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第65話 妹

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「ただいま」
「おかえりなさい」

 そんなやり取りでさえも懐かしさを覚えるように感じるのは、それだけ年を取ったと言うことだろうか。

 妹とは3つ違い。
 40歳マイナス3つだから37歳。
 と思っていたら…

「なんでそんなに若い姿なんだ!」

 どう見ても、二十歳っぽい女性が出てきた。
 本当に妹か?
 そう思ってしまうけれど、さっきのやり取りで分かっていた。
 間違いない、姿形は違っていても妹だと。

「びっくりした?若くて」
「びっくりした。本当に夏か?」

「そうよ。3人は、神社にいるわ」

 妹は4人姉妹である。
 一卵性双子ではなく一卵性四つ子。
 理由は知らないが、世の中には不思議なこともあるのだ。
 多分。

 妹の名前は、春夏秋冬。
 つまり、ここに迎えに来た夏だけでなく、春と秋、冬がいる。
 性格は…4人揃う時の破壊力は並みではない。

「神社ということは、知っているんだな」
「当然」
「トーコ…清水家が戻ってくるっていうの」
「神社から緊急通報が来たからね。みんな正装して待っているわ。あとは、兄様だけよ」
「そうか、悪いことしたか」
「そんな訳ないじゃない。兄様へ最初のおかえりをしたかったから、私が来たの」

 夏は、活発過ぎるのだけれども、反動が凄いので、いつも一緒に居たような気がする。
 振り回されてばかりいたような記憶もあるが。

「行くか」
「みんな待ってるよ。清水さん達だけじゃなく」
「うん」

 地下鉄駅から外へ。
 相変わらずの鬱蒼とした森の中に出る。
 カモフラージュのために植えた木々が成長してしまい、本当の森になってしまっていた。
 歩きながら、

「しっかし、37歳か?若すぎるだろ」
「年齢はそうかもしれないけれどって、女性に年齢のことは禁止。殺されるわよ。姿形は、20歳のまま固定してる。こっちの方が色々に都合がいいから」
「固定?年齢を固定って何だ」
「あれ?兄様知らないの?姿形って固定できるのよ。老いを感じさせずに若さを保つって簡単よね」
「年齢はともかく、姿形を固定って、何もしないとどんどん老けていくものだろ。努力すれば、若いままの姿を保てるのと違うのか」
「あ~、ごめん。外と違うってこと忘れていたわ」
「外?」
「中はね、外と違ってるの時間の流れが」
「時間の流れ?」
「時間の早さとも言うわね。外で10年経っていても、中では2年くらいなの。一定ではないのだけど」
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