約束の続き

夜空のかけら

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第7章 理の使命

64 想定外

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作動中の調整よりも、優先してしなきゃいけないことに気が付いた。
そう、送信機の調整。
それと変換器と受信機も順番に見ていく必要がある。

まず、送信機と言っても機械的な何かではなく、他に言いようがないからそう言っているだけ。それは、変換器も受信機も同じ。
送信機の設定確認をする。1つの世界で使用される送信機には、いくつかのパターンが設定されていて、個体差が生じるところは、混線しないように物凄い桁の数字と記号の組み合わせで識別されてる。正直、ここは見たくない。一千桁はあるんじゃないだろうか。双子であってもここは違う。末尾が1つ違っているだろうけど。
設定確認をしていたら、明らかに異常な数値設定。送信機から発信される制御情報に劣化情報が使用されてた。具体的には、肉体から再発信される情報が本来の送信側に届かないという不具合。電子情報体としての意識分離がされていると、大部分の送信が中断される。普通の場合は、ほぼ全部の送信中断を持って、送信が停止。送信側である”魂”と受信側である”肉体”が切り離され、肉体は死亡する。
劣化情報使用だと、大部分の送信中断で他の情報にも情報劣化が加速度的に進行。許容限界を超えれば、突然死などもあり得た。
セーフティーサポートが一定時間動くことで、その間に復旧した事案が管理ログに残っていたくらい。

次に変換器。
送信側である”魂”からの信号を変換するためのもの。幽体と言われているけれど、実体はこれ。
変換コードを送信側と受信側から、本来の意に沿ったものかを確認する。膨大な制御情報を、秘匿領域も含めて管理者権限で、高速スクロールさせる。
こっちでも問題が3点。送信側の設定で問題が起こっていた部分を増長させる内容。よりによって、劣化情報を増幅してた。いらない情報、変換不可の情報を流していた。最後に、変換器自体の自壊まで。普通、自壊設定は、双方からの送受信がなくなってから自動進行するもの。しかも、自動進行の開始は、360時間後の設定。問題の自壊設定は、送受信が途絶えた瞬間から始まっていた。
こうなると、意識が途絶えると即死状態になる。セーフティーサポートによるのも、確率的なものだったらしい。

受信機。
再送信出力自体が抑えられてた。あと、再出力先が通常2つなのに、なぜか3つ。
魂と種の防衛意識体の2つに追加して、ランダムアクセス。
種族防衛意識体の機能が弱められてた。結果、”おかしな世界”に変容した際、少しずつ、普通の”人間”が少なくなっていた。”おかしな世界”に現存している生命体で、”人間”と呼べる者は、既にいない。元々、人間で人型だったから、そのままの姿。世代を重ねれば、それぞれ別の姿になっていくのだろう。

送信側・変換器の問題は修正。受信側のランダムアクセスを消去して、種族防衛系を封印。
少し考えたけれど、ここは”閉める”しかないようだ。複製した方は、世界全体の負荷がここよりも軽いので、存続を指示。コア・ブレインにも了承してもらった。

本当の意味で、ここに住んでいる人たちにとっては、異世界へ出発してもらう必要ができてしまった。
実際の出発は、かなり先だけど。

ここまでやって、始めて、バカな2人に対応することができるようになった。
天神さまはどこだ?

***ともえside

主神の出頭命令、あまちゃんの暴走許可、ええやっちゃいますよ。
まずは、ことちゃんも参加させないとね。と思ったけれど、どこかに行ってしまったらしい。どこに行ったのかを追跡しようとしても、痕跡すらない。こうなると、探しようがないので、他の人に矛先を当てることに。
まずは、ことちゃんの取り巻き奥さまたち。面倒くさいから、家族もろとも、デスゲーム世界に突っ込む操作。
デスゲーム世界も大幅拡張&とんでも設定。
大幅拡張によって、本来100kmくらいの円盤上の世界を1万kmの円柱状に変更。間に仕切板を設置。
これでどうだと、変な達成感。

ふっと、周囲が揺れた感じがした。
いくらなんでも、地震はないだろうと思って、作った世界を見た。なぜか、違和感が。
なんとなく、引き寄せられているような気がする。設定した世界そのものに。慌てて、管理者権限を行使しようとするが、作動せず。
まるで、竜巻に飛ばされるような、滅茶苦茶な状態で引き寄せられ、気が付くと、設定した世界に降り立っていた。しかも、自力で脱出できない状態。各種ステータスは、全部が?になっていて、分からない。なんとなく、ランク外だろうということは分かるけれど、元の世界に帰還する方法が分からない。
全くの想定外が発生してしまった。

期限までに脱出できなくて、出頭命令を拒否することになったら、これまでの過程から、主神に消されちゃうかも。
今の状況だと、帰還無理。まさかやっぱり、消されちゃう…?
消され…
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