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第3話 ゲーム開始の前に…

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 名前は、アーサー。
 本名が、アーサーじゃなくて、朝日って言うからな。

 性別は男。年齢16歳。
 実際は、40歳だが…気にしない。

 ゲームとなれば、キャラクターメイキングが最初の要。
 しかし、このゲーム、最初に決めるのはたったの5つ。

 それが、名前と種族、HP、MP、そしてボーナスポイントというもの。

 種族も人間と空欄になっていて、その空欄に自由に種族を書き込める代わりに、選択するものではなく、何を書いても良いもの。
 いわゆるモンスター系と言われる、ゴブリンやオークなど書き込む人もいるが、種族による差異はまだ見つかっておらず、何が影響するのか分からないらしい。
 HPとMPは、初期値10で最高値100、しかも、自由に選べるという意味不明なもの。
 ほとんどの人が最高値にするが、一部の人は初期値のままにして、初ログイン時にステータスボーナスという名のアイテムを受け取っているとある。
 本当かどうか分からないけれど。
 ボーナスポイントは、初期値0で、最高値は無制限となっている。
 無制限と言っても、実際は制限がありそれが1000ポイント。
 これについての説明はなく、ポイントを何に使うのか分からない。
 結構長く遊んでいる人も、この数値が減ったり増えたりしないので、謎ステータスと言われている。

 そんなこんなで、キャラクターメイキングも終わった。
 あとは、面倒くさい手続きがある。

 これは、利用規約などの承認やログイン・ログアウト・死亡時のキャラクター保持方法。

 初回ログインは、全員同じ場所に立つことになるが、街までが遠いという情報が。
 
 このゲームは課金というものがある。
 課金すれば、設定されているものに変化を加えることができる。

 例えば、各種ステータスの増加、選択できる装備の拡充と高性能化、行動範囲の増加と行動能力の向上。
 そして、スキルの取得である。

 しかし、どれも効果はイマイチで、最初の課金は最初の街へ行くのにかかる時間の短縮だという。
 そして、ここから別の街に行く場合も使えるだとか。

 初回以降のログインは宿屋限定になるため、ログアウト場所がそれ以外だと、最後に記録されたログアウト場所に戻ってしまう。
 要注意点である。
 
 そして、死亡時はキャラクター消滅。
 すなわち全損。
 死んだら、全てを失うという過酷なもの。

 ただし、回避方法はいくつかあり、そのうちの1つは、課金することによって、即死は防げるとか。
 
 俺の場合は、慣れないけれどちょっと角張った雰囲気を作るため、私という自己表記と俺と変えてみた。
 しかし、長くは持たないだろうな…という感じ。

 種族は、人間+オオカミ
 HPとMPは、初期値
 ボーナスポイントは0にしてみた。
 
 おおかみが平仮名なのは、漢字を忘れたから。
 予測変換にも変換語にも、それらしいものが出てこなかった。

 カタカナ入力だったと知ったのは、かなり後になってからだった。
 
 そして…やっと冒険に行くことが出来る!…と油断したのが悪かったのか、
 いきなり目の前に人が出現した。

 身長140cmくらいの女の子である。
 初期ログイン場所に転送される直前で、真正面に出現。
 そして、びっくりした俺はとんでもないものを掴んでしまった。
 手のひらと同じくらいのちょうどよい大きさだったので、頭を鷲づかみして地面に押し込んでしまった。
 強制的に土下座を強要する形が、女の子のプライドか強く刺激されたのだろう、すぐに爆弾が来た。

「初めまして、私、トーコと言います。これから、末永くお付き合いお願いします」

 そう言って、立ち尽くす俺の前に土下座姿勢から正座に姿勢を正し、三つ指をついて言う。
 婚約了承の和風的(?)了解の仕方だ。
 もちろん…

「ちょっと待ってくれ。そんなの聞いていない」
「はい、あなたのために今さっき神族会議で決まりました」

 なんか、一部のニュアンスがおかしくなかったか?

「親族会議と言われても困る」
「決まりました。あなたは、私のとても大事な場所を触った上に、土下座を強要しました。だから、変更はできません!」

幸先が悪いと言っていいですか?
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