じようなことはできない。」
「それは、百も承知だ。同じように2人の額に手を当てて、自分の中にあるものをあげたい。助けたいと思うんだ。それだけで、いい。」
「うん、やってみる。」
おっかなびっくり、お姉ちゃんの額とあいつの額に手を当てて、早くみんなで仲良く居たい。1日でも長く…。
とそう、想いながら。あの人がいいぞ、と言うまでその姿勢と願いをずっと、想っていた。
許可が出て、2人の額から手を放すと、2人の額には私の手の跡がくっきり。あいつが
「力を入れ過ぎだ。この手の跡、まるで叩かれたみたいじゃないか。これじゃあ、外に出歩けないなぁ~。」
と言ったけれど、その前の衝撃がまだ残っていたのか、
「ごめんね。」
と小さい声で言ったら
「ああ、からかってごめん。感謝してる。ちゃんと、お前の想い受け取った。」
お姉ちゃんからも
「ありがとうね。私も、あなたの強い想い受け取りました。時間の許す限り、一緒にいるよ。最善のことを一緒に探そう。」
思わず、お姉ちゃんと抱き合って、泣いてしまった。
…あいつは、柄にもなく、もらい泣きをしそうな顔をしていたけれど、なぜか笑えなかった。
***
昇降機で元の塔に戻ってきたつもりだったのに、出た場所はなぜか王城内の貴賓室。びっくりするほど大きいベッドがやたら目を引く。3人で寝る予定と聞いていたけれど、これ10人以上も眠れるんじゃないか?孤児院の子たちだったら、20人はいけるかも。
そんなことを思って、とあることから必死に意識を背けていた。
そう、お姉ちゃんとあいつと一緒にこれから寝る…ということを。
お姉ちゃんとは、何回か一緒に寝ていたから、それはいいけれど。問題はあいつだ。
部屋に来た時に、このベッド大きい~と飛び込んでいったら、あの人の説明が始まり、私は関係ないだろうと聞いていなかったら、”眠っている間が一番無防備で、存在認識もあやふやになる”というあの方の意見で。姉妹は、一緒に寝た方がいいだろうと言うことには同意した。しかし、こういう形で寝るならば、先に言っておいてほしかった。身体からの火照りが治まることなく、その時が近づいてくる。
王族との食事会でも、味なんて分からなかった。
私は、2人の間に入るように眠る形になる。しかも3人で抱き合う形。お姉ちゃんとあいつが離れることは厳しいという話は分かった。なら、私がお姉ちゃんと抱き合って、あいつはお姉ちゃんと手を繋いでいればいいよね?と言ったら、あの人は、それでは繋がりが薄すぎる。しばらくは、お前を中心に抱き合って寝ろ…だった。
パニック。あいつとも抱き合えと??しかも、私とお姉ちゃんが顔を向けながらだと、髪の毛が鬱陶しいとか言い始めた。私は拒絶したけれど、時間切れ。あいつが強引に私を抱き寄せて動けない状態からお姉ちゃんに抱き着かれて、身体が燃え尽きるんじゃないかというくらいの熱を発して、羞恥心の中、意識が暗転した。目覚めは最悪。しかも、これがしばらく続くという。王城内の貴賓室を貸してくれたのは、3人で寝ていることでのトラブル防止と私の体調管理のためだった。
2人は、あの人からの補強と寝るときの抱き合いで存在を維持しているという。
最初の時みたいに、額に手でもいい?と聞いたら、効率が悪いと却下されてしまった。
起きた時に、あいつから”寝相悪すぎ”とか”抱き着いているといい匂いがする”とか”やっぱり嬉しいとか”文句や羞恥心地獄や惚気られて、私の方が消えてしまいそうになっていたりする。
もはや、私は2人の抱き枕になっていたと気が付いたのは、貴賓室から街に用意された家に行くとき。3人で寝ることがなくなった時だった。
その後、そういう密着していたことを何度も思い出して、半身が削られた気分になった。もっと…と。
「ごめんね。この人、私と一緒になっちゃう。」
あいつが上げたままになっている、恋人繋ぎをしている手と手を見ながら、つぶやくような声で。
エリーさんは、その光景を見たくないのか、こちらに背を向けている。あの人は、そんな2人の額に手を当てて、
「補強する。何度かに分けて、薄くなった都度補強するから、受領の仕方を覚えろ。」
