約束の続き

夜空のかけら

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第7章 理の使命

61 上野 歩 困惑する

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ランクアップはいいけれど、左上に出現したこれは何だろうか。
12/1013
確か、こっちに飛ばされたのは、1015…いや、校長を除くと1014か。
私を除けば、1013になるから、分母はこっちへ来た人数なんだろう。では、分子は?普通に考えて、死んだ人数になるのだろうけど、そっちへ目を向けたら、体蔵庫からマニュアルが消えているのに、その場で説明が脳裏に流れた。

12/1013 
分母は、この世界に送り込まれた魂の数(増加する)。
分子は、この世界で死んだ数。

Q.増加するとは?
A.この世界で死んだとしても、復活する可能性がある。その際は、分母に加算される。

Q.この数は何を意味している?
A.この数値は、討伐された悪魔の人数/現存している悪魔の人数を指している。

Q.悪魔と言うのは、この世界に送り込まれた人たちと言うこと?
A.その通り。

Q.私は12人も死なせていないはず。
A.同化した神花が、暴風によって殺傷している。

Q.私が殺傷していなくても、カウントに入るの?
A.入る。同化だけでなく主従関係などでも従者の経験は全て主(あるじ)に統合される。

Q.従者の経験は貯まらないの?
A.貯まる。従者から主に向かう経験と自らの経験は別計算で、互いに干渉しない。

Q.で、これは何よ。
A.これは、詳細察知の拡張機能。周辺の気配・危険・罠・魔物・悪魔などを統合した詳細察知に、ランクアップボーナスと悪魔討伐10体以上によって得た第1段階突破記念で与えられる”総合インフォメーションシステム”。

Q.その、総合…は、みんなもらえるの?
A.条件がそろわないと取得不可。

Q.条件とは。
A.
1.ランク1の時に、ステータス上昇処理をフルオートにすること→詳細察知を取得
2.ランクを1から2に上げること→並列処理能力獲得
3.悪魔討伐10体以上という功績により、討伐第1段階を達成した者→総合インフォ獲得

Q.…私と同じように獲得する条件の人はいるの?
A.いない。

Q.理由は?
A.ステータス上昇処理をフルオートにしている者がいない。

Q.フルオート以外のオートボーナスって何?
A.10レベル上昇分のみオートのセミオートは、危険察知。5レベル上昇分のみのオートは、気配察知。

Q.オートボーナスの特典は、それだけ?
A.フルオートのみステータスボーナスがある。ステータスボーナスの対象は、最大体力と最大魔力。最大体力と最大魔力以外のステータスが+1増量時に、前述の2つのステータスは経験値を消費しないで+1になる。

Q.従者って誰?
A.蒼穹(そら)と神花(しんか)。

Q.この世界から脱出するための方法
A.死ねばいい。

Q.他の方法は?
A.ある人たちを待つ。

Q.ある人?
A.あなたの事をよく知っている人。今は、忘れているけれど。

Q.なにそれ?
A.黙秘権を行使します。

Q.認めないわよ。言いなさいよ。
A.本日の営業は終了しました。またのご来店をお待ちしております…

Q.本当に終わりかしら
A.ええ、並列思考は疲れるんですよ。なにせ、あなたが自問自答しているようなものだから。悪い言葉で言えば、二重人格ね。

Q.安らかにお眠りください。
A.死んだつもりはないわよ。とりあえず、しばらく休ませて。

「おやすみ。」

なんとなく、声に出して言ってみたかった。
私は、あのお花畑にいる。周囲は、見渡す限りお花で埋まっている。ただ、どっちへ行った方がいいか分からなかったけれど。少し迷ったけれど、蒼穹ちゃんが、あっちと言うのが聞こえたので、そっちへ向かうことにした。

たくさんのお花が揺れている。でも、今はしんかちゃんと同化している影響か、仲間が揺れてる。楽し気に揺れてる。こんな感じになるの。
周囲を見渡しても、危険はない。食虫植物すらいない。お花畑はずーっと続いている。

どれくらい歩いただろう。お花に紛れるように、石畳みの道が見えた。その上を歩きながら進んでいくと、何か大きな建造物があったと思える”くぼ地”があちこちにあったところに出た。くぼ地しかない。何かがあったはずだけど、建造物の証拠となるものは、根こそぎなくなっていた。

蒼穹ちゃんがまだあっちって言っているようだったので、そっちへ行ってみることに。
お花畑はまだ続いている。

ふっと、左上の数字を見ると、13/1025となっている。しんかちゃん暴風で被害にあった人たちは、復活したようだった。でも、討伐に1人追加がある。どこで?答えはない。さっきまで質問に答えていた私もまだ起きないようだし。
起きたら、聞けばいいか。

歩いても歩いても、お花畑が続いている。そのうち、浜辺に出てしまった。
海にもお花が大量に浮いていた。よく見ると、海面よりも上にお花がある。
ふと、しんかちゃんが言ったような。
海のお花。海の栄養をもらって咲いているお花なの。人が多くて、水が汚れているところが良く育つの。

水質浄化のためのお花だったらしい。
ここにも、人が住んでいたような痕跡。住宅だろうか、風で全壊したような光景。かなりの量だけど、あちこちお花が咲き始めている。
海岸に沿って、蒼穹ちゃんの案内で歩いていこうと、全く疲れもしないし、眠気もない。お腹もすかないなぁ~と、翌日の朝を迎えて、さすがにレベルアップもしなかった。何も倒していないはずだからだと。
次の街についたのは、翌日朝だった。

街に着いた時、左上のカウントは、22/1035になっていた。遭遇はしていない。海岸を街に向かって歩いていただけ。気が付かないうちに増える。
もう一人の私はまだ起きてこないけれど。
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