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第157話 実習3 破壊と静音

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「水たまりの場所の正解は、そこを避けるということよ。ただ、水たまりの場所が多く点在している場合があるわ。その場合は、こういう道具で叩きながら進むという方法もあるの」

そう言って取り出してきたのは、柄が伸縮するハンマーだった。

「これは、テストハンマーというもの。これで、罠の疑いがあるものを叩くの」

細い柄に似合わず、ハンマー部分は大きい。
これで叩くとか、逆に罠を作動させてしまうはずだ。

「どう見ても、罠の疑いがあっても、そこを壊すようにしか見えない」

「そうね。それも一つの手ね。壊すということは、それ以上に罠が作動しない。安全な場所を作るという意味もあるわ。最も、洞窟全体が崩落する可能性もあるけれどね」

「洞窟全体が崩れる?」

「洞窟全体か、一部分でも壊れやすい性質をもった岩石だった場合の話しよ。定期的に材質は何かの確認は重要よ。もちろん、この洞窟は自然に出来たように見せる迷宮だけれども」

「学校施設の一つだろうから、それは分かる」

忘れそうになるのが、入口の床面の滑らかさだ。
多数の人が実習を受けるがために、自然にありがちな、デコボコや尖った場所がなかったのだ。

「洞窟とは言っても、途中から迷宮とか。迷宮だと思ったら、洞窟に繋がっていたとかあるから、そう行った場所の接合点は特に重要よ。何か、異常な部分があると思うから」

「洞窟と迷宮が繋がっているところがあるのか。どうして、そんなところが出来る」

「一つは、迷宮が通路を掘削していく過程で、洞窟の壁面を破ってしまった。洞窟の地中造成時に迷宮壁を破壊して繋がってしまった。入口の偽装。油断させるため、照明の罠的扱いなどなどね」

「照明の扱い方?」

「洞窟は、真っ暗だから最初から照明は必須になる。しかし、迷宮は始めから回廊灯があって、明るい場合がある。でも、その回廊灯を一斉に消せば、普通の暗闇よりも闇が深く感じるし、目眩ましにもなる。パニックになることすらあるわ。洞窟メインで入口迷宮。そんな光の罠もあるわけよ。油断は禁物ってね」

ゆっくり進む。
トーコが先端で。

照明の先には、気流が分かる煙を出す道具。
全員が静かに進む。

息すらも静かに呼吸する。

トーコがハンマーを出す。
その先にあったのは、ちょっとした亀裂だ。

数センチ。
そんな場所を、ハンマーで壊すのか。
そもそも、壊す時に大きな音が出て、パーティー全体を危機に晒すのか。

「静音」

トーコがつぶやく。
自分たちだけでなく、周囲の音が小さくなった気がした。

コツコツと音を立てて問題がないとして、慎重に進む。

トーコには、静音が周囲に音を逃がさないための魔法だったと教えてもらった。
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