心霊内科

夜空のかけら

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心霊内科

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「最近、うつ状態になることが多くてさ、病院に行った方がいいかな」

そんな質問を同僚にした。

「ただ、精神科とか心療内科とかに行くと、変な目で見られるだろ。そんな所に行くのはちょっと」

それなら、ここに行ってみればとお勧めしたのは、都内にあるオカルト専門店。
マニアを通り越して、中毒患者が多い場所の一画にある診療所だ。

「そこなら、病院じゃなくて、オカルト中毒患者が多いから、大丈夫だよ」

しかし、同僚のお勧めできた病院は、心療内科でなく、神霊内科だった。

「すみません、誰かいますか?」

病院内には誰もいない。
少し薄暗いし、受付すら人がいないので、不気味。

それでも、診てもらいたいから、病院内に聞こえるように叫んだ。
ちょっと怖かった。

すると奥の方から、1人の白衣を纏った医師らしい人が出てきた。

「どうぞ、そちらへ」

こちらに顔を見せることなく、下を向いたまま入ってきたドアの右横を指す。
右横には、診察室がある。
医師は動かずに、こちらが入るのを待っているようだ。

仕方なく、部屋に入ると、なぜか後ろにいたはずの医師が目の前にいる。
うすら寒い感じがしたが、気にしないを胸の中で唱えながら、医師の方を見て

「最近、うつっぽい感じがして…」

「それでは、視てみましょう」

なにかおかしくないか?診るとは違うような。

「そちらへ寝てください」

部屋の中にあった全部黒いベットを勧められた。
シーツはもちろん、枕も布団も真っ黒だ。

ちょっとためらったけれど、そこに寝る。

「失礼」

そういうと、横になっている俺のお腹を押したと思ったら、めり込んだ。

「!!!!」

なんだか、お腹のなかをまさぐられる感じがした。
背筋がぞっとした。
しかし、なぜか動くことはできない。
目の前が少しずつ暗く狭くなっていくのが分かる。
ああ、死ぬんだなという事を感じさせる。

「おい、おい、どうしたんだ!」
「んん?ああ、えっ!」

さっきまでの薄暗い部屋ではない。
会社の同僚が目の前にいる。
話の途中で、うつらうつらしてしまったらしい。
さっきまでの話はなんだったのだろう。

「お前、うつ状態になることが多いんだってな。」

ああ、あの話か…

「いいところ知っているぞ。オカルト中毒患者が集まる診療所があってな」

いいところ?
そんな訳はない。
そんなところに行って…おかしいな。
記憶はあるのに、この会話の後に行っているはずで、時系列になっていない。

「そこなら、だれにもバレずに診察してもらえるぞ」

「そこは、ちょっと」

「なんだ、いいと思って紹介したのに。ちょうど、被験者を募集しているから、費用は掛からないぞ」

被験者…
その言葉を聞いて、何かが繋がった気がしたが…

「さぁ、行こうか。心霊内科へ」

同僚の声も行動も、何かの中毒を感じさせるものだった。
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