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第18話 ユキちゃんの笑顔
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次の日の朝。目を覚ますと、ユキちゃんが先に起きていた。
「おはよう真昼ちゃん」
「おはよう。ちゃんと眠れた?」
「うん、とっても。それに、楽しい夢も見れたんだ」
「そうなんだ。ねえ、それってどんな夢?」
本当は、どんな夢かはわかっている。
それでも、確かめずにはいられない。
「ナイショ。だけど、とってもいい夢だったよ」
笑いながら言うユキちゃん。
それを見て、わたしも笑顔になってくる。
その時、そばにあったユキちゃんのスマホが鳴った。
ユキちゃんが手に取って確認すると、どうやらメッセージが届いたみたい。
「お父さんからだ!」
ユキちゃんのお父さんからのメッセージ。しかも、一つじゃなくてたくさん届いていた。
ちょっとだけ覗き込んでみると、『帰れなくてごめん』とか、『一緒にごはんが食べたかった』とか、ユキちゃんと会えないのをとても残念がっている。
そして最後のメッセージには、『いつでも電話して。どんな時でも必ず出るから』と書いてあった。
「お仕事が忙しいんだから、どんな時でもはまずいでしょ。もう、しょうがないな」
そう言いながらも、ユキちゃんは嬉しそう。
「ねえ、今から電話してみたら。メッセージを送ってきたってことは、今ならきっと大丈夫だよ」
「そうかな? うん、そうするね」
ユキちゃんは急々と電話をかけ始めて、わたしはそっと部屋から出ていく。せっかくお話しできるんだから、二人だけにしたほうがいいよね。
部屋を出ると、ドアの向こうから、弾んだ声が聞こえてきた。
きっと、楽しくお話してるんだろうな。
そう思ってると、廊下の向こうから、沖君が歩いて来た。
「よう。要の様子はどうだ」
「楽しい夢を見れたって言ってたよ。それに、今は電話でお父さんと話してる」
「そっか。よかったな」
わたしがブイサインを出すと、沖君も笑ってそれに答えてくれた。
「沖君、ありがとね」
「なんだよ急に」
「だって、沖君がいなかったら、あんなのできなかったじゃない」
わたしじゃ、変化の術なんて使えないからね。
「俺だけでできたことでもないだろ。夢ってことにしてごまかすのも、要の母さんを出すってのも、お前のアイディアだろ」
わたしも、ユキちゃんを元気にさせるための力になれたのかな。
だったら嬉しいな。
部屋の中からは、今もユキちゃんの楽しそうな声が聞こえてきていた。
「おはよう真昼ちゃん」
「おはよう。ちゃんと眠れた?」
「うん、とっても。それに、楽しい夢も見れたんだ」
「そうなんだ。ねえ、それってどんな夢?」
本当は、どんな夢かはわかっている。
それでも、確かめずにはいられない。
「ナイショ。だけど、とってもいい夢だったよ」
笑いながら言うユキちゃん。
それを見て、わたしも笑顔になってくる。
その時、そばにあったユキちゃんのスマホが鳴った。
ユキちゃんが手に取って確認すると、どうやらメッセージが届いたみたい。
「お父さんからだ!」
ユキちゃんのお父さんからのメッセージ。しかも、一つじゃなくてたくさん届いていた。
ちょっとだけ覗き込んでみると、『帰れなくてごめん』とか、『一緒にごはんが食べたかった』とか、ユキちゃんと会えないのをとても残念がっている。
そして最後のメッセージには、『いつでも電話して。どんな時でも必ず出るから』と書いてあった。
「お仕事が忙しいんだから、どんな時でもはまずいでしょ。もう、しょうがないな」
そう言いながらも、ユキちゃんは嬉しそう。
「ねえ、今から電話してみたら。メッセージを送ってきたってことは、今ならきっと大丈夫だよ」
「そうかな? うん、そうするね」
ユキちゃんは急々と電話をかけ始めて、わたしはそっと部屋から出ていく。せっかくお話しできるんだから、二人だけにしたほうがいいよね。
部屋を出ると、ドアの向こうから、弾んだ声が聞こえてきた。
きっと、楽しくお話してるんだろうな。
そう思ってると、廊下の向こうから、沖君が歩いて来た。
「よう。要の様子はどうだ」
「楽しい夢を見れたって言ってたよ。それに、今は電話でお父さんと話してる」
「そっか。よかったな」
わたしがブイサインを出すと、沖君も笑ってそれに答えてくれた。
「沖君、ありがとね」
「なんだよ急に」
「だって、沖君がいなかったら、あんなのできなかったじゃない」
わたしじゃ、変化の術なんて使えないからね。
「俺だけでできたことでもないだろ。夢ってことにしてごまかすのも、要の母さんを出すってのも、お前のアイディアだろ」
わたしも、ユキちゃんを元気にさせるための力になれたのかな。
だったら嬉しいな。
部屋の中からは、今もユキちゃんの楽しそうな声が聞こえてきていた。
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