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36回目 「はい」は、1回

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「今日は、卒業パーティーだ、楽しんで行ってくれ!」

生徒会長がそう宣言して、パーティーは始まるはずだった。

しかし、第2王子がそれにストップをかけた。

「まてまてまて、私の愛するスイユを害した公爵令嬢プラン。前に出ろ」

なんだろう。
基本に帰るっていうのかな。
どきどきしちゃう。

「早く出ろ」

「はいはいはいはい」

思わず4回も言っちゃった。

「はいは、1回だ。ごほん。公爵令嬢プラン。お前はスイユに何をしたか分かっているんだろうな」

何かしたかしら?
これも、新鮮ね。
懐かしいというのかしら。

「早く答えろ」

「はいはいはいはい。さぁ?」

「はいは、1回だ。何度も言わせるな。で、なぜ疑問形なんだ」

それは、知らないから!
これも久しぶりな感覚。
やっぱり断罪はこうじゃないと。

「はいはいはいはい。知らないから?」

「はいは、1回だって言っているだろうが」

嬉しいのだもの仕方が無いじゃない。
これよこれ。
でも、この人、婚約者じゃないから何だろう。

「はいはいはいはい。いつかは1回になります」

「…もういい。それで、何をした…って、知らないのだったな」

「は「はいは、1回」い」

止められた。
嬉しかった気分を止められた感じ。
ぶー。

「私私私私、スイユにはお酒が入ったチョコレートをあげたくらいかな…」

そんなに強くなかったよ。
糖度。
誰でも食べられそう。

「お前か~、修羅場で大変だったんだぞ、どうしてくれる」

「?」

「婚約者候補者がいなくなったらどうするつもりだ!」

八つ当たり?
途中から路線変更?
このままだと、面白みが…。

そうだ!

「第二王子、大丈夫です。私があなたの婚約者になってあげます!」

「お前はダメだ」

「何故に!」

「ちょっ、寄るな、腕を取るな、どこへ連れて行くつもりだ!」

「こうなりゃ、既成事実よ。女は最強よ!」

「うぁ~~~」


***

「え~順序が変わってしまいましたが、茶番劇をお楽しみ頂けましたでしょうか、あらためて再開です」

圧倒されていた面々は、生徒会長の挨拶で我に返った。

プランが既成事実に成功したかどうかは、ご想像にお任せ。
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