遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

第148話 実習２ 迷宮単独探査は無謀

「ふと思ったのだが」

「はい」

「実習だけだよな」

「はい？」

「ほら、罠師やトーコがいない場合に潜る場合は、どうするのだろうと」

「あとで言おうと思っていましたが、罠を事前に作動させてしまう道具があります。こちらです」

そう言うと先生は、釣り竿のようなものを出してきた。

釣り竿の先端には、錘が揺れている。

「この長さは2ｍから5ｍ程度の長さ調節ができます。長い程の使用は身体に負担が来ますから、普通は2ｍです。これを、床面に滑らせることで、罠を先に起動させてしまうという道具です」

そう言うも、先生は笑いながら

「壊れると終わりですし、一度起動しても連続起動がある場合は意味がないのですが」

「なるほどな。迷宮に1人で潜るのは、無謀ということか」

それだけが聞ければいい。
とりあえず。

トーコを伴って三度迷宮入口へ。

最初は横に入ろうとする。

「ストップ。まずは、入口周辺の確認して」

「確認？」

「そう、入口は1つとは限らない。それに、地面に罠があると分かっているのだから、あえて摺り足で歩かない。手を先に滑らせる」

その言葉で、梯子を登ってすぐに迷宮内に入っていたことを思い出す。

すると、はしごがかけられている反対側にやや広い入口を発見。
難なく迷宮内に入ることができそうだ。

「ストップ。迷宮に入ったすぐのところに陥没の罠。迷宮側に転倒するように計算されているもの。この転倒系は、身体に疲労を蓄積させるものだから、小さくても油断しない」

「お、おう」

少し進めば、トーコが罠の場所を指し、どういう罠か作動する方向を教えてくれる。
実習だからこそ、できる生の講義になっていた。

聞いただけだと分からないから、ありがたかった。

「はい、次の右足の部分。石化の罠」

「おっと」

「この石化は、足首までのどこかを石化させることで、足を使えなくするもの。しかも、体重が乗ることで石化した部分から割れる。部位欠損よりもやっかいで、完全治癒だと石化して割れた部分だけの治療はできない」

「本当の治癒はないってことか。治療薬はどうなんだ」

「本当に治すなら石化していない部分から切断。それから部位欠損を再生させる手法はあるけれど、激痛以上の痛みが生じるからオススメしないわ。治療薬だと、割れて欠けた場所は治せない。こちらも激痛の痛み。迷宮だから音は厳禁。パーティーメンバーがこうなったら、そこで探索は終了。治療せずに迷宮から出るしかないわ。石化しているだけなら、痛みはないから」

「嫌みな罠だな」

「罠はそういうものよ」