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第139話 息継ぎの方法

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「息継ぎの時にも集中する。そんなことできない」

と言えば

「すーーーーーと息を吸って、少し止めて、しばらくしたら、ふーーーーーっと息を吐く。呼吸はするけれど、薄く長くという感じ。もちろん、自分に合うパターンとかがあるから、その辺は自分で試すしかないわ」
「息継ぎか?呼吸法だよな」
「そうとも言うわね。まぁ、やってみて。それが自然に出来るようになれば、金糸も長くできる…と思う」
「いきなり信憑性が落ちたな」
「どうでもいいから、やってみなさい」
「へいへい」

トーコのアドバイスに基づき、一応やってみる。
しかし

「こりゃ、呼吸によって集中力が散漫になる。これは、ダメじゃないか」
「別に呼吸している。息を吸うとか溜めるとか吐くとかの全部で金糸を作るわけじゃない。どこかで作れば良いの。吸っている時だけか、溜めているだけ…。分かった?」
「呼吸中の全部で作るわけじゃないということか」
「そのつもりで言ったんだけど、分かりにくくてごめんなさいね」

結局、呼吸で作る手順を追う形になった。
すなわち、吸ったときは伸ばし、止めたら成形。
吐き始めたら、次の場所に移動。
こんな感じだ。

呼吸を整えて、意識しながら金糸も作り始めた。
すると、意外に作れる。
ただし、集中力が持たないことも判明する。

「集中力が持たん」
「集中できる時だけでいいのよ?金糸は切らなければいいのだから」
「それもそうか」

そんな形でやっと1mの金糸が作れた。

「おお、作れた」
「僕も」
「私も」

と、3人とも同じくらいに金糸1mが完成。

「お疲れ様でした。少し休んでから、金細工を作っていきましょう。こちらの方が簡単かもしれませんよ」

そうか?
と思い、先生の方を睨む。

「多分ですよ。たぶん」

水穂からの差し入れのみかんジュースで喉の渇きを癒やしてから金細工に挑む。
金細工の場合は、顕微鏡は必須。
何しろ、金糸は細いので、複雑な紋様にする場合だと手指だと掴めない。
ピンセットで、細工するのだ。
ピンセットも力の入れ具合で切れたり、変形したりするから、細心の注意を払うことが必要となる。
そして、ここでも魔力が有効に働く。
編み込んだ金糸にわざと傷を付ける。
ぎざぎざ模様にするなどの超微細加工をする場合に魔力が効いてくる。
ただし、初心者ができるような内容ではないが。

休憩終了後、4人で金細工に挑む。
トーコだけは、超微細加工をするようで、顕微鏡の倍率も高いし、ピンセットの先端も非常に小さいものを使っている。

単純な形。
二重円を作るなどができて終了となった。
意外と難しく、あっと言う間に金糸を使い切ってしまった。

少しの魔力での加工ができれば、それは普通の魔法の使い方に応用できるという意味だったし、複雑な紋様は必要なかった。
トーコを除いて。

「あー、失敗したー」

トーコは、金糸を作りながら細工をしているようだ。
どのクオリティーを目指しているのだか。
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