上 下
73 / 191

73回目 召喚されたのは、聖女と誰が決めた?

しおりを挟む
前回の時、ももちゃんと話し合って、色々決めた。
とても楽しかった。

身分は、誰にも邪魔されない王女だったけれど、嫁がなかったから。
今までにない贅沢もさせてもらった。

まぁ、この話しはここまでで、

今回、私は聖女見習いです。

男爵令嬢として、巫女や聖女のお世話をするのが目的です。

でも、採用者全員に課せられた身分称号の確認時に“聖女見習い”と出てから、生活が一変しました。

一応、聖女見習いという事で、それまでのしなければいけないものが、

世話係にやらせることとなってしまいました。

やらせないと、徳が詰めないという意味不明な言葉とともに。

しかし、私の世話をしようとする者は現れず。

自分でやるしか無かったのです。

そして、年に一度の聖女認証の日。

聖女になるか、聖女見習いのままか、称号なしになるか。

でも、もっと人気を集める。

お布施や寄付が増えることを目論んで、教会上部は、聖女召喚を大々的に実行しました。

町の上空を埋め尽くすような巨大な魔法陣。

中心から光り輝く球体に眠るかのようにある女性。

「聖女だ!真の聖女が降臨された!」

まるで、私たちが偽者な扱い。

実際、その後の扱いはヒドイものだった。

お布施も寄付も、思い通りになった教会上部は私たちを町下に放り出した。

偽者として。

町の人からも、阻害された私は町の外へ追いやられ、町の方を見て絶句した。

町全体が黒い何かに覆い尽くされていた。

「はやく合図が来ないかな。おれ、腹が空いたよ」
「壊していいんだろ。人も建物も何もかも」
「魔法陣から現れたから聖女なんて可笑しすぎ」

そんな声が、防護壁の中から聞える。

「あら、偽聖女さま」

その声は、真聖女の声だ。

「何をしようとしているの?」
「あら、この町を喰おうとしているのよ」
「そんな」
「あなたは、ここから立ち退きなさい。消化不良を起しそうだから。これでも持って」

渡されたのは、ポーチ。

「その中の物は自由に使って良いわ。私たちには必要が無いから」

ポーチから出した服やリュック、お金などが外から見た容量以上の物が入っていた。

「それじゃあねぇ~」

得体の知れない何かから、得体の知れない容量のポーチを持って、得体の知れなくなった町を後にする。

微妙な感じがしたけれど、教会のあった町から生まれ故郷を目指す。

後に、召喚魔人に喰われたというニュースから、あの時に会ったのは魔人ということが分かった。

「うん。横着はダメねということかしら」

生まれ故郷で、聖女となった私は日々の忙しさに達成感を得つつ過ごしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

妹の妊娠と未来への絆

アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」 オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

浮気をした婚約者をスパッと諦めた結果

下菊みこと
恋愛
微ざまぁ有り。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...