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141回目 あなたも転生

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「おかしいわね。乙女ゲームのシナリオ通りにいっていない」

…そんな囁きにも似た声が男爵令嬢から聞えました。
ふむ。
察するに、男爵令嬢は転生者ですね。
前世は、この世界を模したゲームとみた。

「きっと同じ転生者が邪魔しているんだわ。それを排除すれば、シナリオは元に戻るはずよ」

世界がゲームと似ているからといっても、この世界は普通に存在している現実なのは分かっていない様子。

「転生者は誰かしら」

私は、隠し通路にいます。

もちろん、男爵令嬢は気がついていません。

今回の立ち位置は、王族なのに諜報部隊に配置されている私からお伝えします。

「やっぱり公爵令嬢が転生者かしら。意表を突いて、王子とか?いやいや、攻略対象が転生者なら、途中までシナリオ通りになるのはおかしいわね」

男爵令嬢は、ぶつぶつとそんなことを言い、部屋の中を歩き回っています。

王城内の客間に王子に案内されてから、ずっと自己問答を繰り返しているのを見るとなんだか笑ってしまいますね。

「そうよ!公爵令嬢が転生者なのよ。だから私の邪魔ばかりするの!」

結論が出たようです。

まぁ、あなたに限らずこの世界の人々は全員が転生者。

しかも、乙女ゲームのですよ。

私は、乙女ゲームとは違います。

なにしろ、超高速転生令嬢ですから、この世界での私の存在は異物。

”異世界”ですので。

さて、男爵令嬢さん。

いつ真相に気がつくのでしょうか、それはそれで面白い結末が見たいものです。
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