私がいない世界

emi

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疲れた
眠い
お腹が空いた

そんな感情すら残ってはいない。

ただ、もし出来れば、少しだけ、そっとしておいて欲しい。
もう何も考えたくないし、誰とも話したくない。

そんな気持ちを、胸の奥へと閉じ込めて、
告別式までは、どうにか乗り越えなければならない。

喪主という役割は、とてつもなく辛く、苦しい。

泣きながら選ぶ遺影の写真

平然を装って対応する電話

私に会いに来てくれた方々への対応

当日まで続く告別式の打ち合わせ

私のために対応してくれている彼に寄り添って、私はずっと、彼の隣にいた。

「今朝、妻が亡くなりました。」
これは、私が息を引き取った日に、何度も彼に言わせてしまった台詞。

感情を込めずに、淡々と告別式の日程を知らせながら、
ギュッと握る拳に、胸が痛くなった。

日中は、様々な対応に追われ、
少しだけ、気を抜けるのは、日が暮れてからだった。

彼とあの子は、日が暮れると泣いた。

私は、黙って2人を見守りながら、彼らが涙を溢すと、その頬を拭った。

『泣かないで。私は、ここにいるから。』
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