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4 絶縁するつもりで言った

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出会ってしまった。
会うつもりはなかった。
でも、向こうから来てしまった。

一昨日とマスミの見え方が違う。
一昨日は、綺麗というより可愛いという感じが強く、貴族にはない平民ならでは?の態度や仕草が新鮮だった。
しかし今は、その一つ一つが計算され尽くしたもので、今にも罠にかけようとしているとしか思えない。
あの4人は、これが妄想だという。
そんなことはありえない。
なぜ分かってくれないのか。

「会いたかった」
「帰ってくれ」
「なぜそんなことを言うの。こんなにもあなたのことを思っているのに」

ぞわぞわする。
心が引き寄せられそうになるのを必死に押しとどめて、

「帰る」
「待って」

呼び止められたが、立ち止まることなくその場を去る。
マスミは、手を伸ばして手を掴もうとしたみたいだったが、他の4人に遮られたみたいだ。

「王子は、誇大妄想に掛っているのです。病気なのです。重病で手が着けられない。
私が治癒の祈りを与えようとしても拒否するのです」

ネアンがマスミにそう言っているのが微かに聞えた。
でも、それを否定する時間すらももったいない。
足早に馬車へ向い、時間は遅いが公爵邸に行くことにした。
明日はサージュと登校しなければ、タイミングを逃してはいけない。

*アネシス公爵邸

馬車を降り、不躾にも前触れなしで来たが、執事の案内で客間へ案内される。
アネシス公爵にこれまでのことについて謝罪とこれからについて話合わなくてはいけない。
あの4人の処遇も。

「こんな夜分にどうされた。サージュからは婚約破棄も考えて欲しいと言われているが」
「婚約破棄はしない。マスミとは縁を切るので、これまで通りサージュと婚約続行、卒業と同時に結婚のスケジュールを変えないで欲しい」
「…何があったか分かりませんが、要望は受け付けました。サージュと仲良くやってくれればそれに越したことはない」
「感謝する公爵」
「それで、4人はどうするのですか。あの者達も縁を切るのでしょうな」
「あれらはダメだ。側近失格として新たな者達を選出してもらいたい」
「そうですか、とりあえずこの話は他の4人と協議します」
「頼んだ」

他の4人とは、あの4人の当主。
つまり、宰相、騎士団長、御用商人、教祖だろう。
そして、この結末は知っている。

「明日から毎日サージュを迎えに来る」
「分かりました。サージュには伝えておきます」
「助かる」

突然の訪問だったので、簡単に話をして公爵邸を辞する。
王宮に戻りながら、明日に備えて関係者に話をせねばと思った。
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