と言い、その受領の仕方を教えていたようだった。レクチャーが終わったらしく、あの人の身体から、赤い光が漏れ始めた。その光は、腕を通り、2人の額を通り、身体に注ぎ込まれていく。2人の身体が赤い輪郭を持ち光が強くなっていく。注がれる前は、薄かったのに。
赤い光の輪郭が、白い色に変わったところで、あの人からの補強は終わった。そして、なぜか私にも同じようにという指示が。
「そんなことを言っても、あなたと同じようなことはできない。」
「それは、百も承知だ。同じように2人の額に手を当てて、自分の中にあるものをあげたい。助けたいと思うんだ。それだけで、いい。」
「うん、やってみる。」
おっかなびっくり、お姉ちゃんの額とあいつの額に手を当てて、早くみんなで仲良く居たい。1日でも長く…。
とそう、想いながら。あの人がいいぞ、と言うまでその姿勢と願いをずっと、想っていた。
許可が出て、2人の額から手を放すと、2人の額には私の手の跡がくっきり。あいつが
「力を入れ過ぎだ。この手の跡、まるで叩かれたみたいじゃないか。これじゃあ、外に出歩けないなぁ~。」
と言ったけれど、その前の衝撃がまだ残っていたのか、
「ごめんね。」
と小さい声で言ったら
「ああ、からかってごめん。感謝してる。ちゃんと、お前の想い受け取った。」
お姉ちゃんからも
「ありがとうね。私も、あなたの強い想い受け取りました。時間の許す限り、一緒にいるよ。最善のことを一緒に探そう。」
思わず、お姉ちゃんと抱き合って、泣いてしまった。
…あいつは、柄にもなく、もらい泣きをしそうな顔をしていたけれど、なぜか笑えなかった。
***
昇降機で元の塔に戻ってきたつもりだったのに、出た場所はなぜか王城内の貴賓室。びっくりするほど大きいベッドがやたら目を引く。3人で寝る予定と聞いていたけれど、これ10人以上も眠れるんじゃないか?孤児院の子たちだったら、20人はいけるかも。
そんなことを思って、とあることから必死に意識を背けていた。
そう、お姉ちゃんとあいつと一緒にこれから寝る…ということを。
お姉ちゃんとは、何回か一緒に寝ていたから、それはいいけれど。問題はあいつだ。
部屋に来た時に、このベッド大きい~と飛び込んでいったら、あの人の説明が始まり、私は関係ないだろうと聞いていなかったら、”眠っている間が一番無防備で、存在認識もあやふやになる”というあの方の意見で。姉妹は、一緒に寝た方がいいだろうと言うことには同意した。しかし、こういう形で寝るならば、先に言っておいてほしかった。身体からの火照りが治まることなく、その時が近づいてくる。
王族との食事会でも、味なんて分からなかった。
私は、2人の間に入るように眠る形になる。しかも3人で抱き合う形。お姉ちゃんとあいつが離れることは厳しいという話は分かった。なら、私がお姉ちゃんと抱き合って、あいつはお姉ちゃんと手を繋いでいればいいよね?と言ったら、あの人は、それでは繋がりが薄すぎる。しばらくは、お前を中心に抱き合って寝ろ…だった。
パニック。あいつとも抱き合えと??しかも、私とお姉ちゃんが顔を向けながらだと、髪の毛が鬱陶しいとか言い始めた。私は拒絶したけれど、時間切れ。あいつが強引に私を抱き寄せて動けない状態からお姉ちゃんに抱き着かれて、身体が燃え尽きるんじゃないかというくらいの熱を発して、羞恥心の中、意識が暗転した。目覚めは最悪。しかも、これがしばらく続くという。王城内の貴賓室を貸してくれたのは、3人で寝ていることでのトラブル防止と私の体調管理のためだった。
2人は、あの人からの補強と寝るときの抱き合いで存在を維持しているという。
最初の時みたいに、額に手でもいい?と聞いたら、効率が悪いと却下されてしまった。
起きた時に、あいつから”寝相悪すぎ”とか”抱き着いているといい匂いがする”とか”やっぱり嬉しいとか”文句や羞恥心地獄や惚気られて、私の方が消えてしまいそうになっていたりする。
もはや、私は2人の抱き枕になっていたと気が付いたのは、貴賓室から街に用意された家に行くとき。3人で寝ることがなくなった時だった。
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